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アカアシカツオドリ(Sula sula)の分類 カツオドリ科(Sulidae)
アカアシカツオドリ(Sula sula)の概要 カツオドリ属(Sula)

アカアシカツオドリ(Sula sula)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Sula sula (Linnaeus, 1766)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:78.5~89.5 mm
・翼長:387~361 mm
・跗蹠:32~39 mm
・尾長:210~238 mm
・卵:長径 59~71 mm × 短径 35~48.5 mm 平均長径 62.7 mm × 短径 41.4 mm

参考文献

  • 清棲幸保 1955 アカアシカツオドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 619-620.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

分布

世界中の熱帯・亜熱帯の海域に広く分布し、島や大陸の沿岸部で集団繁殖する。

日本では、琉球諸島南部の仲ノ神島でごく少数の繁殖が知られている。希少種に指定されている。

本種の成鳥の羽色には、白色型、褐色型、その中間型の3型が知られるが、仲ノ神島で発見されたものはすべて白色型である(河野ほか, 1986)。

小笠原諸島、火山列島、琉球諸島近海でときどき観察される。小笠原航海の船上で12時間ほど過ごした例がある(樋口ほか, 1983)。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 アカアシカツオドリ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 238.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

ペリカン目 カツオドリ科

参考文献

  • 吉井正 2005 アカアシカツオドリ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 10.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

雄雌同色。頭部は白色で、ときには各羽の羽端が黄褐色を帯びているものもある。

眼先、嘴の周囲、眼の周囲は皮膚が裸出して、赤色を呈しているが、眼の周囲は灰色である。

頭と体の上面および下面は白色で、ときには各羽縁が黄褐色を帯びているものもある。

初列風切、次列風切、三列風切、大雨覆は黒褐色で、内外弁の羽軸付近は銀灰色を帯びている。

初列雨覆、小翼羽は黒褐色、中・小雨覆は白色で、ときには各羽の羽縁が黄褐色を帯びているものもある。

尾も同様である。嘴色は赤色。虹彩は灰色、脚色は赤色。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 アカアシカツオドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 619-620.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

孵化直後の雛は裸体のままで鉛色であるが、その後10日くらいで全身に白色の綿羽が生える。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 アカアシカツオドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 619-620.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は青色で斑紋を欠き、表面は白色の石灰色で覆われている。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 アカアシカツオドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 619-620.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

生態

生息環境

外洋性の海鳥で、繁殖期以外は沖合で生息することが多く、海岸や内陸で記録されることはごくまれである。

洋上で見られるので、船から観察されることが多い。

カツオドリ類のほかの種はたいてい地上に巣をつくるが、本種は高木や低木の枝の上に巣を構える。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 アカアシカツオドリ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 238.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

食性

翼をゆっくり動かし、比較的高い空を滑翔を交えながら飛んで餌を探す。

餌を見つけると、翼を後方に伸ばしたまま水の中に突きささるように飛び込んで捕まえる。

停空飛翔をして狙いをつけることもある。水中に突入して捕食するばかりでなく、ときには水中に 2~3 mぐらい潜水して魚を捕まえる。

集団で繁殖するが、採餌のために沖合に出たときは小群で採餌することが多い。

主にトビウオ科の魚類を食べるが、そのほかにトビイカ、エビなども食べる。空中でトビウオを食べることもある。

夜間も行動することがあり、ほかのカツオドリ類に比べて眼が大きい。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 アカアシカツオドリ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 238.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

ライフサイクル

日本には繁殖生態に関する詳細な記載はない。

亜熱帯・熱帯では1年中、一夫一妻で繁殖する。巣は地上から地上から 30~60 ㎝ぐらいの高さの枝上に、樹枝を主材にして皿形をつくる。

仲ノ神島では、ガジュマルの樹冠上に枯れ枝を組み合わせて浅い皿形の巣をつくる(河野ほか, 1986)。

巣づくりは雌雄共同で行うが、主に雄が巣材を運搬する(Marchant & Higgins, 1990)。古巣を再利用することもある。

巣は1~3週間で完成するが、抱卵期にも巣材を運んで補修する。

1巣卵数は1個だが、子孫を生き残らせるために多量の呼び栄養を貯えた大きな卵で、孵化したときから雛の体はがっちりしいている。

ほかのカツオドリ類と同様、卵を毛細血管が集まった脚の水かきの下で約45日、雌雄交替で暖める(Marchant & Higgins, 1990)。

雛は晩成性で、無毛の状態で孵化する。雛には雌雄共同で100~110日給餌するが、気象条件や餌条件によって育雛期間は異なる(Marchant & Higgins, 1990)。

雛は1日に1~3回の給餌を受けて成長し、親より大きく育ったころ、給餌回数は1日あるいは数日間に1回となり、その後2~3週間で巣立つ。

完全に独立するころには孵化後220~320日を要する(Marchant & Higgins, 1990)。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 アカアシカツオドリ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 238.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

鳴き声

繁殖期にはグルッ、グルッと唸るような声で啼く。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 アカアシカツオドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 619-620.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

特徴的な行動

密集したコロニーで繁殖する。1本の木に4~5巣ぐらいが集中することがある。

番は巣を中心に狭い範囲をなわばりとして防衛し、毎年、同じ番か同じ巣を使用する。

なわばり防衛のディスプレイや求愛ディスプレイが発達している。

これらのディスプレイは儀式化されており、頭や翼、脚、尾の姿勢や動きが誇張されているが、赤い脚を誇示することはない。

ディスプレイは木の枝の上で行うためか、地上営巣性のカツオドリ類に比べてわずかながら精巧さに欠けるという。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 アカアシカツオドリ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 238.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

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