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- ヒシクイ(Anser fabalis)について

ヒシクイ(Anser fabalis)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Anser fabalis (Latham, 1787)
目次
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:60~74.5 mm
・翼長:雄 458~520 mm 雌 440~474 mm
・跗蹠:64~98.5 mm
・尾長:125~170 mm
・体重:2.4~4.4 g
参考文献
- 清棲幸保 1955 ヒシクイ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 540-541.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸の高緯度地方に広く繁殖分布し、冬は同大陸南部に点在してすごす。
日本には冬鳥として、本州中部以北に渡ってくる。主として東北地方から北陸地方にかけて越冬し、琵琶湖北部まで見られる。
北海道や本州北部では旅鳥である。まれに九州や沖縄県にも現れる。希少種に指定されている。
参考文献
- 中村登流 1995 ヒシクイ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 31.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 分類学的位置付け
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カモ目 カモ科
参考文献
- 吉井正 2005 ヒシクイ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 412.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 人間との関係
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1971年に天然記念物に指定
参考文献
- 吉井正 2005 ヒシクイ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 412.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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雄雌同色。額、頭上、後頭、後頸は暗褐色、嘴の周囲には幅の極めて狭い白色の帯がある。
頬、耳羽、腮、喉、頸側は頭上よりやや淡い暗褐色で、下頸は淡褐色である。
翕、肩羽は灰色を帯びた暗褐色で、各羽端には淡色の縁があり、背、腰、上尾筒は汚褐色で、上尾筒の側部と先端の部分は白色である。
胸、腹は淡褐色で、下部ほど淡色である。脇は暗褐色で各羽には淡褐色の縁があり、外側のものはこの縁が白色である。
下尾筒は白色、下雨覆、腋羽は暗灰褐色かまたは石盤灰色である。
風切羽は黒褐色で、初列風切の外側のものは先端以外は灰鼠色で、初列風切の内側のものと次列風切、三列風切の羽軸は白色である。
大、中雨覆は灰褐色で、各羽縁には白色の縁があり、小雨覆は灰褐色、初列雨覆、小翼羽は灰鼠色である。
尾は暗褐色で、羽端には白色の幅の広い縁があり、側縁には白色の細い縁がある。
尾羽の数は16~18枚である。嘴色は黒色で、先端近くには黄色の帯があり、先端は黒色、下嘴は曲線をなし、上嘴の歯刻数は20~26枚である。
嘴を閉じたときに外部から見える下嘴の最高嘴高は 10~14 mm。虹彩は暗褐色、脚色はオレンジ色、爪は黒色。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ヒシクイ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 540-541.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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体の上面と雨覆の各羽縁は褐色を帯び、体の下面は淡灰色で、胸の各羽には白色の縁がある。ほかは成鳥に類似している。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ヒシクイ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 540-541.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 似ている種 (間違えやすい種)
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ヒメヒシクイ
参考文献
- 清棲幸保 1955 ヒシクイ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 540-541.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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冬は低地の海湾、干潟、湖沼、沼沢、湿地、水田などに現れ、見通しのよい広濶な耕地を採食地としている。
繁殖地では、針葉樹林帯の水辺からツンドラ地帯の湿地帯まで幅広くすむ。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ヒシクイ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 540-541.
- 中村登流 1995 ヒシクイ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 31.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 食性
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主に植物食で、草の葉、根、茎、種子、果実などを食べる。種名にあるように、渡来当初に盛んに水中のヒシの実を食べる。
参考文献
- 中村登流 1995 ヒシクイ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 31.
- 吉井正 2005 ヒシクイ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 412.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は5~7月、一夫一妻で繁殖する。巣は樹木の根元や藪の下などの地上に、草の葉、枯れ草、コケなどで皿形につくる。
大部分は雌がつくり、産座には自分の綿毛を敷く。1巣卵数は4~6個、雌のみが抱卵し、雛は27~29日ぐらいで孵化する。
早成性の離巣性である。両親の世話を受けて育ち、40日ぐらいで飛べるようになる。
参考文献
- 中村登流 1995 ヒシクイ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 31.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 鳴き声
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遠くではグワワハン、グワワハンと太い声に聴こえ、近くではグググググ、グワウ、グワウ、グワウ、ギャウー、ギャウーと聴こえる。
飛翔中には互いに啼き合っているのが常である。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ヒシクイ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 540-541.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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番はよく分散するが、島などでルーズコロニーになることもある。
新しくできた家族は冠羽地から越冬地へ、単位群として行動を共にする。
塒では数百~数千羽の集合をつくる。小群の間で起こるディスプレイはマガンによく似ている。
参考文献
- 中村登流 1995 ヒシクイ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 31.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ