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- アオシギ(Gallinago solitaria)について

アオシギ(Gallinago solitaria)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Gallinago solitaria Hodgson, 1831
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:66~79 mm
・翼長:149~170 mm
・跗蹠:28~38 mm
・尾長:63.5~73 mm
・体重:127~245 g
・卵:長径 40.2~45 mm × 短径 28.3~29.9 mm 平均長径 43.4 mm × 短径 29.9 mm
参考文献
- 清棲幸保 1955 アオシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 743-744.
最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸の中緯度地方の東半分にあたる中国、バイカル、ウスリーに繁殖分布し、冬はやや南方に移るが、あまり移動しない鳥である。
参考文献
- 中村登流 1995 アオシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 117.
最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ
- 学名の解説
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種小名・英名は孤独性の意味。
参考文献
- 吉井正 2005 アオシギ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 5.
最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ
- 分類学的位置付け
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チドリ目 シギ科
参考文献
- 吉井正 2005 アオシギ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 5.
最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雌雄】
額・頭上は暗褐色で、中央には白色の不規則な頭央線が走っている。後頭・後頸は黒褐色で、赤錆色を帯びた褐色の横斑がある。
眼の上には白色に暗褐色の小斑がある眉斑が走っている。
上嘴の基部から眼の後方まで、暗褐色の過眼線があり、耳羽・喉は白色で褐色の小斑が散在する。頬には暗褐色の線が走る。
腮は白色、前頸・頸側は褐色で、褐白色の小斑がある。
肩羽・背は黒褐色で、赤錆色を帯びた褐色の横縞があり、外側の各羽端には赤錆色を帯びたクリーム色または白色の縁がある。
下背と腰は黒褐色で、淡褐色または白色の横縞があり、胸は褐色で、褐白色の斑があり、腹・脇・下尾筒は白色で暗褐色の横縞が多数ある。
下腹は白色、上尾筒は淡オリーブ褐色で、先端の各羽には汚褐色の横縞があり、羽端には白色の縁がある。
下雨覆・腋羽は白色で、黒色の横縞が多数密在する。
初列風切は黒褐色で外弁と羽端には白色の縁があり、外側のものの外弁には白色の不規則な大理石様の斑紋がある。
次列風切は黒褐色で羽端には白色の縁があり、三列風切は濃い赤錆色を帯びた褐色で、黒色の横縞があり、外弁の縁は白色である。
大雨覆は黒褐色で、先端近くには赤錆色を帯びた褐色の横縞があり、羽端には白色の縁がある。
中・小雨覆は赤錆色を帯びた褐色で、黒褐色の横縞があり、羽端には白色の縁がある。
初列雨覆、小翼羽は黒褐色で、羽端には白色の縁がある。
尾は中央の1対は黒色で、先端近くは赤褐色で、羽端には白色と黒色との横帯がある。
ほかの尾羽は赤錆色を帯びた白色で、基部には黒褐色の横縞があり、羽端には白色の縁がある。
尾羽の数は20枚が常で、ときに18枚、稀には21~24枚のものもある。
嘴色は褐色で、先端は黒褐色、下嘴は肉色で、その先端は暗褐色。虹彩は黒褐色、脚色は無光沢の汚緑色。
参考文献
- 清棲幸保 1955 アオシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 743-744.
最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ
- 卵の形質
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卵は洋梨形で、淡黄褐色の地に暗褐色、濃栗色、褐色などの疎大な斑紋と灰色の斑点とが散在する。
参考文献
- 清棲幸保 1955 アオシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 743-744.
最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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山地や山岳地帯の渓流にすむ変わったシギである。渓流の河原、湖沼そばの谷間の藪地や草地で繁殖する。
ヒマラヤやアルタイ山地の標高 2000~4000 mの高地でも繁殖し、高山帯のシギと考えられている(ヴォロビョフ, 1977)。
日本には少数が冬鳥として訪れ、山地の渓流や雪に埋もれた湧き水の周辺などで見られる。
参考文献
- 中村登流 1995 アオシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 117.
最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ
- 食性
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湧き水周辺の砂泥地や樹林のふちの小さい流れで、長いくちばしを軟らかい砂泥に差し込んで採食する。
ひっそりと孤独にすごし、なかなか目に止まらない鳥である。ミミズやエダシャクトリの幼虫、カタツムリなどを食物とする。
参考文献
- 中村登流 1995 アオシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 117.
- 清棲幸保 1955 アオシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 743-744.
最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繫殖についてはよくわかっていないが、6月下旬に巣が見つかっている。
湿っぽい落葉広葉樹林内で、ヤナギの藪に覆われた窪みにヤナギ類の落葉が敷かれていたという(Dement’ev et al, 1969)。
1巣卵数は4個。8月に雛が見つかっている。
参考文献
- 中村登流 1995 アオシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 117.
最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ
- 鳴き声
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飛び立ち際にジャーッとタシギに似た嗄れた声で啼くことがある。
参考文献
- 清棲幸保 1955 アオシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 743-744.
最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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繁殖地では空中を啼きながらサークルを描いて飛び回り、騒音を上げて急降下するフライトディスプレイが知られる。
翼を斜め上に張り、尾羽を全開にして降下するので、騒音は多分尾羽の振動音であろう。
コーリングはチョッ、チョッ、チャアアアというものである(Dement’ev et al, 1969)。
参考文献
- 中村登流 1995 アオシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 117.
最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ