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ハジロコチドリ(Charadrius hiaticula)の分類 チドリ科(Charadriidae)
ハジロコチドリ(Charadrius hiaticula)の概要 チドリ属(Charadrius)

ハジロコチドリ(Charadrius hiaticula)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Charadrius hiaticula Linnaeus, 1758

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:12-13 mm
・翼長:117-132 mm
・跗蹠:23-25 mm
・尾長:53-60 mm
・卵:長径 33.1-36.3 mm × 短径 24.4-25.7 mm 平均長径 32mm × 短径 25 mm

参考文献

最終更新日:2020-05-21 キノボリトカゲ

分布

旧北区。ユーラシア大陸の高緯度地方から北極圏で繁殖し、アフリカ大陸に渡って越冬する。

日本は渡りのルートから離れているため、めったに現れない稀な旅鳥、または冬鳥である。

これまで北海道、岩手、千葉、東京、神奈川、新潟、石川、富山、愛知、岡山などの各都道府県に記録がある。

千葉県、愛知県では越冬の記録がある。比較的、秋の渡り期の記録が多く、たいてい1羽で現れるが2~4羽のこともある。

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最終更新日:2020-05-21 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

チドリ目 チドリ科

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最終更新日:2020-05-21 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雄雌夏羽】
額は白色で、嘴の基部には黒褐色の細い帯がある。額と頭上との境には黒色の幅の広い帯があり、両側の眼と眼にわたっている。

眼先から耳羽まで黒色の幅の広い過眼線がある。眼の後方には汚白色の線がある。

頭上・後頸は淡褐色、腮・頬・喉は白色、頸には白色の幅の広い頸輪があり、その下部には更に黒色の頸輪があり、前頸のほうが広く、背の方は幅が狭い。

背・肩羽・腰・上尾筒は淡褐色、胸・腹・脇・下尾筒は純白色である。下雨覆・腋羽は純白色である。

初列風切は暗褐色で、内弁の基部は白色を帯び、羽軸の先端から 20-30 mmくらいは白色である。内側のものの外弁の羽軸付近には白色の縦斑がある。

次列風切は褐色で先端には白色の細い縁があり、基部は白色である。内側の2枚は全く白色である。

三列風切と雨覆羽は淡褐色である。尾は中央の1対は褐色で、ほかの尾羽は褐色を呈し、先端近くには黒色の帯があり、羽端には白色の細い縁がある。

最外側の尾羽は白色、次の1対の尾羽は白色で、先端には暗褐色の斑がある。

嘴色は褐色、先端は黒色、基部はオレンジ色。虹彩は濃褐色、脚色は汚オレンジ色。

【雌雄冬羽】
夏羽に類似しているが、前額の帯は暗褐色を呈している。

体の上面は暗色で、褐色勝ちである。黒色の胸帯には褐色を混じているものが多く、特に雌に多い。

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最終更新日:2020-05-21 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛は全身に幼綿羽が密生し、額は白色、頭上はクリーム灰色で黒褐色の不規則な斑紋や斑点が散在する。

頭の中央には黒褐色の頭央線(ときには不明瞭)が走り、眼先から眼の後方まで黒褐色の過眼線があり、左右のものが後頭部で合する。

後頸には白色の幅の広い帯があり、それ以下の体の上面はクリーム灰色で、黒褐色の斑紋や斑点が散在し、翼と翕は全体に黄味を帯びている。

翼の先端は白色で、翼・腰・尾端に沿って黒褐色の不規則な線が走り、尾端は黒褐色で各綿羽の先端はクリーム色である。体の下面は白色である。

【幼鳥】
成鳥に類似しているが、体の上面の各羽には褐色を帯びた砂色の縁がある。額には黒色の帯がなく、眼先から耳羽までの過眼線は暗褐色である。

頸輪は背の方にだけ黒色の帯があり、胸には褐色の胸帯があり、各羽にはクリーム褐色の縁がある。頸側は黒褐色である。

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卵の形質

卵は黄味を帯びたクリーム色または赤錆色を帯びたクリーム色、あるいはオリーブ色を帯びたクリーム色などの地に黒褐色の微細な小斑点と灰色の小斑点とが散在する。

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似ている種 (間違えやすい種)

ミカヅキチドリ

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生態

生息環境

干潟、潟湖、池沼などの砂泥地で見られることが多い。

繫殖地では、海岸ツンドラの池沼、湖沼などの砂泥地や小石の多い岸辺にすんでいる。

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食性

マグソコガネなどの昆虫、トビムシなどの甲殻類、小貝などの軟体動物、環形動物などを急襲して食べる。

しばしば泥面を片脚で叩いて餌を追い出す。

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ライフサイクル

一夫一妻で繁殖し、砂上の窪みに小石や貝破片を敷いて巣をつくる。

1巣卵数はほとんど4個、雌雄交替で抱卵し、早成性で離巣性の雛は24~25日ぐらいで孵化し、両親の世話で21~23日ぐらいで独立する。

同時的一夫二妻で、1巣に2雌が産卵し、抱卵と雛の世話をヘルパーと雌雄で分担するなどの変わった繁殖例が記録されている。

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最終更新日:2020-05-21 キノボリトカゲ

鳴き声

地上に降りているときや飛翔中には、ピュー、ピューと啼き、繁殖期にはピュリッ、ピュリッ、ピュリッ、ピュリッと啼く。

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最終更新日:2020-05-21 キノボリトカゲ

特徴的な行動

両親によって防衛されるなわばり分散をして繁殖するが、巣間距離が 7~10 mのルーズコロニーの例もある。

営巣場所を中心にしたなわばりは 600~800 ㎡ぐらいで、雄のフライトディスプレイは直径 200 mぐらいの旋回である。

スクレイピングディスプレイや求愛のディスプレイなどがよく知られており、コチドリに似ている。

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その他生態

繁殖期以外の時期には、ハマシギやトウネンと混じって群れることが多い。

地上では両脚を交互にして忙し気に走り歩き、1-3 mくらい迅速に走っては立ち止まって餌を摂り、また方向を変えて走り立ち止まっては餌を漁り、ジグザグ形に歩行することが多い。

立ち止まったときに体を上下に振り動かすのが常である。

飛翔は迅速で、翼を規則正しく力強く羽搏いて直飛し、方向転換も巧みである。

飛び降りる前には多少滑翔して両翼を上方に延ばしたままで地上に舞い降り、そのままの姿勢で数歩歩むのが常である。

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最終更新日:2020-05-21 キノボリトカゲ

種・分類一覧