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オオソリハシシギ(Limosa lapponica)の分類 シギ科(Scolopacidae)
オオソリハシシギ(Limosa lapponica)の概要 オグロシギ属(Limosa)

オオソリハシシギ(Limosa lapponica)

近危急種 (NT or LR/nt)

【IUCN】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種

【 学名 】
Limosa lapponica (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:雄 70~89 mm 雌 88~121 mm
・翼長:雄 206~230 mm 雌 224~249 mm
・跗蹠:48~59 mm
・尾長:70~84 mm
・体重:187~438 g
・卵:長径 47~59.5 mm × 短径 35~39.3 mm 平均長径 57.3 mm × 短径 37.3 mm

参考文献

  • 清棲幸保 1955 オオソリハシシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 704-706.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

分布

全北区分布型。ユーラシア大陸と北アメリカ大陸西部の北極圏で繁殖し、アフリカ大陸から東南アジア、ニューギニア島、オーストラリア大陸で越冬する。

日本には旅鳥として8~9月と4~6月に各地に現れ、晩夏のほうが多い。

参考文献

  • 中村登流 1995 オオソリハシシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 113.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

学名の解説

種小名は最初の標本が記録されたラップランド地方に由来。

参考文献

  • 吉井正 2005 オオソリハシシギ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 90.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

亜種・品種

コシジロオオソリハシシギ

参考文献

  • 吉井正 2005 オオソリハシシギ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 90.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

チドリ目 シギ科

参考文献

  • 吉井正 2005 オオソリハシシギ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 90.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雌雄夏羽】
額・頭上・後頭・後頸は黒褐色で、各羽には赤錆色の縁がある。

眼の上には赤錆色の眉斑があり、眼先から黒褐色の過眼線が走り、各羽には赤錆色の縁がある。

耳羽は濃い赤錆色で、黒尾褐色の小斑があり、腮・喉・前頸・頸側は濃い赤錆色である。

肩羽は黒褐色で、各羽縁には淡赤錆色の鋸の歯形の斑紋がある。

背は黒褐色で、淡赤錆色の縁があり、後背は暗褐色で、白色の縁がある。

胸・腹は濃い赤錆色で、胸側の各羽には黒褐色の軸斑が多少あり、下腹の所々の羽には白色の縁がありまた白色の羽も混じている。

腰は赤錆色を帯びた白色で、黒褐色の矢筈形の横縞がある。

上尾筒は白色で、基部には黒褐色の矢筈形の横縞があり先端では直線的の横縞となっている。

下尾筒は赤錆色で、褐色の斑紋が散在している。下雨覆は白色で、黒褐色の軸斑があり、腋羽は白色で、黒褐色の横縞がある。

初列風切は黒褐色で、内弁の基部には白色と褐色の大理石様の斑紋があり、各羽軸は白色である。

次列風切は黒褐色で、羽縁は白色を呈している。

三列風切は細長く延びて黒尾褐色を呈し、羽縁には淡赤錆色の鋸の歯形の斑紋がある。

大・中・小雨覆は暗褐色で、白色の縁があり、初列雨覆、小翼羽は黒褐色である。

尾は赤錆色を帯びた白色で、暗褐色の横帯が多数ある。

ときには灰褐色の幅の広い横縞が多数あって、白色の横帯の部分が極く狭いものもある。外側の尾羽ほど赤錆色が少ない。

嘴色は黒色、基部は肉色。虹彩は褐色、脚色は黒色。

【雌雄冬羽】
体の上面は褐色で、羽軸付近は暗色を呈し、灰白色の縁がある。

体の下面は白色で、喉・前頸・胸側は淡灰白色で、喉には不明瞭な暗褐色の縦斑があり、前頸には暗褐色の軸斑がある。

脇には暗褐色の縦斑がある。下尾筒には暗色の斜めに走る縞がある。

跗蹠の前縁は灰色である。雌は雄より嘴の長いものが多い。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 オオソリハシシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 704-706.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
全身に綿羽が密生し、頭上は淡黄褐色と灰白色で多少セピア色の斑を混じ、上嘴基部の上方から後頭までセピア色の頭央線が走り、後頭はセピア色である。

眼の上には淡黄褐色の幅広い眉斑があり、顔・頬・腮・喉は灰白色で、眼先から眼の後方までセピア色の過眼線が走り、頬・腮・喉・前頸の各綿羽の基部は煤けた褐色である。

後頸の中央は淡黄褐色で、各綿羽の基部はセピア色である。

背以下の体の上面は淡黄褐色と灰白で多少セピア色を混じ、背から尾端までには淡黄褐色を混じたセピア色の太い縦線が走り、前頸以下の体の下面は灰白色で、前頸は多少赤味のある淡黄褐色を帯び、それ以下はやや淡黄色を帯びている。

【幼鳥】
体の上面は濃黒褐色で、黄味がかった淡赤錆色の縁があり、三列風切の羽縁には同色の鋸の歯形の斑紋がある。

腰は成鳥と同様である。

体の下面は汚淡黄褐色で、喉・前頸・脇には暗褐色の幅の狭い軸斑があり、喉・腹の中央および下腹は白色、下尾筒に白色で暗色の軸斑が多少ある。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 オオソリハシシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 704-706.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

卵の形質

卵はオリーヴ緑色の地にオリーヴ褐色の粗大な斑紋と小斑点とが散在し、斑点や斑紋は鈍端の方に多いのが常である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 オオソリハシシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 704-706.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

生態

生息環境

海岸の砂泥地、水溜まりや干潟、水田、河川、湖沼の砂泥地で見られる。

繁殖地では、低地の森林限界あたりの湿った蘚地、地衣ツンドラ、蘚類の多い灌木湿原にすむ。

参考文献

  • 中村登流 1995 オオソリハシシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 113.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

食性

水の中を歩きながら、頭を水中に入れて特異な形に反り返ったくちばしで探ったり、上下させたり、また水中をなぐように左右に動かして採食する。

甲殻類、軟体動物、昆虫、小魚などを食べる。

参考文献

  • 中村登流 1995 オオソリハシシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 113.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は6~7月、一夫一妻で繁殖する。巣は乾いた高まりにあり、地上の窪みに枯れ草や地衣類で内張りをする。

1巣卵数は3~5個で、ほとんどは4個。雌のみが抱卵するが、雄は近くで見張っており、夜間は抱卵するのかもしれない。

20~21日ぐらいで孵化し、雛は早成性の離巣性で、両親の世話で育つが、期間はわかっていない。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 オオソリハシシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 704-706.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

鳴き声

ピィーヨ、ピィーヨ、ピピ、ピィーヨ、ピィーヨ、ピィーヨ、ピィーヨと哀調を帯びた声で啼き、飛翔中にも啼き、特に舞い上がるときに啼くことが多い。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 オオソリハシシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 704-706.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

特徴的な行動

渡りのときには2~3羽から20~30羽、ときには200~300羽くらいの大群またはほかの鷸類(例えばダイゼン、ハマシギ)などと混群をなし、干潟や三角州で餌を漁っている。

地上では長い頸をS字形に縮め、両脚を交互にして悠々と大股に歩む。

潮の引いた干潟で嘴を泥中や砂の中に垂直に挿入して甲殻類や環形動物を食餌として漁り、潮の敷いた直後には嘴端近くだけを泥中にいれているが、潮が引いてから時間がたつと嘴の基部近くまで深く泥中に入れることがある。

潮がさし始めても水中を歩渉して餌を漁っているが、潮が満ちて水面に胸が達するくらいになると初めて舞い上がり岸近くの未だ潮のささない地に飛び移る。

ときには浅瀬の水面で嘴を左右に移動させつつ餌を漁ることがある。

群飛するときには主として横列に並び、舞い降りる前には中空を2~3回旋回飛翔してから地上に降りることが多い。

翼を力強く羽搏いて飛翔し、飛翔時には頸を縮め嘴を水平に延ばし、長い脚を尾端から出すのが常である。

休憩時には防波堤の上などに片脚で立ち、頭を後方に向け嘴を背羽の間に埋めている。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 オオソリハシシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 704-706.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

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