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ベニアジサシ(Sterna dougallii)の分類 カモメ科(Laridae)
ベニアジサシ(Sterna dougallii)の概要 アジサシ属(Sterna)

ベニアジサシ(Sterna dougallii)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Sterna dougallii Montagu, 1813

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:32~40.5 mm
・翼長:211~233 mm  
・跗蹠:19~21 mm
・尾長:144~203 mm
・卵:長径 39~40.6 mm×短径 29~31 mm

参考文献

最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

分布

インド洋、太平洋、大西洋の熱帯・亜熱帯に局地的に繁殖分布し、海岸や岩礁にコロニーをつくって繁殖する。

鳥類のなかでも、最も全世界的に分布する鳥のひとつである。

ただし、ハワイ諸島など大陸から遠く離れた島には分布しない。

日本では奄美諸島、沖縄諸島、先島諸島などに夏鳥として渡来するが、数はそれほど多くない。希少種に指定されている。

沖縄本島の周囲の小島で標識した個体が、フィリピン・レイテ島と鹿児島県で回収されている。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

チドリ目 アジサシ科

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形態

成鳥の形質

夏羽の頭上と後頭は黒く、頬以下の下面は白色で淡い紅色をおびる。

背・翼上面は淡青灰色で、上尾筒は白色。尾は典型的な燕尾で白色。

嘴は赤く、先端が黒いものやほとんど全体が黒いものもいる。足は赤色。

冬羽の額は白く、後頭のみ黒色。嘴は黒色。若鳥は上面に褐色斑がある。2年目の冬で成鳥羽となる。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

頭上は黒色で、各羽にはクリーム色の縁があり、眼の前後には黒色の斑がある。

体の上面には暗褐色の不規則な横縞があるかまたは同色の縁があるかで、小雨覆の外側の部分は石盤黒色である。体の下面は純白色である。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

卵の形質

卵はクリーム色の地に暗褐色の粗大な斑紋と灰色の斑紋とが散在する。

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生態

生息環境

海岸、洋上で生活するアジサシ類で、沿岸や島嶼の海岸で集団繁殖する。

サンゴ礁の発達した沿岸にいくつかの小島があるような環境を繁殖地として好み、繁殖期にはコロニー周辺の海上で見られる。

島の周辺の比較的波の静かなところに多い。

繁殖場所はエリグロアジサシとよく似ているため、コロニー内に本種とエリグロアジサシの両種が混じっている場合もある。

しかし、エリグロアジサシに比べてコロニー性は強い。岩場にも下りるが、歩くことは苦手で、群れて岩礁の上で休息している。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

食性

海岸や海洋の上空をヒラヒラとはばたいて飛び回り、獲物を見つけると上空から直角に急降下して海の表層にいる魚やイカを捕らえる。

また、水面に斜めに舞い下りて小魚などをついばむことも多い。

尾羽を広げて翼をバタバタと激しくはばたかせて、停空飛翔を行いながら餌に狙いをつけることもある。

雛にも、魚類やイカなどの軟体動物を与える。

南西諸島の繁殖地周辺では、よく発達したサンゴ礁原とその周辺部の海域内でよく採食している(河野ほか, 1986)。

群れて採食することが多く、クロアジサシやエリグロアジサシなどほかのアジサシ類の群れといっしょに採食することもある。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

ライフサイクル

南西諸島では6~8月、年に1回、一夫一妻で繁殖する。沿岸の草の疎生地や砂浜に窪みを掘って巣としたり、岩礁の上に直接産卵するが、いずれの場合も植物の茎や葉を用いる。

1巣卵数は1~2個、初卵の産卵後2~4日おいてもう1卵を産む(Cramp & Simmons, 1983)。

第1卵を産卵後、28~30日雌雄交替で抱卵する。雛は早成性で、孵化後2~3日で巣を離れる。雌雄共同で雛に給餌する。

雛は27~30日で羽が生えそろう(Cramp & Simmons, 1983)。

親鳥は巣立ち後、繁殖地を離れてもいっしょに飛び続け、雛の採食技術が完成するまで空中給餌をして世話をする。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

鳴き声

チュウーイッ、チュウーイッと啼き、飛びながら啼くことが多い。警戒時にはクラッ、クラッまたはクリッ、クリッ、クリッと啼く。

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特徴的な行動

コロニーをつくって繁殖する。沖縄本島周辺では、1975~91年の間に計15箇所において本種のコロニーが確認されているが、同一年では5~6箇所に限られ、毎年継続されるのは2箇所にすぎず、安定した繁殖地は少ない(尾崎, 1992)。

1箇所あたりの営巣数は、通常100~500巣の規模。番は、巣を中心に狭い範囲のなわばりを構えて分散する。

コロニーへ外敵が近づくと集団で威嚇攻撃する。

コロニー間では個体の移動があり、標識調査の結果、成鳥は雛に比べて元のコロニーへ帰還する個体が多く、雛は成鳥よりコロニーを移動する個体が多い(尾崎, 1992)。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

種・分類一覧