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オジロトウネン(Calidris temminckii)の分類 シギ科(Scolopacidae)
オジロトウネン(Calidris temminckii)の概要 オバシギ属(Calidris)

オジロトウネン(Calidris temminckii)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Calidris temminckii (Leisler, 1812)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:17-20 mm
・翼長:92-99 mm
・跗蹠:18-19 mm
・尾長:44.5-49 mm
・体重:16-33 g
・卵:長径 25.5-30.5 mm × 短径 19.4-21.5 mm 平均長径 27.9 mm × 短径 20.4 mm

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最終更新日:2020-05-21 キノボリトカゲ

学名の解説

種小名と英名はオランダの鳥学者テミンク(1775-1858)に由来。

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分類学的位置付け

チドリ目 シギ科

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形態

成鳥の形質

【雄夏羽】
額・頭上・後頭・後頸は灰褐色で、各羽の先端近く黒色の斑があり、羽端には赤錆色の縁があり、羽縁には赤錆色の斑がある。

頸・喉・前頸・頸側・胸は赤錆色をおびたクリーム色で、暗褐色の縦斑がある。

腮は白色、背・肩羽・腰は灰褐色で、各羽の先端近くに黒色斑があり、羽端には赤錆色の縁があり、羽縁には赤錆色の斑がある。

上尾筒は大部分が黒褐色で、赤錆色の明瞭な縁がない。腹・脇・下尾筒は白色である。

初列風切は暗褐色で、外弁と内弁の先端は黒色である。内側のものの外弁の基半部には白色の縁がある。

第2羽の羽軸は大部分白色である。次列風切は暗褐色で、基半部は白色、羽端には白色の縁がある。

三列風切、中・小雨覆は背と同様である。大雨覆は暗褐色で、先端は白色である。

尾は中央の1対はほかより長くて、黒褐色を呈し、羽換したときには淡赤錆色の縁がある。

ほかの尾羽は灰褐色で、外側のものほど白色で、最外側の尾羽はほとんど全部白色に近く、ときにはわずか灰褐色を呈しているものもある。

嘴色は黒色、下嘴の基部は淡オリーブ褐色。虹彩は暗褐色。脚色は淡オリーブ褐色。

【雌夏羽】
雄より嘴の長さが 2 mmほど長い。

【雄雌冬羽】
体の上面は暗灰褐色で、各羽には黒色の軸斑がある。

体の下面は白色で、前頸から上胸までは灰鼠色を帯びている。

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最終更新日:2020-05-21 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛は全身に幼綿羽が生え、色彩はトウネンの雛に酷似するが、それより全体に淡色で、クリーム黄色が強く、赤錆色が少ない。

【幼鳥】
体の上面は灰褐色で、各羽には黄味がかった赤錆色の縁があり、黒色の軸斑がある。

体の下面は白色で、上胸は淡灰褐色を呈し、赤錆色をおびたクリームの色斑がある。

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卵の形質

卵は黄褐色、緑灰色の地に暗褐色の粗大な斑紋と青灰色の斑点とが散在する。

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生態

生息環境

干潟、水田、溜池、河原などの湿った砂泥地で見られる。

繁殖地では、針葉樹林のふちの開けた砂利地や砂地が点在する湿地の灌木草原にすむ。

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食性

浅く水につかったり、あるいは湿った泥地を気忙に歩いて表面からついばみ、あまり探りを入れる採食はしない。

双翅類の幼虫・成虫などの昆虫、トビムシなど小型の甲殻類、軟体動物、ミミズやゴカイ類、湖沼の小動物や満潮時に海湾の干潟に現れる小動物などを食す。

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ライフサイクル

繁殖期は5~7月、番の関係は短期的でルーズで、雄は一夫多妻的で、雌は一妻多夫的である(Hilden, 1975, 1978, 1979)。

巣は灌木の根元の地上につくり、浅い窪みに枯れ草で内張りをする。1巣卵数は2~5個で、ほとんどが4個。


抱卵は雄のみまたは雌のみで行い、19~22日ぐらいで孵化する。

雛は早成性の離巣性で、雄のみまたは雌のみが世話をし、14~21日ぐらいで親は離れる。平均寿命は7年で、なかには10年以上も生きる個体もある。

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鳴き声

チュリリッ、チュリリッまたはプリリツ、プリリツと啼く。

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特徴的な行動

非繁殖期には20~30羽までの小群になる。日本に現れるものは単独か2~6羽であることが多いが、愛知県で20羽という記録がある。

繁殖期には雄はなわばり分散をし、樹上や空中でさえずって雌をよぶ。空中を旋回するフライトディスプレイもする。

繫殖システムは二重巣卵体制で、最初の1巣卵数がそろうと番を解消し、雌は第2の雄と番を組み、2番目の巣に1巣卵数がそろうまで第2の雌と付き合う。

その後、雄のほうは1番目の巣にもどり、その巣の抱卵を行い、孵化した雛の面倒を見る。

一方、雌のほうは2番目の巣で抱卵を行い、その雛の世話をする。

雌の場合はしばしばいなくなるので、最初の繁殖地を離れ、別の地域にいって2番目の繫殖を行うらしい。

大部分の雌は2番目の巣卵をつくるが、雌の3分の1は繁殖地を変える。

これが二重巣卵制の典型的な場合でもあるが、もっとさまざまなやり方が認められた(Hilden, 1975)。

むしろ一夫一妻で繁殖するものは例外的である。

雄は同時的に一夫二妻の場合があり、1つの巣に2羽の雌が産卵したり、2つの巣に別々に産卵させて両方の巣を保持したりするが、どの雌もいなくなることもある。

この場合、雄は初めは両方の巣で公交互に抱卵するが、やがて一方だけとなり他方を見捨てる。

しかしどちらかが捕食されて失敗すると、もう1つの方を抱卵してうまく育てることもある。

雌は同時的に一妻多夫となることはない。しかし継続的に相手を変えて次々に1巣卵数を産み、3巣になることもある。

この場合は、1つの巣は放棄してしまうが、雌のよってはいずれの巣も世話することなく、さらに次の雄を求めて去ることもある(Hilden, 1975)。

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