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- クロトキ(Threskiornis melanocephalus)について

クロトキ(Threskiornis melanocephalus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
【環境省】評価するだけの情報が不足している種
- 【 学名 】
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Threskiornis melanocephalus (Latham, 1790)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:135~190 mm
・翼長:343~370 mm
・跗蹠:95~116 mm
・尾長:120~145 mm
・卵:長径 53.5~71.5 mm×短径 38~45.6 mm 平均長径 64 mm×短径 43 mm
参考文献
最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区、東洋区。インド、タイ、ベトナム、ジャワ島、中国東・南部に繁殖分布する。
中国北東部の渤海沿岸やアムール川の中流で繁殖するものは夏鳥で、冬は南下する。
日本にはほぼ全国各地に不定期的に現れるが、まれに渡来する地方が多く、九州には比較的よく出現する。
10月から翌年の1月までの記録が多いが、3~7月に現れることもあり、ほとんどは若鳥で、数週間滞在して立ち去る場合が多い。
1981年7月に熊本県下益城郡のサギのコロニーの中に混じっているのが見つかったが、繁殖は確認されなかった。
希少種に指定されている。
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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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体は白く、繁殖期には下頸・肩羽・三列風切がのびて長い飾り羽となり、いずれも灰色をおびる。
とくに三列風切は非常に長く蓑羽状となる。頭と頸は青黒色で、皮膚が裸出。嘴は湾曲し全体に黒い。
足は青黒色。幼鳥は顔と眼の周囲のみ裸出し、残りの頭と頸に灰黒色の短い羽毛がある。
参考文献
最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ
生態
- 食性
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浅い水の中や泥地を歩きながら、長く下湾したくちばしを水の中や泥の中に差し込み、探りを入れて餌を捕らえる。
くちばしを鉗子のように使い、幾分開いて差し込んで(Ali, 1945)、カエル、オタマジャクシ、巻貝類、ミミズ、昆虫の幼虫・成虫、甲殻類、小魚などを食べる。
しばしば草むらで採食する野牛について回り、飛び出てくる昆虫をついばむ(Roberts, 1992)。
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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は地方によってかなり異なり、ジャワ島では4~8月(Hancock et al, 1992)、パキスタンでは7~10月(Roberts, 1992)、スリランカでは12~4月(Hancock et al, 1992)である。
人やカラスによる卵の捕食が大きく、再営業を繰り返すため繁殖はずいぶんと長引く(Roberts, 1992)。
一夫一妻で繁殖する。巣は樹上に枝で皿形につくり、内張りはない。
雌雄共同でつくるが、巣材をもち運ぶのは雄の役割で、雌は巣の上でもっぱら構築する(Roberts, 1992)。
1巣卵数は2~4個で、3個が多い。抱卵も育雛も雌雄が行う。
抱卵期は23~25日、雛は40日ぐらいで巣立つ(Roberts, 1992)。
親は運んできた餌を半消化の状態で吐きもどし、雛はくちばしを親の食道の中に入れて食べる(Ali & Ripley, 1968)。
参考文献
最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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繁殖期の初めには盛んに小グループでのフライトディスプレイが行われ、翼下の赤い筋を誇示する。
翼を下して尾羽を開き、腰の装飾羽を起こし、短く飛んで下りる。
コロニー内に狭いなわばりをもち、番が形成されると、雌雄はなわばりの中で並んで立ったり向き合って立ち、相互に首やくちばしを打ち合わせる(Roberts, 1992)。
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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ