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シロハラクイナ(Amaurornis phoenicurus)の分類 クイナ科(Rallidae)
シロハラクイナ(Amaurornis phoenicurus)の概要 シロハラクイナ属(Amaurornis)

シロハラクイナ(Amaurornis phoenicurus)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Amaurornis phoenicurus (Pennant, 1769)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:雄 38~41 mm 雌 34~37.5 mm
・翼長:雄 165~174 mm 雌 152~162 mm
・跗蹠:雄 55~60 mm 雌 52~58 mm
・尾長:雄 66~76.5 mm 雌 63~70 mm
・卵:長径 27.8~33 mm × 短径 21.5~23.2 mm 平均長径 28.4 mm × 短径 21.5 mm

参考文献

  • 清棲幸保 1954 シロハラクイナ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 876-877.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

分布

旧北区、東洋区。インド、中国南部、台湾からアジア南部に分布する。かつては南西諸島に迷行する迷鳥と考えられていた。

現在、沖縄県で留鳥として周年生息するが、分布は局地的で、個体数も少ない。

沖縄でもその存在がはっきりしたのは1871年のことで、繁殖が確認されたのは1875年である(与那城, 1975)。

西表島や沖縄本島では、近年個体数が増えだしたという。

近年、鹿児島県(田中, 1983)、熊本県(高木, 1987)でも繁殖が確認され、少しづつ生息地を北へ広げつつあり、高知県(澤田, 1983)や小笠原諸島(千葉, 1985)でも生存が確認されている。

本種は現在、分布を拡大する傾向にあり、その動向が注目される鳥のひとつである(中村, 1987)。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 シロハラクイナ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 41.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

学名の解説

種小名は赤紫色の尾という意味。

参考文献

  • 吉井正 2005 シロハラクイナ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 276.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

ツル目 クイナ科

参考文献

  • 吉井正 2005 シロハラクイナ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 276.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雄】
額は純白色、頭上・後頭・翕・肩羽・背・腰・脇はオリーヴ褐色を帯びた暗石盤黒色、腮・眉斑・喉・頸側・耳羽の前端・胸・腹は純白色である。

耳羽の後端から体側に沿って条の黒線が走り、体の上面の暗石盤灰黒色と体の下面の純白色との界をなしている。

背および腰の両側と下尾筒は栗色、下腹は淡栗色である。

翼および尾は暗石盤灰黒色、翼線は細く白色を呈し、下雨覆、腋羽は暗石盤灰黒色である。

嘴角は若緑色で、上嘴の基部の脹らみは鮮橙赤色。虹彩は深紅色、脚色は淡オリーヴ黄色。

【雌】
雄に酷似するが、やや小型である。

参考文献

  • 清棲幸保 1954 シロハラクイナ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 876-877.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は濃クリーム色で、赤褐色と灰紫色の大小の線や点などの斑紋がある。 

参考文献

  • 清棲幸保 1954 シロハラクイナ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 876-877.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

生態

生息環境

湖沼、沼沢、河川の水辺の藪や草むら、ヨシ原、水田、マングローブ林などの湿地に好んで生息するが、山間部の茂みにも現れる。

畑などの比較的開けた場所にも出没し、また水から離れた乾燥地でも見られる。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 シロハラクイナ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 41.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

食性

両脚を交互に動かして歩き、地上に生息する昆虫、軟体動物をついばむ。植物では穀類を食べる。

池の水面に浮くハスの葉などの上を歩いて餌を探すこともある。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 シロハラクイナ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 41.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

ライフサイクル

沖縄県のような暖地では2月下旬から繁殖期に入り、10月ごろまでに多いものでは3回ぐらい繁殖する。

九州では4月に巣作りや卵が確認され、6~8月には雛が確認されていることから、3月ないしは4~8月ごろまで繁殖するものと考えられる。

低木や背が高い草の上に枯れ草を積んで皿形の巣をつくる。

鹿児島県での繁殖例では、巣は地面より約 30 ㎝の背丈の草の間にあり、皿形で巣材には枯れ草が使われていた(田中, 1983)。

熊本県の例では、低木と竹の薮の中につくられ、巣の上にはツル植物が密におおっていた(高木, 1987)。

親は枯れ草を食いちぎり、何度も巣に運搬する。1巣卵数は4~8個(清棲. 1978)、鹿児島県の場合には1巣7個。

雌雄交替で約20日抱卵する。雛は早成性で、孵化と同時に歩くことができる。

孵化した雛は全身が黒いが幼綿羽に覆われ、くちばしの根元に白い斑がある。

孵化後1か月ぐらいで親とほぼ同じ大きさになり、成長とともに白斑は頭の方に広がっていく。

雛連れで発見されるときは、親鳥2羽の後ろに3~4羽の雛がついていることが多い。

抱卵行動、雛の連れ立ち行動などから、一夫一妻で繁殖すると考えられる。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 シロハラクイナ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 41.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

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