オオグンカンドリ(Fregata minor)の解説トップに戻る
オオグンカンドリ(Fregata minor)の分類 グンカンドリ科(Fregatidae)
オオグンカンドリ(Fregata minor)の概要 グンカンドリ属(Fregata)

オオグンカンドリ(Fregata minor)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Fregata minor (Gmelin, 1789)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:98~135 mm
・翼長:530~624 mm
・跗蹠:20~24 mm
・尾長:330~419 mm
・卵:長径 64.5~74 mm × 短径 43.5~50 mm 平均長径 68.4 mm × 短径 46.5 mm

参考文献

  • 清棲幸保 1955 オオグンカンドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 614-615.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

分布

インド洋、太平洋、大西洋の熱帯・亜熱帯の島々で繁殖する。

日本近海にはごくまれに接近し、兵庫県淡路島、伊豆諸島、小笠原諸島、新潟県(風間, 小林, 1984)に記録があるが、その記録のほとんどはコグンカンドリと同様若鳥である。

台風通過後には、内陸でも記録されている。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 オオグンカンドリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 264.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

ペリカン目 グンカンドリ科

参考文献

  • 吉井正 2005 オオグンカンドリ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 87-88.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

雌雄同色。頭部は黒色で緑紫藍色の金属光沢があり、頭上・後頭の各羽は柳の葉の様に細長い形である。

腮・喉は暗朱赤色の皮膚が裸出している。背と肩羽の上部は黒色で、緑紫色の金属光沢があり、肩羽の下部と腰および上尾筒は黒色である。

胸、腹は暗褐色で、各羽縁は濃色である。下尾筒・下雨覆・腋羽は暗褐色である。

初列風切、次列風切、初列雨覆、小翼羽は黒色、三列風切、大雨覆は暗褐色で、褐色の横帯があり、中雨覆は暗褐色。

小翼羽は黒色である。尾は黒色。嘴色は黄味がかった角色、虹彩は褐色、脚色は肉食、黒色、褐色。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 オオグンカンドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 614-615.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛は裸体のままであるが、その後10日くらいで全身に多少赤錆色を帯びた白色の綿羽が生え始める。

【幼鳥】
頭部、頸、体の下面は白色で、多少赤錆色を帯びている。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 オオグンカンドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 614-615.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は純白色で斑紋を欠く。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 オオグンカンドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 614-615.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

生態

生息環境

繁殖地は島嶼の海沿いに限られ、平坦地、丘陵地に生育する樹上にコロニーをつくって繁殖する。

繁殖期にはコロニー周辺の海上で見られるが、生涯のほとんど外洋ですごすため、海岸から観察することはできない。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 オオグンカンドリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 264.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

食性

餌は魚類とイカ類で、水面すれすれに飛び、鉤形に曲がったくちばしで水面近くにいる餌を加えとる。

カツオドリ類やアジサシ類などの魚食性の海鳥を追いかけまわし、餌を吐き出させたり落とさせたりして、その餌を空中でくわえとる。

トビウオ、ニシン、ボラなどを好んで食する。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 オオグンカンドリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 264.
  • 清棲幸保 1955 オオグンカンドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 614-615.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は場所によって異なり、熱帯海域では周年繁殖する。一夫一妻で、隔年に繁殖する。

巣材集めは主に雄が行い、雌は雄から受け取った枯れ枝などを主材にして皿形の粗雑な巣をつくる。

1巣卵数は1個、雌雄が交替して約55日抱卵する(Marchant & Higgins, 1990)。

雛は雄雌共同で給餌され、孵化後148~202日で巣立つ(Marchant & Higgins, 1990)。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 オオグンカンドリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 264.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

鳴き声

常には余り啼かないが、繁殖期にはグル、グルと言う唸るような声で啼く。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 オオグンカンドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 614-615.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

特徴的な行動

集団で繁殖する。コロニーの中では、番が巣を中心にした狭い範囲のなわばりを構える。

樹上の巣づくり候補地で、雄は頭部を背中に反り返し、赤い喉袋を膨らませ、広げた翼を小刻みにふるわせる求愛ディスプレイをする。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 オオグンカンドリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 264.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

その他生態

日中は円を描いて高空を帆飛し、日没前に塒とする島嶼に飛来して上空を悠々と帆翔し、日没後の薄闇時に一斉に塒に帰るのが常である。

朝は午前5時頃に塒を離れる。飛翔時には長大な翼を充分に張り風を利用して上昇、下降するが、このときには頸を著しく縮め、嘴を体と同平面に真直ぐに前方に延ばしている。

水上に降りたり、潜水したりすることはほとんどない。

岩壁や樹上からは直ぐ飛び立つが、地上や水上からは烈しい風がない限り舞い上がることができない。

飛翔しつつ海面に潜る様にして水浴し、舞い上がって空中で飛翔中に体を振って水を切るのが常である。

繁殖期には雄は巣の上にとまり、雌の前で暗朱赤色の美しい腮や喉の部分をゴムマリの様に膨張させ頸を打ち振りつつ唸り、同時に柳葉形の肩羽を立てて誇示する。

交尾までは一妻多夫の傾向がある。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 オオグンカンドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 614-615.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

種・分類一覧