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ヤマシギ(Scolopax rusticola)の分類 シギ科(Scolopacidae)
ヤマシギ(Scolopax rusticola)の概要 ヤマシギ属(Scolopax)

ヤマシギ(Scolopax rusticola)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Scolopax rusticola Linnaeus, 1758

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:68~83 mm 
・翼長:180~219 mm  
・跗蹠:35~41 mm
・尾長:75~94 mm 
・体重:199~445 g
・卵:長径 40.3~46.8 mm×短径 31.8~36.8 mm 平均長径 41.8 mm×短径 33.4 mm 重量 21.9 g

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ヤマシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 739-742.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

分布

旧北区。ユーラシア大陸の中緯度地方に広く分布し、冬は同大陸南部、北アフリカ、中国南部、東南アジアに渡って過ごす。

日本では本州中部以北、北海道で繁殖し、北海道では夏鳥である。

本州では冬も見られるので漂鳥か留鳥で、本州西南以南、南西諸島までは冬鳥として現れる。

参考文献

  • 中村登流 1995 ヤマシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 71-72.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

学名の解説

種小名は田舎にすむもの、あるいは地上を走る鳥に由来。

参考文献

  • 吉井正 2005 ヤマシギ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 521.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

亜種・品種

アマミヤマシギ

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ヤマシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 739-742.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

別名・方言名

ホトシギ(母登鴫)

参考文献

  • 吉井正 2005 ヤマシギ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 521.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

チドリ目 シギ科

参考文献

  • 吉井正 2005 ヤマシギ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 521.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

夏冬とも雌雄同色。額から頭上までは黄味がかった灰鼠色で、黒色の横斑があり、上嘴の上縁の基部から額まで黒色の斑点からなる長さ 10~15 mmくらいの線が走っている。

頭上から後頸までは赤錆色で、黒色の斑紋が太い帯をなして多数あり、黄褐色の不規則な細い横帯が3条ある。

頭側は黄味がかった赤錆色で、黒褐色の小斑があり、眼先には下嘴の基部から眼まで黒褐色の斑点からなる線が走っている。

耳羽は黄味がかった赤錆色で、黒褐色の小紋があり、後端には黒色の帯をなした斑がある。

腮、喉は白色またはクリーム白色で、喉には暗褐色の細い横縞があり、喉の両側には赤褐色と黒褐色の斑からなる線が走っている。

前頸、胸、腹はクリーム白色または黄味がかった赤錆色で暗褐色の横縞があり、前頸、上胸は全体に暗赤錆色を帯びている。

前頸および胸の両側には黒褐色の大きな斑があり、その付近は赤褐色である。

背は赤褐色で、黒色の横縞があり、背の両側は黄味がかった赤錆色または灰褐色で、各羽端には黒色の斑がある。

肩羽は赤褐色で黒色の横縞があり、外側のものは黄味がかった赤錆色または灰褐色で、各羽端には黒色斑があり、外側には更に灰褐色またはクリーム色の斑がある。

腰は赤錆色で、黒色の細い横縞が多数あり、ときには黒色の縦斑や斑紋があるものもある。

上尾筒は腰と同様であるが各羽の先端には灰褐色または黄褐色の斑紋がある。下尾筒は腹と同様である。

下雨覆、腋羽は赤錆色を帯びた褐色で、暗褐色の太い横縞が多数ある。

初列風切は石盤褐色で、内外弁の縁には赤褐色の鋸の歯形の斑があり、第2羽の外弁ではこの斑はクリーム色である。

次列風切は石盤褐色で、内外弁の縁には赤褐色の鋸の歯形の班があり、内側のものではこの斑が横縞模様である。

三列風切は黒色で赤褐色の不規則な横縞が多数あり、先端には灰色または赤黄色の斑がある。

大雨覆は赤錆色で、暗灰色を帯びた黒色の太い横縞が多数ある。

中、小雨覆も同様であるが、中雨覆の内側のものの羽端には黄味がかった赤錆色の斑があり、翼縁のものは石盤黒色である。

初列雨覆、小翼羽は赤錆色で、黒色の横縞がある。尾は黒色で先端には幅 10~15 mmくらいの灰褐色の横帯があり、下面では白色を呈している。

各羽縁には赤錆色の鋸の歯形の斑紋がある。

嘴色は、淡褐色または褐色を帯びた肉色、先端は暗褐色、下嘴の基部は肉色である。

虹彩は暗褐色、脚色は灰色を帯びた肉色、ときには褐色のものもある。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ヤマシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 739-742.
  • 吉井正 2005 ヤマシギ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 521.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

額には黒色斑が多く、肩羽の先端は灰色でなく、黄味がかった赤錆色を帯びている。

尾は黒褐色で外弁および内弁の先端には淡褐色の班があり、羽端には灰色の幅 5~8 mm位の横帯がある。

形は成鳥より小さく、嘴も短く、羽は柔らかい。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ヤマシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 739-742.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は灰白色、クリーム白色、灰褐色などの地に暗褐色の粗大な斑紋と灰色の斑点とが散在し、斑点は鈍端の方に密生するのが常である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ヤマシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 739-742.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

生態

生息環境

本州中部以南では冬鳥や旅鳥が多いが、本州中部以北では主として夏鳥である。

低地や低山帯の常緑広葉樹林、落葉広葉樹林、針広混交林、スギ林、マツ林などいろいろな林にいるだけでなく、農耕地、河川敷、水湿地、灌木湿地、湿原など幅広い生息域をもつが、夜行性と極端な隠遁生活のため、生息地での様子はよくわからない。

繁殖期には林内の湿っぽい空地を好み、越冬期の日中は林内の空地周辺の藪を隠れ場所とし、夜間は湿地、水田、湿った農耕地、あるいは湖畔、沼沢地などに採食のためでていくらしく(清棲, 1978)、そのために 1~3 kmも飛ぶことがある(Cramp & Simmons, 1983)。

参考文献

  • 中村登流 1995 ヤマシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 71-72.
  • 清棲幸保 1955 ヤマシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 739-742.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

食性

夕方から夜間にかけて林を出て、河畔、水田、沼沢地などに現れ、薄暗い場所の湧き水、溜り水、細い流れなどがある水湿地の地上で採食する。

体をうずくまらせるような猫背で、くちばしを45度ぐらいにしてゆっくり歩く。

水溜りや泥などの軟らかい地面にはくちばしの3分の1ぐらいを差し込んでは探り、虫を探り当てるとくちばし全体を差し込み、上下に動かし、先端部を開閉して虫を捕える。

それができない乾いた地面では、落ち葉の束をくちばしでひっくり返したり、動物の糞をひっくり返したりしてついばむ。

主として動物食で、ミミズや昆虫、特に甲虫や双翅類の幼虫、ムカデ類、エビなどの甲殻類、貝類、軟体動物などを食べる。

植物食としてはアブラススキのほか、イネ科やタデ科の種子を食べる。

参考文献

  • 中村登流 1995 ヤマシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 71-72.
  • 清棲幸保 1955 ヤマシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 739-742.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

ライフサイクル

クロッ、クロッまたはコロッ、コロッと低い声で啼きながら飛翔し、ときにはギーッ、ギーッと啼くこともある。

参考文献

  • 中村登流 1995 ヤマシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 71-72.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

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