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ムラサキサギ(Ardea purpurea)の分類 サギ科(Ardeidae)
ムラサキサギ(Ardea purpurea)の概要 アオサギ属(Ardea)

ムラサキサギ(Ardea purpurea)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Ardea purpurea Linnaeus, 1766

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:120~141 mm
・翼長:333~402 mm
・跗蹠:119~146 mm
・尾長:120~150 mm
・卵:長径 49.5~66.3 mm × 短径 36~44.4 mm 平均長径 55.1 mm × 短径 39.6 mm

参考文献

最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

分布

旧北区、東洋区、エチオピア区。ユーラシア大陸とアフリカ大陸の温帯から熱帯にかけて広く繁殖分布し、温帯で繁殖するものは熱帯・亜熱帯に渡って越冬する。

日本では、琉球諸島の南部の八重山諸島に留鳥として周年生息する。西表島では繫殖例があるというが、詳細は不明である。

非繁殖期には、本州、四国、九州の各地にまれに現れる。

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亜種・品種

亜種のA.p.manilensisは沖縄南部の湿地・マングローブ林に周年生息し、西表島で繁殖するといわれている。

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最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

コウノトリ目 サギ科

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最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雌雄】
額・頭上・後頭は藍黒色で、後頭には藍黒色の細長い紐様の飾羽が2~3本生えている。

眼の後方は赤錆色を帯びたクリーム色、腮・喉はクリーム白色、下嘴の基から後頸の方に藍黒色の線が走る。

後頸は藍黒色の細い縦線をなし、下部は灰鼠色である。

頸側と前頸は暗赤褐色で、両頸側にはそれぞれ藍黒色の細い縦線が走り、前頸の中央にもやや不明瞭な黒色の縦線がある。

翕は石盤灰色、背・腰・上尾筒は灰鼠色、肩羽は灰鼠色で、各羽縁は細長く延びて蓑の様な飾羽をなし、先端は淡灰色と灰鼠色を呈し、一部は赤褐色である。

胸には長い飾羽があり、クリーム色または白色で、やや淡灰色を帯び、藍黒色の線が走る。

胸側は紫がかった栗色で、各羽の先端は藍黒色である。腹の中央は藍黒色、腹側は赤褐色、脇は石盤灰色である。

下尾筒の中央は藍黒色で、各羽の基部には白色の軸斑がある。

風切羽は石盤灰色で、各羽の羽軸は黒色、大、中、小雨覆は褐色を帯びた灰色、初列雨覆・小翼羽は石盤灰色である。

翼縁・下雨覆は赤錆色、腋羽は栗色である。

尾は石盤灰色。嘴色は暗褐色で、上嘴の側縁は黄色で、下嘴は黄土色である。

虹彩は黄色。脚色は黒褐色、後端は黄土色。脛羽は赤褐色。

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最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛は頭部に各羽の基部が暗褐色で、先端が白色の綿羽は羽冠の様に生え、体の上面は暗褐色、下面は白色である。

眼の周囲、腮、喉および頸の大部分はほとんど皮膚が裸出する。

【幼鳥】
額および頭上は帯褐黒色。ただし暗褐色の個体もある。頬・後頭・後頸は栗バフ色、赤栗色。後頭の羽毛は多少長いが、飾羽はない。

腮・顎・喉の中央はクリームバフ色、バフ白色。頸側・前頸は栗バフ色、橙栗色だが、各羽の基部が暗色であるため多少斑点状となっている。

頸の下端の羽毛は普通の形にして飾羽はなしていない。背・肩・腰は褐色で各羽はバフ色、赤褐色の羽縁を有している。

この羽縁の広さと色との組み合わせにより、これらの部分の色はかなりの変化に富んでいる。

上尾筒はバフ色、スレート色。尾は成鳥と同じ。風切は成鳥のものより少し淡く、羽縁はバフ色を帯びている。

雨覆はすべてスレート色で羽縁は栗バフ色、黄栗色を呈している。肩羽は普通の形にして飾羽をなす。

下面は赭バフ色、バフ色で、淡いスレート褐色の不規則な縦斑がある。ただし下尾筒には縦斑はない。

脇はスレート色で各羽にはバフ色の縁があり、下雨覆はスレート色と栗バフ色との斑点状をなし、腋羽はスレート色である。

【第1回冬羽】幼鳥は11月頃より換羽に入り、体羽・雨覆・三列風切の一部、または大部分を更新し、翌年の4月頃までに第1回冬羽となる。

この羽衣は幼羽に酷似しているが、背・雨覆の羽縁は狭く、肩羽の長いものは裂けて飾羽状を呈し(長さは成鳥のものより遥かに短い)、頸の下端の羽毛は尖って長さ 10 ㎝内外の飾羽をなす。

しかし後頭には飾羽はなく、頭・頸および下面の色は成鳥と全く異なる。

【第2回冬羽】
幼鳥は第2年の7、8月頃から換羽に入り、全身の換羽をなす。終了の時期は不明であるが大体成鳥と同様で翌年4月頃のようである。

この羽衣は成鳥に似ているが、頸の色は成鳥のものより不規則で多少縦斑を混じ、背・雨覆の羽毛には未だ明瞭な栗バフ色の羽縁があり、肩の飾羽は成鳥のものより短くて淡く、下面の色は成鳥に似てるが成鳥ほど鮮明ではなく、特に黒色部には栗バフ色の縦斑を混じている。また頸の下端の飾羽は短い。

【第3回冬羽】
幼鳥は第3年の夏より換羽に入り、成鳥と同様の換羽を行い、第4年の春に成鳥の羽衣となる。

しかし最も完全な成鳥の羽衣は第4年の夏以降の換羽によって得られるもののごとく、第3回冬羽と思われるのものは背のスレート色が淡く、多少バフ色を帯び、頭・頸・背の飾羽は一帯に短く、頸の赤栗色は淡く、胸・腹の黒色は淡い。

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最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は青緑色で、斑紋を欠く。アオサギの卵に類似しているが、それよりやや小さくて尖っている。

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最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

生態

生息環境

水田、湖沼、湿地などに生息し、周りにヨシ原や樹林があって、ひっそりと身を潜められるところを好む。

ヨシや水草の中で休み、樹木に止まることは少ない。浅い流れのある淡水域を好むが、マングローブが生育する沿岸の塩水域でも見られる。

西表島のマングローブ林内の水路や、その周辺によく現れる。

アオサギのように見通しのよいところに姿を現すことは少ない。用心深い鳥で、容易に近づけない。

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最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

食性

水辺や、やや深い水に入って、じっと立ち止まって待ち伏せしたり、ゆっくり歩いて魚を捕らえる。

ヘビ、カエルなどの両生類、昆虫類、甲殻類やネズミなどの小哺乳類も捕食する。

餌を見つけると、S字形に曲げた首を瞬間的に伸ばして、くちばしではさみとったり突きさして捕らえる。

単独で水辺に分散して採餌することが多く、群れで餌を追い立てることはない。

早朝や夕方の薄暗いときに採餌することが多い。

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最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

ライフサイクル

日本における確実な繁殖記録はない。外国の例では、繁殖期は5~8月、年に1回の繫殖がふつうで、一夫一妻で繁殖する。

ほかのサギ類と混生して集団繁殖することもあるが、同種だけで小規模なコロニーをつくるか、単独で繁殖する。

水辺近くのヨシ原の地上に 50 ㎝~ 1 mぐらに枯れヨシや小枝を積み上げて皿形の巣をつくるのがふつうだが、高木の枝に営巣することもある(Cramp & Simmons, 1977)。

雄が巣場所を選択し、雌雄共同で巣をつくり、古い巣は再利用しない。

1巣卵数は4~5個、2~3日おきに1卵づつ産卵する。

初卵を産んだ日から抱卵を開始し、雌雄交替で25~30日卵を暖め続ける(Cramp & Simmons, 1977)。

抱卵の雌雄分担割合は雌のほうが多い。

孵化後の数日間は雌雄交替で抱雛するが、8~10日たつと巣の周りのヨシなどに登ることができるようになる(Cramp & Simmons, 1977)。

ほかのサギ類と同様、孵化後しばらくは親は雛のくちばしを自分のくちばしの中に入れ、嗉嚢中の半ば消化した食物を与えるが、雛が成長すると餌を巣の上に吐き出して与えるようになる。

全部の卵が産卵される前に親鳥が抱卵をはじめるので、全卵が孵化するのに日数のずれが生じる。

餌を求める雛間の争いでは、早く孵化した雛のほうが強い。

雌雄共同で45~50日雛に給餌し、雛は55~65日で独立する(Cramp & Simmons, 1977)。

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最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

鳴き声

クァー、クァーと大きな声で啼き、夜間飛翔中に啼くことが多い。

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最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

特徴的な行動

番は巣の周りのごく狭い範囲を縄張りとして防衛する。

番の形成の際に、雄は巣の上で雌に対してくちばしを鳴らしたり、体を硬直化させて背伸びをしたり、下を向いてうずくまるなどさまざまな求愛ディスプレイを行う。

アオサギに似たグワッという声を出す。非繁殖期は単独あるいは小規模な塒をつくって眠る。

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最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

その他生態

警戒時には嘴を空に向けて頸を伸ばし、体を縦長にしてヨシゴイの警戒時と全く同様な姿をする。

翼を緩慢に羽搏いて直飛し、飛び降りるときには滑翔するのが常である。

両脚を交互にして静かに歩み、水面の浮草の上などを長い趾で巧に渉り歩く。

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最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ

種・分類一覧