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マガン(Anser albifrons)の分類 カモ科(Anatidae)
マガン(Anser albifrons)の概要 マガン属(Anser)

マガン(Anser albifrons)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Anser albifrons (Scopoli, 1769)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:雄 48~57.5 mm 雌 43~54 mm
・翼長:雄 379~445 mm 雌 368~419 mm  
・跗蹠:51~81 mm
・尾長:130~158 mm 
・体重:1.9~2.7 kg
・卵:長径 75.5~88.5 mm×短径 49.4~57 mm 平均長径 78.9 mm×短径 51.8 mm

参考文献

  • 清棲幸保 1955 マガン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 536-538.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

分布

全北区。ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の北極圏に繁殖分布し、両大陸南部に渡って冬をすごす。

日本には冬鳥として、九州北部以北に渡ってくる。東北地方や北陸地方に多く、百羽台の大群が現れるのは島根県あたりまでである。

沖縄県西表島に8羽がきた記録がある。希少種に指定されている。

参考文献

  • 中村登流 1995 マガン, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 31.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

生息状況

かつては日本各地に多数渡来したが、狩猟と生息地の縮小によって急減した。

参考文献

  • 吉井正 2005 マガン, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 462.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

亜種・品種

亜種マガン A. a. frontalis 、オオマガン A. a. gambelli 。

参考文献

  • 吉井正 2005 マガン, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 462.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

カモ目 カモ科

参考文献

  • 吉井正 2005 マガン, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 462.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

人間との関係

・1971年に天然記念物に指定。

参考文献

  • 吉井正 2005 マガン, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 462.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

雌雄同色。額、頭上、後頭は暗褐色、前額から上嘴の側部にかけて白色帯があり、帯に沿う部分は暗色を帯びている。

耳羽、頬、頸、腮、喉は褐色、翕と肩羽は灰褐色で、各羽には褐白色の縁がある。

背、腰、上尾筒は灰色を帯びた暗褐色で、上尾筒の側部と先端の部分の各羽は白色である。

胸、腹は個体によって淡灰褐色から白色までの各種の色で、黒色の斑があり、脇は暗褐色で、その外側の各羽には白色の縁があり、ほかの各羽には淡褐色の縁がある。

下尾筒は白色、下雨覆、腋羽は褐色を帯びた灰色である。

初列風切の外側のものは灰褐色で、先端は暗色で黒色に近く、羽軸は白色である。

その内側のものおよび次列風切、三列風切は黒褐色で、羽軸は白色である。

大雨覆は灰褐色、ときには青灰色で各羽端には白色の縁がある。

中、小雨覆は灰褐色、初列雨覆、小翼羽は灰色である。尾は暗灰褐色で、側縁には白色の細い縁があり、羽端には白色の幅の広い縁がある。

嘴色は赤味のある肉色から淡オレンジ色にわたる各種の色で先端は白色、虹彩は褐色、脚色は赤味がかった肉色から淡オレンジ赤色までの各種の色、脛羽は灰褐色。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 マガン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 536-538.
  • 吉井正 2005 マガン, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 462.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

嘴の周囲にある白色帯は幅が極めて狭いか、またはこれを欠いているかである。

嘴の先端と基部は黒色、または褐色である。

体の下面は褐色を帯びた白色で、各羽には黒褐色の成鳥より幅の狭い斑がある。

胸、腹は黒褐色で、各羽に汚白色の縁があるものもある。ほかは成鳥とほぼ同様である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 マガン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 536-538.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

卵の形質

新鮮卵はクリーム白色で斑紋を欠き、抱卵が進むと次第に汚染するのが常である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 マガン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 536-538.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

生態

生息環境

本邦には冬鳥として飛来し、水田、沼沢地、湿地、湖沼、干潟、内湾などに棲息。

見通しのよい広濶な耕地を採食地とする。繁殖地では、矮性灌木が多いツンドラ地帯の乾いたところや沼沢地にすむ。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 マガン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 536-538.
  • 中村登流 1995 マガン, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 31.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

食性

地上や水面で採食する。水田でイネの穂をこそぐように食べたり、畑地でムギなどの葉をむしったりする。

水面でくちばしでグチャグチャと動かし、こすようにする。

浅い水底に首を入れたり、逆立ちをして上半身を入れたりして水草を食べる。

主に植物食で、オオムギやイネの葉・茎・地下茎・根茎・種子・果実などを食べる。

参考文献

  • 中村登流 1995 マガン, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 31.
  • 清棲幸保 1955 マガン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 536-538.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は5~7月、一夫一妻で繁殖する。

地上の窪みに、地衣類、コケ、葉、枝などを敷いて、皿形の巣をつくる。

雌雄でつくるが、多分雌が主となる。産座に自分の綿毛を敷く。1巣卵数は4~7個、雌のみが抱卵し、雛は27~28日ぐらいで孵化する。

雛は厚い幼綿羽に覆われ、早成性の離巣性である。

両親の世話を受け、40~43日ぐらいで飛べるようになる(Cramp & Simmons, 1977)。

参考文献

  • 中村登流 1995 マガン, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 31.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

鳴き声

クヮハハン、クヮハハンまたはキュウイーイー、キュウイーイーと高く細い声で啼き、遠くではグヮハハン、グヮハハンと聴こえる。

飛翔中には互いに鳴き合うことが多い。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 マガン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 536-538.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

特徴的な行動

繁殖期には番で分散する。家族は、冠羽地や越冬地には群れに入って移動し、最初の秋と冬を一緒にすごす。

群れは数百~数千羽になり、群れの中で小グループが対立し、脅しや勝鬨のディスプレイとコーリングがある。

参考文献

  • 中村登流 1995 マガン, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 31.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

その他生態

冬季は大群で生活し、昼間は海湾などや湖沼の波静かな水上や干潟などで睡り、朝夕に農耕地に飛来し、両脚を交互にして歩みつつ頭部を下げて地上の草類などを食物として漁っている。

ときには迅速に走るように歩むこともあり、水上を泳ぎながら餌を漁ることもある。

休むときには、頭部を後方に向けて背羽の間に入れて睡り、片脚で立ったり腹部をぴったりと地面につけたりしている。

人が近寄ると頸を垂直に立てて警戒し始める。水上や地上生活が主で、樹上にとまることはない。

翼をやや重々しく羽搏いて飛翔し、飛び立つときには滑走せずに直ぐ舞い立つのが常である。

飛翔時には頸を前方に延ばし、脚を後方に引いて腹部にぴったりと付けている。

舞い上がるときには乱飛し、飛び立ってからは斜線やV字形に並んで飛翔するのが常である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 マガン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 536-538.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

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