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アジサシ(Sterna hirundo)の分類 カモメ科(Laridae)
アジサシ(Sterna hirundo)の概要 アジサシ属(Sterna)

アジサシ(Sterna hirundo)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Sterna hirundo Linnaeus, 1758

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:33~39 mm
・翼長:260~297 mm  
・跗蹠:19~20 mm
・尾長:142~176 mm 
・体重:102~150 g
・卵:長径 38.3~46 mm×短径 28.6~32.8 mm 平均長径 42.2 mm×短径 31.2 mm

参考文献

最終更新日:2020-06-12 キノボリトカゲ

分布

全北区。ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の中緯度地方に繁殖し、冬はアフリカ大陸、東南アジア、ニューギニア島、中央アメリカ、南アメリカ大陸などの赤道付近に渡ってすごす。

日本には各地に旅鳥として現れる。日本海沿岸には、シベリア中央部やバイカルに繁殖する亜種アカアシアジサシ(S. h. minussensis)がしばしば訪れる。

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亜種・品種

アカアシアジサシ

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分類学的位置付け

チドリ目 アジサシ科

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形態

成鳥の形質

【雄雌夏羽】
額、頭上、後頭、頭側、眼先の上半部および眼の後方の上半部はすべて純黒色である。

眼先の下半部および耳羽、頬、腮、喉、頸側は白色、後頸の上部は純黒色で、下部は灰白色である。

肩羽、背、腰は淡灰色、胸、腹、脇、上尾筒、下尾筒は白色で、胸と腹はわずかに淡紅灰色を帯びている。

下雨覆、腋羽は白色で。初列風切の第2羽の外弁は黒色、内弁は白色で、羽軸に沿って基部に近いほど幅の狭い暗灰色の幅 4~5 mm位の縦斑がある。

ほかの羽の外弁は暗灰色または銀灰色で、内弁には羽軸に沿って同色の縦斑があり、羽縁と羽軸は白色である。

次列風切は淡灰色で、白色の縁があり、三列風切、大、中、小雨覆、初列雨覆、小翼羽は淡灰色である。

尾は白色で、最外側の尾羽の外弁は灰色、次の1~2対の尾羽は灰色を帯びている。

嘴色は濃い黒色、先端から 0.5~1 mm位は角白色、虹彩は暗褐色、脚色は暗朱色または暗褐色。

【冬羽】
頭上の各羽には白色の縁があり、額から眼くらいまでの高さは全部白色で、眼の前には黒色の斑がある。

雨覆羽の外側の部分には石盤灰色の縁がある。体の下面は純白色である。

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最終更新日:2020-06-12 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛は全身に長くて柔らかい幼綿羽が生え、各幼綿羽の先端は毛の様に尖る。

額はクリーム色または灰色で斑紋を欠き、体の上面はクリーム色または灰色で、頭上以下の体の上面には黒褐色の斑点があり、背の両側ではこの斑がやや不明瞭な黒褐色の2縦線をなして平行に走る。

腮の下部および喉、眼先の上部は淡褐色、褐色、暗褐色または暗黒色で、眼先の中央と眼の周囲とはクリーム色、腮の上部は白色で、そのほかの体の下面は白色である。

【幼鳥】
額は褐色を帯び、頭上、後頭、後頸の各羽の先端には褐色の縁がある。

体の上面は灰色で、黒褐色の横縞があり、各羽縁には黄味がかった赤錆色の縁がある。

雨覆羽の外側の部分には黒色の縁がある。体の下面は純白色である。嘴色は黒色、脚色は暗色。

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卵の形質

卵は淡オリーヴ色、淡褐色、オリーヴ褐色、暗オリーヴ緑色などの地に暗褐色または暗赤褐色の粗大な斑紋と灰鼠色の斑紋とが散在する。

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生態

生息環境

千島には夏鳥として渡来し、北海道以南には春秋の候に旅鳥として飛来。

海岸の河口、干潟、潟湖、大きい湖沼、大きい河などに現れる。

繁殖地では、海岸近くの湖沼や河川から内陸の淡水域、湿地帯にすむ。

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食性

水面上 1~6 mぐらいの高さからくちばしを水面に向けてダイビングするが、水中深くは入らず、せいぜい 20~30 ㎝ぐらいまでである。

水面に近づいて、ついばんでとることもある。

イワシ、タラ、イカナゴ、カレイなどの魚や甲殻類のほか、鞘翅目、蜻蛉目、双翅目の昆虫などを採食する。

もっぱら、水上を水面を見ながら飛び続け、ときどき水面に近づいたり、高いところから飛び込んだりしては再び飛び続ける。

越冬地では洋上にも出ていく。

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ライフサイクル

繁殖期は5~8月、一夫一妻で繁殖する。巣は地上の窪みや水面の浮葉植物の上につくる。

1巣卵数は1~3個で、3個が多い。

両親が抱卵するが、雌のほうが多い。雛は21~22日ぐらいで孵化し、早成性の半離巣性で、5日ぐらい雌が雛を抱き、雄が餌を運ぶ。

その後、両親が22~25日ぐらい雛に給餌する。

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鳴き声

キイリッ、キイリッまたはキイッ、キイッあるいは、ピッ、ピッと鋭い声で鳴き、飛翔中に鳴くことが多い。

警戒時にはピイリーッ、ピイリーッまたはギ―、ギーと鳴き、幼鳥はチッ、チッ、チッと鳴く。

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特徴的な行動

年中群れで過ごすが、2~10羽ぐらいの小群でいることが多い。

繁殖地ではコロニーへ集まり、コロニー内で、番はなわばり分散する。

なわばりは雄が設立し、その中で交尾や営巣をし、雛の隠れ場ともなる。

営巣場所をめぐる雄どうしの防衛は激しく、脅しのディスプレイがある。

地上で向き合い、首を起こして首の羽毛を逆立て、尾羽を上げ、両翼を押し下げる。

採食のためにコロニーの外に出かけるが、採食地の水域の沿岸に 200~300 mぐらいの採食なわばりをもつ。番形成の行動は空中と地上で行われる。

空中ものはハイフライトとよばれるアジサシ類に独特のディスプレイで、雄は魚をくわえて飛び回り、雌はそれについていく。

2羽はサークルを描きながら、空中を高く 200 mぐらいに上昇し、コーリングを行う。

頂点で雄は翼動を止めて、両翼をV字形に張り、グライドしつつ下降する。

雌もそれに続き、2羽は左右に互いちがいにゆれながら下降する。

空中のディスプレイには、もうひとつローフライトとよばれるディスプレイがある。

雄がコーリングしながら魚をくわえて低いところを波打つように飛ぶもので、しばしばハイフライトが始まる前に見られる。

地上の求愛ディスプレイは雌をなわばりへ誘うもので、雄は魚をくわえて猫背ポーズでチョコチョコと小刻みに歩き、雌の周りをめぐり、くちばしを下に向けてコーリングするものである(Cramp. 1985)。

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最終更新日:2020-06-12 キノボリトカゲ

その他生態

湖上、海上を、河口などの上空を翼をひらひらと、緩慢に力強く羽搏いて絶えず飛翔しつつ餌を漁る。

翼を激しく羽搏き、尾を下げて十分に拡げ、嘴を下げて停空飛翔しつつ水中の魚類を狙い、獲物を発見すると翼を窄めて斜めに水面めがけて落下して魚を捉え、捉えると直ぐ舞い上がるのが常である。

群れをなして餌を漁っていることが多く、渡りのときには2~4羽から30~100羽位の群れで鷸、千鳥類やコアジサシなどと混棲することもある。

ときどき砂地や泥地に下りたり、杙の上にとまったりして、じっと休んだり、羽毛を直したりする。

長く歩むことは稀で、両脚を交互にして歩むが上手ではない。一群の中の一部が交互に飛び上がっては採餌に出動していく。

飛翔時に滑翔することもある。稀には水面を泳ぐこともある。

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種・分類一覧