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- レンカク(Hydrophasianus chirurgus)について

レンカク(Hydrophasianus chirurgus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Hydrophasianus chirurgus (Scopoli, 1786)
基本情報
- 分布
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旧北区、東洋区、エチオピア区。ユーラシア大陸南部の中東南部からインド、マレーシア、フィリピンにかけて繁殖分布する。
日本に近いところでは台湾で繁殖する。日本には迷鳥としてごくまれに現れ、本州中部以南、九州、南西諸島の各地で見られる。
ほとんど冬には見られず、10月と3~7月によく現れる。あまり人を恐れない鳥である。
参考文献
最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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夏羽は背・下面が黒色。翼・頭が白色、後頸が黄色で著しく長い黒色の尾をもつ。
冬羽は上面が茶褐色で下面は白色となり、尾は短くなる。
参考文献
最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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小さい池や沼から大きい湿地や潟湖まで、いろいろな淡水系にすみ、ハスやヒシ、ホテイアオイなどの浮葉植物の豊かな水域を好む。
低地から標高 1,500 mぐらいの山地にまで見られ、水の状況によっては移動する。
日本には浅い池沼、池の多い湿地、水田やハス池、農耕地の池などに飛来する。
参考文献
最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ
- 食性
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比較的オープンな水面で採食する。開水域では泳ぎながら、浮葉植物で埋まっているところでは浮葉の上を歩きながらついばんでいく。
主として植物食で、草の種子や水草の水を含んだ茎、あるいは根などを食べる。
また、水生昆虫の幼虫、淡水生のモノアラガイや二枚貝、カエルや軟体動物の卵などの動物質も食べる。
参考文献
最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は各地で異なり、雨季の入りに始めることが多い。中国の北京では6~8月である。一妻多夫で繁殖する。
巣は水上の浮葉植物の上に、水草の葉や茎などを薄く積み重ねるか、またはカヤツリグサ類の葉や茎を折り曲げたりからみつけたりして、皿形につくる。
雄がつくり、雌は巣材を近くからほうり投げることを手伝う。雄も雌も、巣材をくわえて運ぶことはしない。
1巣卵数は4個。雌は1巣卵数をそろえるとその巣と雄から離れ、次の雄を探して求愛し、新しい雄の巣に1巣卵数をそろえる。
こうして雌は継続的に複数の雄と一次的な番を形成し、いくつかの1巣卵数を産んでゆき、1カ月に3~4の巣卵をそろえ、繁殖期を通して7~10の巣卵をそろえる(J-ohnsgaed, 1981)。
しかし卵の被害は大きく、その死亡率は高い。抱卵はすべて雄が行う。雛は26日ぐらいで孵化する。
抱卵中に巣卵を除いたりすると、雄は顎の下で卵を引き寄せるようにしながら水を利用して運搬し、ときには15mも移動させる(Ail & Ripley, 1969)。
雛は早成性の離巣性で、雛の世話は雄のみが行う。雄は雛を翼の内側に入れ、脇腹との間に挟んで運ぶことができる(Ro-berts, 1992)。
雄は雌を50~60日ぐらいガードする(Roberts, 1992)。
参考文献
最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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水田地帯に広がってなわばり分散をする。繁殖期には雄は激しくなわばりを防衛し、雌は一次的に番となった雄のなわばり防衛を手伝う。
その手伝いは1巣卵数がそろうまでである。雄が張るなわばりは固定した番形成の場所で、そこで雄はコーリングによって雌を引きつけ、番の形成が行われる。
この場所が後に営巣場所となっていく。雌は雄に近づき、斜めから雄に求愛のディスプレイを行い、雄は脇から雌の背面にマウントする。
非繁殖期には群れ、50~100羽にもなる大群をつくり、ルーズに広がって採食する。
参考文献
最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ