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ウミガラス(Uria aalge)の分類 ウミスズメ科(Alcidae)
ウミガラス(Uria aalge)の概要 ウミガラス属(Uria)

ウミガラス(Uria aalge)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Uria aalge (Pontoppidan, 1763)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:41-46 mm
・翼長:200-221 mm
・跗蹠:35-40 mm
・尾長:44-57 mm
・卵:長径 79-90.5 mm × 短径 48-58.1 mm 平均長径 87.2 mm × 短径 53.4 mm

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最終更新日:2020-05-22 キノボリトカゲ

分布

全北区。太平洋北部と大西洋北部の寒帯に分布し、繁殖期にはこれらの沿岸に、非繁殖期には周辺の海域に広がって、北緯30度ぐらいまで南下する。

日本では北海道のごく限られた孤島の天売島とモユルリ島で繁殖し、冬は本州北部まで現れ、日本海側では富山県、石川県あたりの沿岸、太平洋側では福島県の沿岸あたりまで見られる。

天売島では1963年ごろに8000羽もいたものが、1973年には1017羽、1986年には310羽、1987年には160羽と急激に減少し、現在では北海道での繫殖もあやぶまれている。

天売島は全島が海鳥繁殖地として、1938年には天然記念物に、また絶滅危惧種に指定されている。

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学名の解説

種小名はデンマークのウミガラスによる。

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別名・方言名

オロロン鳥は通称で、本来の和名はウミガラス。

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分類学的位置付け

チドリ目 ウミスズメ科

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形態

成鳥の形質

【雄雌夏羽】
額・頭上・後頭・頭側・後頸は灰黒色、眼先・耳羽・腮・喉・頸側はチョコレート色である。

背・肩羽・腰・上尾筒は灰黒色、胸・腹・脇・下尾筒は白色で、脇には黒褐色の縦斑がある。

下雨覆・腋羽は白色。初列風切は黒褐色で、内弁は淡褐色を呈し、基部近くは白色であり、羽軸は褐色である。

次列風切は黒褐色で、羽端には白色の縁がある。三列風切・大、中、小雨覆、初列雨覆、小翼羽は黒褐色。

尾も黒褐色である。嘴色は黒色の角色。虹彩は暗褐色、脚色は鉛黒色。

【雌雄冬羽】
下面は白色で、腮・喉は白色、眼の後方には白色に灰黒色の小斑のある眉斑様の線が走り、下方には灰黒色の過眼線がある。

頸側には灰黒色の斑からなる頸輪があるが、前頸の部分は離れて白色である。

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最終更新日:2020-05-22 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛は全身に先端が毛の様に尖った幼綿羽が生え、頭と頸のものは長くてやや疎生するが、胸・腹のものは短い。

頭・頸・喉は黒色で、各綿羽の先端は白色を呈し全体に密な縞を現し、腮と顔には白色の斑点が散在する。

それ以外の体の上面は煤けた褐色で、翕と翼には暗灰色の斑点があり、各綿羽の先端は灰褐色である。

喉以下の体の下面はクリーム白色である。脚は灰黒色である。

【幼鳥】
成鳥の冬羽に類似する。

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卵の形質

卵は濃青緑色、淡赤色、青色、黄土色、淡青色、クリーム色、白色、灰白色などの地に褐色、セピア色、オリーブ色、黄褐色、赤褐色、黒色、灰鼠色などの斑紋、斑点、曲線などが散在し、斑紋は鈍端の方に密在するものが多く、曲線が環のように鈍端を取り巻くものもある。

ときには斑点や斑紋の極めて少ないものもある。

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生態

生息環境

非繁殖期には海洋上で過ごす。大陸棚海域にすみ、繁殖期には断崖に囲まれた海岸、孤島、岩礁に集まる。

常に海上、海湾、島嶼などに生活し、陸地内の湖沼に飛来することはない。

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食性

洋上で浮遊して、海中に潜って魚類などを追い回して捕らえる。

水中には30秒ぐらい潜り、普通は 4~8 mぐらい入るが、ときには 10 mぐらいも潜り、100 mという記録もある。

くちばしの形態はハシブトウミガラスと対照的で、細く尖り、舌は角質化し、口蓋歯が少なく、溝が発達している。

これらは魚食者の特徴であるといわれている(Nelson, 1980)。翼を使って水中を飛ぶように泳ぎ、魚を追って巧妙にターンができる。

主としてイカナゴなどの魚を食べ、また甲殻類やイカ類も食べる。ほかにも植物なども食物とする。

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最終更新日:2020-05-22 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は5~8月、一夫一妻で繫殖する。巣はつくらず、絶壁の中間の岩棚の上に直に産卵する。

1巣卵数は1個、雌雄交替で抱卵する。抱卵は両脚の間に挟んで、立ち上がった姿勢で行う。30~35日ぐらいで孵化する。

半早成性で半離巣性の雛は両親の給餌を受けて育ち、約3週間でグライドして海上に出る。

このとき、体重は成鳥の25%しかなく飛ぶことはできない。

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最終更新日:2020-05-22 キノボリトカゲ

鳴き声

オロロロン、オロロロン、あるはウルルルルーン、ウルルルルーンなどと喧しく啼き、またヤー、ヤーと啼くこともある。

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特徴的な行動

繁殖期はコロニーへ密集する。小さななわばりは 0.05 ㎡ぐらいで、カナダのファンクアイランドでは50万番が集まり、1 ㎡に20番もいる(Cramp, 1985)。

このなわばりで求愛、交尾、営巣を行い、採食には海に出ていく。

雄は少し早めにコロニーに到来し、なわばり確保のため争うと考えられている。非繁殖期には群れ、大群にもなる。

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最終更新日:2020-05-22 キノボリトカゲ

その他生態

常に海上に群れをなして生活し、巧に泳いだり盛んに潜水したりして魚類を漁る。

海上では体を平らにして可成り高く浮かび、頸を縮めているのが常である。水上に横列をなして泳ぐことが多く、水面で水を飛ばしたり飛び跳ねたりする。

潜水時間は通常30-35秒位で、潜水時には翼を用い特に下降に際して使い、上昇の際には翼を拡げた儘で動かさずに上っていくのが常である。

水中で急に方面転換するときには脚を用いる。潜水中に魚を捉えるとそのまま水面下で嚥み込んでしまう。

翼を迅速に羽搏いて直飛し、外洋遠く餌を漁りに出る時には縦列で海面近くをすれすれくらいに低く飛翔して行く。

崖の上などから飛び立つときには頭を下げ背を丸くし翼を烈しく羽搏いて飛び立ち、下方に滑翔して飛んで行く。

飛翔時には体を水平にし、頭と尾を背よりやや低くしている。

群飛するときには縦列をなすが、海上を群泳するときには横列をなす。地上では体を直立させ、跗蹠を地面につけてよちよちと歩む。

抱卵期には蹼の上に卵をのせて直立したままで下腹部で卵を暖める。地上に立つときには頭を絶えず左右に動かすことが多く、御辞儀をするように頭を上下に振り動かして誇示する。

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最終更新日:2020-12-22 キノボリトカゲ

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