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- クロガモ(Melanitta nigra americana)について

クロガモ(Melanitta nigra americana)
- 【 学名 】
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Melanitta nigra americana (Swainson, 1832)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:40~45 mm
・翼長:207~223 mm
・跗蹠:40~47 mm
・尾長:70~100.5 mm
・体重:720~1069ℊ位
・卵:長径 59.3~71.5 mm×短径 41.3~47.7 mm 平均長径 65.3 mm×短径 44.8 mm
参考文献
最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ
- 分布
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全北区。ユーラシア大陸の北極圏、北アメリカ大陸のアラスカ沿岸、ラプラドル半島に繁殖分布し、冬は両大陸の中緯度地方の沿岸に渡ってすごす。
日本には冬鳥として北海道、本州、四国、九州の海岸に渡来するが、本州中部以北に多い。
日本海側では新潟県佐渡島あたりまで、太平洋側では千葉県あたりまでに群れが見られる。
北海道の根室半島では夏でも見られ、繁殖しているといわれる。
一般的に、11月から翌年の4月ごろまで見られる。
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形態
- 成鳥の形質
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全身黒色で上嘴は基部が隆起し、上嘴に黄色部分がある。
脚は黒褐色、虹彩は褐色。亜種クロガモ M. n. americana の上嘴は橙黄色、亜種ヨーロッパクロガモ M. n. nigra の上嘴は鼻孔周辺のみ黄色。
雌は褐色で頬と上頸が淡灰色。
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最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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孵化直後の雛は全身に綿羽が密生し、眼先、頭上、眼の下、後頭、体の上面などは黒褐色で、翕の上部、体側、脇などは暗褐色である。
眼の下縁には白色の小斑のあるものがある。
腮、喉は白色を帯び、前頸には暗褐色の横帯があり、それ以下の体の下面は灰白色である。
頸側、腹、肛門の周囲の綿羽の先端は多少暗褐色である。
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生態
- 生息環境
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繁殖地は淡水の湖沼、池、河川のあるツンドラ地帯や樹林池で、営巣地は丈の高い草や藪の茂るところである(Johnsgard, 1978)。
池や川の中の小島や岬、土手などにも繁殖する(Cramp & Simmons, 1977)。
水域から離れる場合もある。換羽期には開けた湖水や海で群れる。
越冬地では、海岸の沿岸や海岸から 500 mないし 2 ㎞ぐらいの離れた洋上にいる。
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- 食性
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繁殖地では、淡水に潜水して採食し、2~4 mぐらい、18~30秒ほど潜る(Cramp & S-immons, 1977)。
越冬地では、沿岸の砂浜や磯で潜水して採食する。12 mぐらいまで潜るが、7~8 mぐらいの深さに潜ることが多い(Johnsgard, 1978)。
潜水するときは翼を少し開き、一度尾羽を立てるように空中に出して垂直に潜る。
主として二枚貝類や巻貝を食べ、貝をくわえて浮き上がり、水面で呑み込む。
貝類のほかに等脚類、端脚類や小型のカニなど甲殻類、またウニ、ナマコ類も食べる。
淡水では、貝類のほかに甲殻類、水生昆虫の幼虫、ヒルムシロなどの水草を食べる。
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- ライフサイクル
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繁殖期は5~7月、一夫一妻で繁殖するが番の関係は抱卵期に解消される。
また雄の番以外の交尾が知られており、雄には乱婚の傾向がある(Cramp & Simmons, 1977)。
巣は地上につくり、よく茂った草や藪などの植生に覆われる。
たいてい水域の近くにあり、浅い窪みに草、蘚類、地衣類などを敷き、羽毛で内張りをして、雌のみでつくる。
1巣卵数は6~9個、抱卵は雌のみが行い、早成性の離巣性で、雛は27~28日ぐらい(Johnsgard, 1978)、あるいは30~31日ぐらい(Cramp & Simmons, 1977)で孵化する。
雄は抱卵期の半ばで営巣地を離れて換羽地に去り、雛の世話は雌のみが行う。
雛は幾つかの家族に集まる習性があり、1羽の雌が30羽近い雛を連れていたりする(Bardarson, 1986)。
一部の雌は、まだ飛べない雛を残して換羽地に立ち去る(Palmer, 1976)。
雛は45~50日ぐらいで独立する(Cramp & Simmons, 1977)。
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- 特徴的な行動
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非繁殖期には、数百から数千羽にもなる大群になる。
越冬地には、雌と1年鳥のほうが雄より南方のほうに行く(Cramp & Simmons, 1977)。
番の形成は海上で冬に始まる。1羽の雌の周りを、5~8羽の雄がとり巻いてグループディスプレイを行う。
雄はコーリングしながら活発に首を伸ばして尾羽を立て、雌に向かって突進したり短い飛翔をしたりする。
とくに首を側方に振るディスプレイを頻繁に行う。
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最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ