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ツルシギ(Tringa erythropus)の分類 シギ科(Scolopacidae)
ツルシギ(Tringa erythropus)の概要 クサシギ属(Tringa)

ツルシギ(Tringa erythropus)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

絶滅危惧II類 (VU)

【環境省】絶滅の危険が増大している種

【 学名 】
Tringa erythropus (Pallas, 1764)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:53-65 mm
・翼長:150-175 mm
・跗蹠:52-61 mm
・尾長:60-73mm
・体重:83-205 g
・卵:長径 42-51.5 mm × 短径 30-34 mm 平均長径 47.2 mm × 短径 32.2 mm

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最終更新日:2020-05-20 キノボリトカゲ

分布

旧北区。ユーラシア大陸の高緯度地方や北極圏に繁殖分布し、アフリカ大陸中部からインド、東南アジアにかけて越冬する。

日本には旅鳥として各地に現れ、8~10月と3~5月に見られるが、春の渡り期の方がずっと多い。

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学名の解説

種小名は赤い足の意味

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分類学的位置付け

チドリ目 シギ科

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形態

成鳥の形質

【雌雄夏羽】
頭部・頸は石盤黒色で、羽換したときには各羽に白色の細い縁がある。

肩羽・翕・背は石盤黒色で、各羽縁には白色の幅の広い縁と白色の小斑がある。下背から腰までは白色、上尾筒は白色で、黒褐色の横縞が多数ある。

胸・腹は石盤黒色で、羽換したときには白色の細い縁がある。胸側と下腹の各羽には白色の幅の広い縁がある。

脇・下尾筒は石盤黒色で、白色の横縞が多数ある。下雨覆と腋羽は白色。

初列風切は黒褐色で、内弁の基部近くには大理石様の白色斑があり、内側風切羽の外弁には不規則な白色の横縞がある。

初列風切の第2羽の羽軸は白色、ほかの羽軸は淡褐色である。

次列風切は褐色で、白色の横縞があり、三列風切は褐色で、不明瞭な暗色の横縞があり、羽縁には白色の斑が横縞をなして多数ある。

大、中、小雨覆は石盤黒色で、白色の幅の広い縁があり、羽縁には白色の斑がある。初列雨覆、小翼羽は黒褐色である。

尾は石盤黒色で、灰白色の横縞が多数ある。嘴色は黒褐色、下嘴の基部は朱色、虹彩は褐色、脚色は暗赤褐色。

【雌雄冬羽】
頭上・後頭・後頸は灰褐色、眼先は褐色で白色の斑があり、眼の上には白色の眉斑がある。

上嘴の基部から褐色の過眼線があり、耳羽・前頸は白色で、褐色の縦斑がある。

腮・喉は白色。体の上面は灰褐色、三列風切・雨覆羽には白色の縁があり、羽縁には暗色の斑がある。

腰と上尾筒は白色、体の下面は白色で、胸には褐色の縦斑があり、胸側と頸側は灰褐色である。

翼は夏羽と同様であるが、色がやや淡い。

尾は灰色で、暗色と白色の横縞があり、中央の1対は一部分または全部横縞を欠いている。脚色は淡赤色。

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最終更新日:2020-05-20 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛は全身に綿羽が密生し、体の上面は多少淡黄褐色を帯びた灰白色で、各綿羽の先端は黒褐色である。

顔は淡黄褐色を帯びた灰白色で、眼先から後頸まで黒褐色の過眼線があり、上嘴の基部から後頭まで黒尾褐色の頭央線が走り、後頭から背の中央を経て尾部まで同色の線が走っている。

背の両側には黒褐色の線があり、翼にも同色の横帯がある。腿の周囲には黒褐色の斑があり、跗蹠の上部にも同色の斑がある。

体の下面は淡い黄褐色を帯びた灰白色で、上胸の各綿羽の基部は煤けた黒色である。

【幼鳥】
頭上・後頭・後頸は灰褐色で、眼の上には白色の眉斑があり、眼先からは褐色の過眼線がある。

腮・喉は白色、顔・胸・頸側は白色で、褐色の縦斑がある。

体の上面は灰褐色であるが、成鳥の冬羽より暗色で、各羽には白色の縁があり、羽縁には白色の斑がある。

体の下面は白色で、下腹・下尾筒には褐色の横縞がある。

尾の中央の1対は暗褐色で、白色の横縞がある。脚色は赤黄色または淡オレンジ赤色。

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卵の形質

卵は淡褐色、クリーム緑色、淡褐色などの地に暗褐色または濃赤褐色の粗大な斑点と淡青灰色の斑点とが散在する。

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生態

生息環境

繁殖地では森林限界近くの湿地、沼沢地、樹木の少ない荒れ地、藪ツンドラなどにすむ。

渡り期や越冬地では、海岸や湖沼岸の砂泥地、水田、溜池などに現れる。

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食性

浅い水の中の、それでもほかのシギ類に比べると深いところまで入り、歩いたり、しばしば泳いだりしながら採食する。

デリケートな長いくちばしでついばんだり、探りを入れたり、水中をなぐようにして、水生昆虫の成虫・幼虫、小魚、小エビなどの甲殻類、両生類、軟体動物などを食べる。

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ライフサイクル

繁殖期は5~6月、一夫一妻、または継続的一夫多妻で繁殖する。巣は草や蘚類の上につくり、枯死木のそばにあることが多い。

1巣卵数は3~4個で、多くは4個。雌は産卵をすませると1週間以内に巣を去り、抱卵は雄がほとんど行う(Cramp & Simmons, 1983)。

雛は早成性の離巣性で、ふつうは雄のみが世話をする。抱卵期や雛期は不明である。

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鳴き声

ピューイッ、ピューイッ、チューイッ、チューイッ、またはチョピー、チョピーなどと啼き、主として飛び立つときや飛翔中または友鳥のいるときなどに啼く。

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特徴的な行動

非繁殖期には集合性があり、10~50羽ぐらいの群れになる。繁殖期にはなわばり分散をするといわれる。

雄はスイッチバック型で、旋回するフライトディスプレイを行う。

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種・分類一覧