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ウミネコ(Larus crassirostris)の分類 カモメ科(Laridae)
ウミネコ(Larus crassirostris)の概要 カモメ属(Larus)

ウミネコ(Larus crassirostris)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Larus crassirostris Vieillot, 1818

基本情報

大きさ・重さ

・自然翼長:雄 39.01±0.80 cm (N=139) 雌 37.39±0.75 cm (N=98)
・成鳥尾長:雄 143.85±5.83 mm (N=139) 雌 136.36±4.84 mm (N=98)
・成鳥頭長:雄 112.78±2.66 mm (N=139) 雌 103.99±2.53 mm (N=98)
・成鳥ふしょ長:雄 57.62±2.15 mm (N=139) 雌 53.19±2.10 mm (N=98)
・成鳥体重:雄 641.2±44.0 g (N=139) 雌 537.5±42.3 g (N=98)

参考文献

最終更新日:2021-03-31 ハリリセンボン

分布

ロシア南東部から韓国、中国東部にかけての沿岸や離島で繁殖する。

日本では、北海道、本州、九州、伊豆諸島などの沿岸や離島で繁殖し、多くの繁殖地が天然記念物に指定されている。鹿児島県甑島が繁殖地の南限とされている。越冬期は、日本各地から東シナ海、中国南東部、台湾周辺まで南下する。

参考文献

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分類学的位置付け

チドリ目 カモメ科

参考文献

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形態

成鳥の形質

雌雄同色。成鳥の夏羽は頭部から腹部にかけて白色、背面と翼上面は黒灰色。翼の先端は黒く白斑がある。嘴は黄色で、先端部から赤色と黒色と続き、その後に下顎に赤斑がある。脚は黄色だが、濃淡の個体差は大きい。

若鳥は濃褐色で顔や喉は白色をおび、尾は基部が白く先が黒い。嘴は肉色で先が黒く、足は肉色。2年めの春には上面は灰色みが強く、下面は白色となり、完全な成長羽は4年めの冬から。孵化直後の雛は全身に柔らかくて深い幼綿羽で密生し、体の上面は淡褐色に黒褐色の斑点が散在し、体の下面は淡褐色である。

英名が示すように尾羽には黒帯がある。この特徴は、日本で見られるカモメ類の成鳥の中ではウミネコのみが持つ。冬羽は、頭部に灰褐色斑がはいる。

幼鳥は全体に黒褐色。嘴はピンク色で先端は黒色、脚は薄いピンク色である。4年目で成鳥の羽色になる。

参考文献

  • 2005 三省堂世界鳥名事典 - 書籍全体, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. .

最終更新日:2021-03-31 ハリリセンボン

卵の形質

長径:56~68.5 mm×短径 41.4~50.7 mm
平均長径:62.8 mm×短径 43.9 mm
重量 62.4 g程度

卵はニワトリくらいの大きさで、長径は平均 62.1 mm(55.1~69.5)、短径は平均 43.7 mm(40.4~47.8)。

卵の模様は、茶褐色か緑褐色の下地に黒色や茶色の斑紋が分布する。稀に斑紋が鈍端か鋭端のどちらかに偏って分布している卵や、斑紋がない卵がある。

参考文献

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生態

生息環境

各地の海岸線に沿って飛び、岩礁や漁港、港の防波堤に、河口部の中州、砂浜などに折りてズラリと並んで休息している。洋上にも飛んで出るが、よく沿岸の海域にいる。漁船に集まり、漁船について漁港に入ってきたり、また漁港に漁船がもどってくると群がってくる。ときどき大きい河川の上流に遡ったり、海が荒れると市街地の川や池に現れる。

繁殖期には、断崖に囲まれたむき出しかまたは草つきの岬、沿岸の無人島、岩礁などに集合してコロニーおつくる。樹林には入らない。

参考文献

  • 中村登流 1995 ウミネコ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. p. 154.

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食性

海上や海岸を飛び続けて水面や地上を探索する。飛びながらつまみとったり、水面に降りて泳ぎながらついばむ。また、上空から飛び込むこともあるが、水中に全身が入るような飛び込みではない。

漁船に群がってついて回り、上空を旋回しながら次々に下降して、ホバリングしながらこぼれ物を拾いとる。しばしばイワシの群れを丸めているウミスズメにつきまとい、上空に群がって旋回し、浮き上がる魚を狙う。地上に下りてついばむこともある。

雑食性で、イワシ、イカナゴなど魚類のほか、イカ、甲殻類、、昆虫、動物の死体、漁船や漁港で捨てられた魚の破片などを食べる。

参考文献

  • 中村登流 1995 ウミネコ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. p. 154.

最終更新日:2021-03-31 ハリリセンボン

天敵

ウミネコの卵やヒナはカラス類やオオセグロカモメによって捕食され、隣のなわばりの親による攻撃でヒナが死ぬこともある。

一部の繁殖地では、ネコ、ドブネズミの被害も生まれており、天売島ではネコによるヒナ、成鳥の捕食と繁殖地のかく乱があり、繁殖個体数減少の原因となっている。

参考文献

  • 綿貫豊 1996 ウミネコ, 日高敏隆(監修) 樋口広芳、森岡弘之、山岸哲(編) 日本動物大百科 3:鳥類Ⅰ. 平凡社. p. 114.

最終更新日:2021-03-31 ハリリセンボン

鳴き声

通常、“ニャア”や“ミャア”と繰り返し鳴く。

なわばり誇示行動のひとつと考えられる長鳴きを伴った傾斜姿勢や、雌雄が頭を寄せ合い嘴で地面を突くように小刻みに震わせるチョーキング、および求愛行動を示すヘッドトッシングの際に、“アーアーアー”、“クワックワックワッ”、“ミューミュー”と発する。

参考文献

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生殖行動

地面に浅い窪みを掘るか、岩場の窪みを利用し、枯れ草を集めて巣を作る。窪みを掘るだけの簡単な巣もある。

一腹卵数は1~4卵で、1~2日おきに1卵ずつ産む。一腹卵数は年によって異なるが、通常約60%(38~80)のメスは2 卵を産む。4卵巣は稀。ちなみに、カモメ類の多くは通常、 一腹卵数は3卵である。

参考文献

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種・分類一覧