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オバシギ(Calidris tenuirostris)の分類 シギ科(Scolopacidae)
オバシギ(Calidris tenuirostris)の概要 オバシギ属(Calidris)

オバシギ(Calidris tenuirostris)

準危急種 (EN)

【IUCN】近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの

【 学名 】
Calidris tenuirostris (Horsfield, 1821)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:39~49 mm
・翼長:165~195 mm
・跗蹠:34~38 mm
・尾長:60~71 mm
・体重:106~207 g
・卵:長径 41.2~45.4 mm × 短径 30.7~32.3 mm 平均長径 44.1 mm × 短径 31.5 mm

参考文献

  • 清棲幸保 1955 オバシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 716-718.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

分布

旧北区。ユーラシア大陸の北極圏のコリマからアナジルにかけてのごく限られた地域のみに繁殖分布し、インドから東南アジア、ニューギニア島、オーストラリア大陸に渡って越冬する。

日本には旅鳥として全土に現れ、秋は比較的早く7~9月に、春は4~5月に見られる。

秋は北海道の根室地方で多数が見られ、春は九州北部に大群が現れる。

参考文献

  • 中村登流 1995 オバシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 181.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

学名の解説

種小名は細い嘴の意味

参考文献

  • 吉井正 2005 オバシギ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 116.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

チドリ目 シギ科

参考文献

  • 吉井正 2005 オバシギ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 116.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雄夏羽】
額・頭上・後頭・後頸は黒褐色で、各羽には灰白色の縁があり、特に後頸の羽縁は幅が広い。

頸・腮・喉は白色で、黒色小斑がある。背は黒褐色で、各羽には灰白色の縁があり、所々の羽には濃い赤褐色の縁がある。

肩羽も同様であるが、あるものでは濃い赤錆色の幅広い縁がある。

上背の各羽のうち、外弁の縁には赤錆色の斑がある。

前頸・胸・腹は白色で、前頸から胸まで黒色の丸型の横斑が密在している。

脇・下尾筒は白色で黒色の雨滴形の斑があり、ときには上尾筒は斑紋を欠いているものもある。

腰・上尾筒は背と同様で、各羽縁は純白色である。

下雨覆は白色で、翼縁の部分の羽は黒色で、白色の縁がある。腋羽は白色で、淡灰褐色の矢筈型の縦斑がある。

初列風切は黒褐色で、内弁の基部近くは褐白色、各羽軸は白色である。次列風切は灰褐色で、白色の細い縁がある。

三列風切は背と同様、雨覆羽は灰褐色で白色の縁がある。尾は灰褐色で、白色の細い縁がある。

羽軸は白色。嘴色は黒色、虹彩は暗褐色、脚色は暗石盤灰色。

【雌夏羽】
雄に類似するが、体の上面は赤褐色が少ない。

【冬羽】
体の上面は灰鼠色で、黒褐色の軸斑と淡色の不明瞭な縁とがある。上尾筒は白色で、黒色の斑が疎らにある。

下面は白色で、前頸・胸・脇には褐色の小斑がある。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 オバシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 716-718.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

体の上面は黒褐色で、各羽には白色に近い色の縁がある。背・肩羽にはクリーム色または淡赤錆路の縁がある。

上尾筒の基部の各羽は黒色で、白色の縁があるが、先端の部分の羽は純白色である。

体の下面は成鳥の冬羽に類似するが、上胸の斑はそれよりも密在する。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 オバシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 716-718.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

卵の形質

卵に灰黄色の地に赤褐色の斑点と青灰色の斑点とが散在し、鈍端には暗褐色の曲線斑がある。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 オバシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 716-718.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

生態

生息環境

渡り期には、海岸の砂浜や干潟、海岸に近い沼沢地、河口部の砂泥地などに現れる。

越冬地では、海岸の砂浜や干潟で見られ、内陸の河川に入ることもある。

繁殖地は山地のツンドラで、地衣類に覆われ、ところどころに草があったりむき出しの砂利地があるような場所である。

参考文献

  • 中村登流 1995 オバシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 181.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

食性

砂泥地でくちばしで探りを入れて、双翅類や鞘翅類など昆虫の幼虫・成虫、クモ類、甲殻類、ベリー、種子などを採食する。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 オバシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 716-718.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は6~7月頃だが、あまりよくわかっていない。巣はコケの上の窪みにつくる。

1巣卵数は4個(Dement’ev et al. 1969)。両親が交替で抱卵するが、雌は抱卵が終わる前に巣卵を見捨て、雄だけで雛を育てる(Johnsgard, 1981)。

参考文献

  • 中村登流 1995 オバシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 181.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

鳴き声

ピイーピ、ピイーピ、ピイーピ、ピピピまたはキィッ、キィッと物の軋る様な鋭い声で啼き、主として飛翔中に啼く。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 オバシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 716-718.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

特徴的な行動

非繁殖期は数羽~50羽ぐらいの群れで現れるが、ときには数百~数千羽の大群が見られる。

繁殖地では雄のフライトディスプレイが見られ、高く上昇して飛び回る。

参考文献

  • 中村登流 1995 オバシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 181.

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

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