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コサギ(Egretta garzetta)の分類 サギ科(Ardeidae)
コサギ(Egretta garzetta)の概要 コサギ属(Egretta)

コサギ(Egretta garzetta)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Egretta garzetta (Linnaeus, 1766)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:75~92 mm
・翼長:244~283 mm  
・跗蹠:87~107 mm
・尾長:82~110 mm
・卵:長径 35.5~48.8 mm×短径 34.5~35.5 mm 平均長径 44.1 mm×短径 33.1 mm 重量 23.5~27.5 g

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

分布

旧北区、東洋区、エチオピア区、オーストラリア区。アジア、オーストラリア大陸、アフリカ大陸の温帯から熱帯にかけて広く分布する。

日本では夏鳥または漂鳥で、本州から九州までの各地で数多く繁殖する。

1970年代以降、分布域を広げる傾向にあり、山間の盆地や北日本での個体数が増えている(羽田・岩崎, 1982)。

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分類学的位置付け

コウノトリ目 サギ科

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形態

成鳥の形質

雌雄同色。全身すべて純白色で、繁殖期には後頭から長さ 170~200 mmくらいの細長い紐様の飾羽が2~3本生えている。

眼先は青緑色の皮膚が裸出しているが、冬季は黄色である。

背の各羽は細長くて蓑のような飾羽をなし、長さ 240 mmくらいであるが、冬季にはこれを欠いている。

胸には長さ 100~150 mmくらいの美しい飾羽があるが、冬羽ではこれを欠いている。

嘴色は繁殖期は黒色で、基部は青緑色、冬季は基半部が黄色である。虹彩は黄色、脚色は黒色、趾色は黄色。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛は全身に白色の長い綿羽が密生し、頭上の綿羽は羽冠の様に長く、眼先、腮、喉、後頭、腹の中央、脇などは皮膚が裸出する。

【幼鳥】
成鳥冬羽に似ているが、飾羽は全くなく、また羽毛は成鳥のものより柔軟である。

ただし後頭の羽毛は少し長く、多少毛冠状で、頸の下部の羽毛は多少長い。

嘴と脚の色は巣立ちの前から変わり始めるが、成鳥と同じになるのは巣立ち後2ヶ月位の後である。虹彩は灰色。

【第1回冬羽】
幼鳥は8月より換羽を始め体羽のみを換羽し、10月頃に完了する。

この羽衣は成鳥冬羽とほぼ同様であるが、頸の下部の飾羽は短くて少なく、肩の飾羽も成鳥のものより短い。軟部の色彩は成鳥と同じ。

【第1回夏羽】
幼鳥は第1年の12月または1月ごろから換羽に入り、成鳥夏羽と全く同じ羽衣となる。後頭の2本の飾羽は、早いものは2月の中旬に現れる。

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卵の形質

卵は美しい青緑色で、斑紋を欠いている。

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生態

生息環境

低地のみならず山地の水田、湖沼、河川などの水辺に多い。

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食性

川の浅瀬や水田を歩いて、ドジョウ、フナ、ウグイ、オイカワなどの魚類、カエル、アメリカザリガニなどをくちばしではさみとる(小杉, 1960)。

採餌方法は変化に富み、魚群のいる浅瀬を活発に歩き回ったり、岸辺で待ち伏せしたりして餌を捕食する。

ときどき片脚を泥の中に差し込んで泥をかき回し、びっくりして飛び出したドジョウをすばやくくわえとる。

1羽ずつ分散して採餌することが多いが、魚が多い場所では群れて採餌する。

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最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は4~9月、年に1回の繁殖がふつうで、一夫一妻で繁殖する。

ゴイサギ、チュウサギ、ダイサギなどと混生して集団繁殖することが多く、マツ林、雑木林、竹林などの樹上に営巣する。

巣材集めは主に雄が行い、雌は雄から受けとった枯れ枝を用いて粗雑な皿形の巣をつくる。1巣卵数は4~7個、1日半の間隔で1卵ずつ産卵する(井上, 1980)。

雌雄交替で22~24日抱卵する。抱卵は初卵の産下後直ちに始まり、第2・3卵の産下以降に完全抱卵になる。

全部の卵が産卵される前に親鳥が抱卵を始めるので、全卵が孵化するには約6日のずれが生ずる(井上, 1980)。

雛への給餌は雌雄共同で行うが、早く孵化した雛のほうが遅く孵化した雛より先に餌をとってしまうために、雛の大きさにかなり不ぞろいが生ずる。

こうした雛間の餌とり競争の結果、孵化が遅い雛の成長速度は遅く、生存率も低い(井上, 1980)。

育雛期間は約1カ月だが、育雛中期に雌が雄への給餌をやめ、雄に育雛のすべてをまかせる遺棄が観察されている(Fujioka, 1989)。

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鳴き声

常にはあまり啼かないが、互いに争うときや警戒時、蕃殖期などにはゴァー、ゴァーまたはグァー、グァーと啼く。

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特徴的な行動

コロニーの中では、番は巣の周りのごく狭い範囲をなわばりとして防衛する。

非繁殖期にはコロニーとは別の林に集団塒をもつ。塒に入る前段階として、塒から離れた場所に就塒前集合を形成する(伊藤, 1984)。

冬の日中は河川や水田に分散するが、水田やハス田に不安定ななわばりを構える個体もいる(茨木, 1985 ; 山田, 1994)。

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種・分類一覧