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トモエガモ(Anas formosa)の分類 カモ科(Anatidae)
トモエガモ(Anas formosa)の概要 マガモ属(Anas)

トモエガモ(Anas formosa)

絶滅危惧II類 (VU)

【環境省】絶滅の危険が増大している種

【 学名 】
Anas formosa Georgi, 1775

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:34-40 mm
・翼長:雄 197-220 mm 雌 194-205.5 mm
・跗蹠:32-38 mm
・尾長:雄 78.5-98 mm 雌 75.5-85.5 mm
・体重:360-551 g
・卵:長径 45-52.5 mm × 短径 32.5-36 mm 平均長径 49 mm × 短径 34.8 mm 

参考文献

  • 清棲幸保 1955 トモエガモ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 562-564.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

分布

旧北区。ユーラシア大陸の高緯度地方頭部のシベリア、カムチャッカ半島に繁殖分布し、中国東部で越冬する。

日本には冬鳥として、本州、四国、九州に渡って越冬する。北海道では旅鳥である。

年によって渡来数はかなり異なるが、10月~翌年3月ごろまで、地方によっては大量に現れる。希少種に指定されている。

参考文献

  • 中村登流 1995 トモエガモ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 35.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

別名・方言名

古くはアジともいわれた。

参考文献

  • 吉井正 2005 トモエガモ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 346-347.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

カモ目 カモ科

参考文献

  • 吉井正 2005 トモエガモ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 346-347.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雄】
額・頭上・後頭は多少褐色を帯びた黒色で、その両側を頭側に沿って白色の細い線が走り、クリーム黄色の眼の下から顔を横切って喉まで幅 5-7 mm位の黒色の線が走っている。

眼の後方からは幅の広い緑色の金属光沢のある黒色の線が後頸および喉に向かって走り、その後端は濃黒色を呈している。

これらの黒色線の両側に沿って白色の極く細い線が走っている。

後頸の羽は後頭の羽と共に長くて羽冠をなし、濃黒色である。

腮・喉は多少褐色を帯びた黒色で眼の下の下部の線と合してV形をなしている。

翕・背・腰・上尾筒は褐色で、各羽には淡褐色の縁があり、上尾筒の羽縁は幅が広い。

翕の両側と肩羽の外側の各羽は淡灰色で、極く細い黒色の横縞が多数密在し、肩羽の内側の各羽は褐色で、淡色の縁があり、その内の数枚は細長い洋鎌形で、縦に白色、黒色、栗色に3等分している。

胸は淡褐色を帯びた赤葡萄酒色で、胸側の方が色が濃く、全体に黒褐色の円形の小斑が散在し、稀にはこの斑が三日月斑を呈しているものもある。

腹はやや黄褐色を帯びた白色で、下腹は灰色を帯びている。

脇と胸側は灰色で黒色の極く細い横縞が多数密在し、脇の羽は所々褐色を帯び、上胸側と腰側には白色の幅の広い三日月形の斑がある。

下尾筒は黒色で、その両側の部分は栗色で、先端は白色で、灰色の小斑が散在している。

下雨覆は褐色で、中央よりやや後方に白色の斑があり、腋羽は白色で、灰色または褐色の微小な斑がある。

翼は褐色、次列風切の先端には白色の傾斜した縁があり、外弁は濃黒色で、基部近くは緑色の微小な斑がある。

三列風切の外弁の縁は濃黒褐色、大雨覆の各羽端には栗色の縁がある。

尾は褐色で、その数は14枚ある。羽換したときには、頭上、後頸の各羽の先端は褐色で、胸の黒色の斑は羽にかくれて見えない。

嘴色は鉛黒色、虹彩は褐色、脚色は灰黄色。

【雌】
額・頭上・後頭は濃褐色で、各羽には赤錆色を帯びたクリーム色の縁があり、上嘴の基部近くの顔にはクリーム白色の円形の斑がある。

顔はクリーム白色で、濃褐色の斑が多数あり、眼の下から顔を横ぎって喉までクリーム白色の不明瞭な線が走っている。

腮・喉はクリーム白色で、腮には褐色の小斑が多数ある。

眼の後方には濃褐色の過眼線があり、嘴の基にあるクリーム白色斑の周囲は褐色である。

体の上面は濃褐色で、各羽には赤錆色を帯びたクリーム色の縁がある。

胸は赤錆色を帯びたクリーム色で、濃褐色の三日月形の斑紋が散在している。

肩羽は暗褐色で、各羽には赤錆色を帯びた黄色の縁がある。

脇は濃褐色で、各羽にはクリーム白色の縁があり、腹は雄と同様、下尾筒は白色で、濃褐色の斑がある。翼と尾は雄と同様である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 トモエガモ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 562-564.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は淡灰緑色で斑紋を欠く。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 トモエガモ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 562-564.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

生態

生息環境

低地や山間部の湖沼、池、ダム湖、潟湖、河川、湿地、水田などで見られ、樹林に囲まれたある程度大きい水域を好む。

繁殖地では、森林地帯の河川や湖沼、川のデルタ地帯の小島などにすむ。

参考文献

  • 中村登流 1995 トモエガモ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 35.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

食性

採食行動はコガモに似ている。雑食性だが、主としてイネ科やタデ科などの種子・植物片などを食べる植物食である。夜間に水田や湿地に出る。

参考文献

  • 中村登流 1995 トモエガモ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 35.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は4~7月。河畔の草むらに営巣し、葉や茎で皿形の巣を作り、産座に綿毛を敷く。

1巣卵数は6~9個、雌のみが抱卵し、雛は25日ぐらいで孵化する。

参考文献

  • 中村登流 1995 トモエガモ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 35.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

鳴き声

雄はコロ、コロ、コロと啼き、雌はグワッ、グワッ、グワッと低い声で啼く。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 トモエガモ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 562-564.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

特徴的な行動

冬は群れを作り、数千羽の大群になることもある。番の形成は1~3月ごろ。

雄のディスプレイは頭を急に引っ込め、次に上方に投げるようにする(ゲップディスプレイともいう)もので、ほかのAnas属とはちがったタイプである。

参考文献

  • 中村登流 1995 トモエガモ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 35.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

その他生態

昼間は安全な湖沼や沼沢地などに小群で睡り、日暮れどきから陸地の稲田や水田に飛来して餌を漁り、暁近くまで盛んに活動する。

両脚を交互にして活発に地上を歩み、休むときや食物を摂るときなどにはコガモに類似した姿勢や動作である。

飛翔はコガモに似て迅速である。蹼を用いて水上を巧に泳ぎ、銃傷を負ったとき以外には潜水することは稀である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 トモエガモ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 562-564.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

種・分類一覧