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- アカエリヒレアシシギ(Phalaropus lobatus)について

アカエリヒレアシシギ(Phalaropus lobatus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Phalaropus lobatus (Linnaeus, 1758)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:20-23 mm
・翼長:雄 103-110 mm 雌 105-119 mm
・跗蹠:19-22 mm
・尾長:44-54 mm
・体重:25-41 g
・卵:長径 26.7-33.3 mm × 短径 19.3-22.2 mm 平均長径 29.6 mm × 短径 20.9 mm
参考文献
最終更新日:2020-05-25 キノボリトカゲ
- 分布
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全北区。ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の北極圏、環極地方に繁殖分布し、アラビア半島、フィリピンからニューギニア島および南アメリカ大陸西部などの沿岸に渡って越冬する。
日本位は旅鳥として、8~10月と4~6月に少なからず見られる。
参考文献
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形態
- 成鳥の形質
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【雌雄夏羽】
額・頭上・後頭・後頸・頸側・眼先・耳羽は石盤灰色、腮は純白色、頸側・喉・前頸は濃い赤錆色である。
肩羽・背は石盤灰色で、背の両側には濃い赤錆色の縦斑が走り、肩羽の外側の各羽には濃い赤錆色の外縁がある。
上胸は前頸から引き続いて濃い赤錆色で幅の広い帯をなしている。下胸・腹・下尾筒は純白色である。
胸側と脇は灰色で、脇の各羽には白色の縁がある。腰は石盤灰色で、その両側は白色を呈している。
上尾筒は石盤灰色で、その両側は白色であり、中央の各羽には赤錆色の縁がある。下尾筒・下雨覆・腋羽は白色。
初列風切は石盤黒色で内縁は暗灰褐色を呈し、羽軸は白色である。
次列風切は灰褐色で、基部は白色、羽縁には白色の細い縁がある。内側の2枚の外弁は白色である。
三列風切は暗石盤褐色で、細長く延びている。
大雨覆は石盤黒色で、羽端には白色の幅の広い縁があり、中雨覆は石盤黒色で、白色の細い縁があり、小雨覆・小翼羽・初列雨覆は石盤黒色である。
嘴色は黒色。虹彩は暗褐色。脚色は灰青色かまたは鉛色、跗蹠の外側と外趾は暗色。
【雄夏羽】
雌の夏羽に類似しているが、体の上面の各羽には白色の縁があり、胸の赤錆色の帯は幅が狭くて石盤灰色を帯び、その各羽には白色の細い縁がある。
体は雌より小さい。
【雌雄冬羽】
額・頭上・前頸・頸側は白色、後頭は灰黒色、後頸は暗灰色、眼の前端から眼の後方まで石盤黒色の過眼線がある。
体の上面は石盤灰色で、各羽には白色の縁があり、体の下面は白色である。
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- 幼鳥の形質
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【雛】
孵化直後の雛は全身に綿羽が密生し、体色はハイイロヒレアシシギの雛に酷似するが、体の上面がそれより黄色に富むことと、嘴の基部に黒褐色の線になった斑がない点とが異なる。
【幼鳥】
額は白色、頭上は黒褐色、後頭・後頸は成鳥の冬羽と同様である。
体の上面は濃く直で黄味がかった赤錆色またはオーカー色の縁がある。
体の下面は白色で、喉・頸・胸は赤錆色を帯びた灰褐色で、胸の部分で帯をなしている。
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生態
- 生息環境
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渡り期には沿岸の海上、特に洋上に現れる。天候の悪い日には内陸に入り、水田や湖沼、池、水溜まり、ダム湖、大きい河川で見られる。
春の渡り期には海岸で大群を見ることがある。
繁殖地では海水域よりも淡水域や汽水域にすみ、海岸近くの池や湖水、あるいは流れの入り組んだ小灌木やコケ類の多い草地を好む。
ハイイロヒレアシシギよりもいくらか南にいて、本格的なツンドラ地帯に入ると少なくなる(Johnsgard, 1981)。
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- 食性
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繁殖地では、淡水生の昆虫、双翅類の幼虫・成虫、トビケラ類の幼虫、クモ類、ミジンコやハマトビムシなどの甲殻類、おたまじゃくしなどを食べる。
水面を気忙しく泳ぎ回り、盛んにターンして、クルクルと回りながらくちばしを突っ込んで捕らえる。
スピンはハイイロヒレアシシギより早く(Hohn, 1971)、多分もっと多く、ミジンコや甲殻類を食べる(Johnsgard, 1981)。
水田の水のとり入れ口や湖沼の雑排水の出口などに集まって活発に採食するので、甲殻類の大発生地に集まるのであろう。
ツンドラの湖沼地帯でも同じ集団採食が見られる(Johnsgard, 1981)。
浅い水や湿った砂泥地などで、歩きながらついばむこともある。
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最終更新日:2020-05-25 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は5~7月、一夫一妻で繫殖するか、または継時的に一夫多妻で繁殖する。
番の結合は短期的で、抱卵期に解消される。巣は、地上の窪みに草の葉や茎で内張りをして椀形に、雌雄でつくる。
いくつかの窪みをつくり、その一つに産卵する。1巣卵数は3~4個で、ほとんどが4個である。
抱卵は雄のみが行い、早成性で離巣性の雛は16~20日ぐらいで孵化する(Hilden & Vuolanto, 1972)。
雛の世話は雄が行い、初めの4~5日ぐらい抱雛し、20日ぐらいまで警戒などを行うが、雛がまだ飛べないうちに雛を置いて繁殖地から去る(Hilden & Vuolanto, 1972)。
雛はその後1週間ぐらいで飛べるようになり、群れて渡りの途につく。
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- 特徴的な行動
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非繁殖期には群れ、20~200羽ぐらいの群れですごすことが多い。
春の渡り期には大群となり、10万羽になることさえある。繁殖期には50番ぐらいまでのルーズコロニーへ集まる。
なわばりは見られない。雌は雄を呼び寄せるための 9~18 mを飛ぶディスプレイをする。
雄が現れると雄について回り、近づくほかの雌を追い払い、メイトガードを行う。また、雌は営巣地で雄を呼ぶスクレイピングディスプレイも行う。
1巣卵数をそろえると、雄から離れて雌どうしの群れに入るが、そこで巣卵を失った雄、あるいは余剰の雄がいればただちに求愛し、次の巣卵づくりにとりかかる(Hilden & Vuolanto, 1972)。
ときどき雛の近くにいる雌が観察されるが、これは雛の世話をしている雄に求愛するために近づくのであった雛への関心は示さない。
そればかりでなく、雄によって追い払われてしまう(Hilden & Vuolanto, 1972)。
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最終更新日:2020-05-25 キノボリトカゲ
- その他生態
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海上や湖上に小群または大群で生活し、頭部を前後に振り動かしながら、蹼で水を掻いて水面にジグザグを描いて活発に泳ぎ回る。
時折り水中に嘴や頭部を入れて餌を漁る。餌を探し終えると飛び立ってすぐ近くの水上に降りて餌を探し、再び舞い上がって次の水上に降りるという動作を繰り返す。
餌を漁ってときには、水上から舞い上がって飛んでいる昆虫などを捕らえることもある。低空を飛ぶことが多い。
自分を中心としてぐるぐるとひとつ水面を泳ぎ回り、水底や水中にある餌を水の渦巻と共に浮き上がらしてこれをついばむこともある。
ときには背まで水中に浸して、体を盛んに動かしつつ水浴することもある。鈍感で人がすぐ近くまで行っても平気である。
地上では両脚を交互にして歩むが、繁殖期以外には陸地に上がることは稀である。
繁殖期には普通の鳥と反対に雌がディスプレイし、雌は雄の泳いでいる周囲をぐるぐると円を描いて泳ぎ回り、時折り飛び立っては雄に突進する様に飛び掛かっていく。
ときには2-5羽くらいの雌が1羽の雄に対して求愛することもあり、また雌同士で雄の取り合いのため烈しい争いをすることもある。
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