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- ハシボソミズナギドリ(Puffinus tenuirostris)について

ハシボソミズナギドリ(Puffinus tenuirostris)
- 【 学名 】
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Puffinus tenuirostris (Temminck, 1836)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:31.5-34.5 mm
・翼長:253-282 mm
・跗蹠:48-52.5 mm
・尾長:76.9-92 mm
・卵:長径 72-73 mm × 短径 44-47 mm位
参考文献
最終更新日:2020-05-20 キノボリトカゲ
- 分布
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オーストラリア区。オーストラリア大陸南東にあるタスマニア島周辺の約90の島々で繁殖し、ベーリング海やオホーツク海に渡る。
繫殖を終えて越冬地に向かう渡りのルートは成鳥と幼鳥で異なり、成鳥は北太平洋の日付変更線以西の東経150度までの広い海域に分散して飛ぶのに対して、幼鳥の多くは風に流されて西太平洋に回り込み、日本沿岸を北上する。
日本には越冬地に北上する途中の4~6月に多数が通過するが、幼鳥の種出現率が高く、海岸に漂着したしたいの99%以上が幼鳥という調査報告がある(Oka & Maruyama, 1986)。
太平洋沿岸航路では、6月中旬に出現ピークがあり、大群に出会うことがある(Watabe et al, 1987)。
参考文献
最終更新日:2020-05-20 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雌雄同色】
額・頭上・後頭・頸は黒褐色、耳羽は灰褐色、腮・喉は灰白色である。
肩羽は黒褐色で、各羽には淡褐色の羽縁がある。背・腰・上尾筒は黒褐色、胸・腹・脇・下尾筒は灰褐色で、各羽の基部と羽縁とは淡色である。
下雨覆は灰褐色で、その中央の部分は灰褐色を帯びた白色で、灰褐色の大理石様の斑紋がある。
翼と尾は黒褐色である。嘴色は黒色で上嘴の縁と下嘴は基部に近いほど灰色を帯び、下嘴の上縁は黒色。
虹彩は暗褐色、脚色は淡灰色、跗蹠の後方と外趾とは黒色勝ちである。
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生態
- 生息環境
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繁殖地は海岸や島嶼の海沿いに限られ、断崖の上に広がる平坦地、丘陵地、砂丘、砂州などの裸地や草地に巣穴を掘って集団で繁殖する。
草木がまばらに生え、石ころが少なく、土壌が発達した場所を好む。
生涯のほとんどを外洋ですごすため、海岸からは観察できない。
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- 食性
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飛翔しつつ波間に浮かぶ餌を啄んだり、水面におりて採食する。
水面に浮いて泳ぎまわり、頭を水中に入れてオキアミなどの甲殻類、イカの幼体、稚魚など小型の海洋動物をとって食べる(Ogi et al, 1980)。
水深 20 mぐらいまで潜ることができ、水中では翼を使って遊泳して餌をとる。
採餌は群れて行うことが多く、水面上ではねている魚群を中心に、多くの個体が渦を巻くように飛び上がったり、着水しながら捕食する。
ときには漁場などに飛来して、波打ち際に浮く魚の臓物などを食することもある。
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- ライフサイクル
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繁殖期は9月から翌年の4月にわたり、年に1回、一夫一妻で繁殖する。
11月下旬に1卵を産み、約53日ほど雌雄交替で10日から2週間の間隔で抱卵する(岡, 1991)。
雌雄共同で約84日雛に給餌を行うが、その間毎日継続して雛に餌を運ぶわけではなく、連日給餌したり、給餌をしない日が1週間以上あったりと、連続給餌と非連絡給餌を組み合わせる(岡, 1991)。
育雛期には親鳥は未明に海に出て、雛への給餌のために夜間に巣にもどる。
親鳥は餌を胃の中に貯え、繁殖地近くの水面に群れて遊泳し、日没から夜間に群れて繁殖地にもどって雛に給餌する。
孵化後約97日で巣穴を離れ、海に飛び出す(Oka, 1989)。
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- 特徴的な行動
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9月下旬に繁殖地に帰ると同時に巣穴を確保し、10月下旬に交尾を済ませた後、いったん全個体が繫殖海域から姿を消し、11月下旬に再度渡来して産卵する(岡, 1991)。
繁殖期には、数千、数万羽が集団で営巣する。こうしたコロニーでは高密度で巣穴が点在し、番は巣穴を防衛する。
条件のよい営巣地では、1 ㎡あたり1個の割合で巣穴が無数に点在する。渡りの途中や越冬期にも群れることが多い。
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