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- ミヤコドリ(Haematopus ostralegus)について

ミヤコドリ(Haematopus ostralegus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
- 【 学名 】
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Haematopus ostralegus Linnaeus, 1758
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:80~110 mm
・翼長:230~280 mm
・跗蹠:48~58 mm
・尾長:100~115 mm
・体重:487~642ℊ
・卵:長径 56~59.3 mm×短径 36.4~46.6 mm
参考文献
最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸西部沿岸、地中海地域、中央アジアのウクライナ、カザフ、ロシア内陸部、および中国北東部、シホテリアン地方の沿岸、カムチャッカ半島南部などに点々と非連続に繁殖分布し、冬はアフリカ大陸から紅海、ペルシャ湾、インド、中国南部などの沿岸に渡ってすごす。
日本にはほぼ全国の海岸に、ごくまれな旅鳥または冬鳥として渡来するが、千葉県、神奈川県、福岡県などには毎年群れが現れ、越冬している場所がある。
これまでの渡来記録は、7月を除く全月におよび、とくに9~11月に多い。
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形態
- 成鳥の形質
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頭と上面は黒色。下面は白色。嘴は濃い橙色、足は桃色、虹彩と眼の周りは濃赤色。
体はずんぐり型で、足は比較的短い。長く頑丈な嘴は縦に扁平で、これを用いて二枚貝などをこじ開けることができる。
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最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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喉には白色の大きな斑紋があり、肩羽、三列風切、大雨覆は黒褐色で、羽端には赤錆色の不規則な縁がある。
上尾筒の各羽の先端には黄味がかった淡赤錆色と黒色の不規則な横縞がある。
嘴色は暗褐色で、基部は赤色、脚色は肉色。
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生態
- 生息環境
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繁殖地は、岩石海岸、砂利海岸、砂浜海岸、乾いた海岸草原、河口干潟、潟湖、サンゴ礁などに多様な沿岸だけでなく、内陸の塩水湖や淡水湖沼、川などの沿岸の砂地草原、湿った雑草地などと異様に幅広い。
もともとは海岸地帯が本来の適地らしいが、内陸にはむしろ人工的な農耕地に入り込んだようである(Johnsgard, 1981)。
冬は海岸からあまり離れず、潮干帯の砂浜、砂利浜、岩礁地、入江の砂泥地など、幅広くいろいろなところで見られる。
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- 食性
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砂泥地で二枚貝を食べるときは、とり出した貝の殻の一部をくちばしで叩いて突き破り、そこからくちばしを差し込んで閉殻筋を裁断するが、開いている貝の中にくちばしをすばやく突きさし、貝が閉じてくちばしを挟んだものをとり出し、閉殻筋を裁断する。
岩石についている貝を食べるときは、貝殻のふちにたがねを打ち込むようにくちばしを叩き込み、こそぎとるようにする。
カニは、掘り返して足を左右に向けてくわえ上げ、仰向けに叩きつけてくちばしでブスリと突きさす。
ゴカイ類の場合は、排糞のため後尾を砂上へ出したときを狙ってくわえとり、引っ張り出す。
このように相手次第で方法を変えるが、何よりも貝の閉殻筋を切断する処理方法が特徴といえる。
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- ライフサイクル
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繁殖期は4~7月、一夫一妻で繁殖する。巣は、草が疎らに生えた露出地の地上につくるが、砂地や岩石地、農耕地、ときには人家の平らな屋根の砂利の上につくることもある。
浅い窪みに、漂流物の破片、小石、貝殻の破片などで内張りをし、雌雄でつくる。
1巣卵数は1~4個で、3個が多い。抱卵は雌雄交替で行い、24~27日ぐらいで孵化する。
雛は早成性の離巣性で、両親の抱擁、育雛で育ち、28~32日ぐらいで巣立つが独立するまでは幅があり、なお6週間も親についているものもある(Cramp & Simmons, 1983)。
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- 鳴き声
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蕃殖期にはポピィーヨ、ポピィーヨ、ピピピピピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッまたはクイッ、クイッ、クイッ、クイッ、クイッ、あるいはキイッ、キイッ、キイッ、キイッと啼き、警戒時にはピッ、ピッ、ピッと啼き、常にはクリップ、クリップ、クリップなどと2~3声啼き、飛翔中や飛び立つとき、または飛降りたときなどに啼く。
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- 特徴的な行動
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非繁殖期には群れる。潮干帯に広がって採食するときは小グループか単独で分散するが、満潮になると20~100羽ぐらい集まって休息する。
繁殖期にはコロニー状に集まり、その中でなわばり分散する。
一夫一妻は長期的で生涯のものが多く、冬にもいっしょにいるものもあり、また営巣地へのこだわりも強い(Cramp & Simmo-ns, 1983)。
なわばりの広さは場所によって著しく変異する。
海岸で繁殖なわばりと採食なわばりが隣り合っているときは狭くて 1 haぐらいだが、内陸の川辺では広く 7.6 haぐらいまでと、いろいろである(Cramp & Simmons, 1983)。
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