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- トウゾクカモメ(Stercorarius pomarinus)について
トウゾクカモメ(Stercorarius pomarinus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Stercorarius pomarinus (Temminck, 1815)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:37-44 mm
・翼長:334-374 mm
・跗蹠:48-59 mm
・尾長:160-243 mm
・卵:長径 57.2-72.6 mm × 短径 41.5-47 mm 平均長径 64 mm × 短径 44.8 mm
参考文献
最終更新日:2020-05-22 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の寒帯で繁殖し、冬は熱帯海域から南半球まで渡るものもいる。
日本では、主に5~6月ごろに太平洋岸の沖合を渡りの途中で通過するが、冬でも見られ、日本海の洋上でも観察される。
参考文献
最終更新日:2020-05-22 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雌雄淡色型】
額・頭上・後頭・眼先・眼の下・下嘴の基部の羽は石盤褐色、腮・喉は白色で、多少黄色を帯びている。
耳羽の大部分および喉の両側は後頸・前頸・頸側とともに淡黄色である。
背・肩羽・腰・上尾筒・下尾筒は暗褐色、胸・腹・脇は白色で、胸側と脇には褐色の斑があり、下腹は暗褐色である。
下雨覆と腋羽は暗褐色である。
初列風切、次列風切は黒褐色で、内弁の基半部と外弁の基部の縁は白色で羽軸は淡黄白色で、先端は黒褐色である。
三列風切、大・中・小雨覆、初列雨覆、小翼羽は暗褐色である。
尾は黒褐色である。嘴色は淡青鉛色、先端は黒色。虹彩は暗褐色、脚色は黒色。
【雌雄暗色型】
全身は暗石盤褐色で、後頭と頸側にはときに黄褐色の光沢のあるものがある。喉には黒褐色の縦斑がある。
腹・下尾筒の一部に白色の羽が混ざるものや、胸や腹の中央だけ白色であるものがあり、脇に暗褐色の斑のあるものがある。
風切羽は淡色型のものと同様である。
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最終更新日:2020-05-22 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【雛】
孵化直後の雛は全身に幼綿羽が密生し、体の上面は淡褐色、下面は淡灰褐色である。
【幼鳥】
体の上面は赤錆色を帯びた暗褐色で、羽換したときには赤錆色の縁があるが、その後白色を呈し、最後には羽縁がなくなる。
頭上と頸は色が淡くて、縁の幅が狭く、腰と上尾筒は縁の幅が広い。
体の下面は褐色または淡黄褐色または淡灰褐色で、各羽には赤錆色の縁がある。
風切羽と尾は暗褐色で、基部は白く、羽軸は白色で、先端だけ褐色である。
下雨覆、腋羽は暗褐色で、白色または褐白色の横斑がある。尾の中央のものは長さ 10-20 mm位である。
跗蹠は淡青色、趾は黒色で、中趾の外側基部と後・内趾は青白色を呈する。
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最終更新日:2020-05-22 キノボリトカゲ
- 卵の形質
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卵はオリーブ褐色、淡オリーブ色、緑色を帯びたオリーブ色などの地に、黒褐色または暗褐色のやや粗大な斑点が散在し、ときには灰色の斑点があるものもある。
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最終更新日:2020-05-22 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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外洋性の海鳥で、繁殖期以外は沖合で生息することが多く、海岸や内陸で記録されることはごくまれである。
洋上で見られるので、船から観察されることが多い。繁殖期には、北極圏のツンドラ地帯の地上に浅い窪みを掘って巣とする。
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最終更新日:2020-05-22 キノボリトカゲ
- 食性
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小型のカモメ類やウミスズメ類(ミツユビカモメ、ユリカモメ、ウミネコの若鳥など)、アジサシ類などを襲って食物を吐き出させ、それを食べる習性があり、これらの鳥に狙いをつけ、空中でホバリングしたり、急降下したり、しつこく追い回したりと巧妙な飛び方をする。
繁殖期には主にレミング類など小型の哺乳食を食べ、海鳥の雛や卵なども略奪する。
非繁殖期には、魚類や小型の海鳥類を食べる。またアザラシの糞や甲殻類、昆虫類も食物とする。
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最終更新日:2020-05-22 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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北極圏では年に1回、6~9月、ツンドラ、湿地、草地、沼地畔などに集団で繫殖する。
1巣卵数は2個、1~2日おいて第2卵を産み、雌雄交替で初卵の産下日より25~27日抱卵する(Cramp & Simmons, 1983)。
雌雄共同で育雛し、雛は31~37日で巣立つが、巣立ち後さらに約2週間は親の給餌を受ける。
参考文献
最終更新日:2020-05-22 キノボリトカゲ