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- アカエリカイツブリ(Podiceps grisegena)について

アカエリカイツブリ(Podiceps grisegena)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Podiceps grisegena (Boddaert, 1783)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:45-59 mm
・翼長:175-208 mm
・跗蹠:55-60 mm
・尾長:30-42 mm
・体重:760-1006 g
・卵:長径 48-59 mm × 短径 33-38.5 mm 平均長径 54 mm × 短径 36.1 mm
参考文献
最終更新日:2020-05-21 キノボリトカゲ
- 分布
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全北区。ヨーロッパからアラル海、バイカル湖からカムチャッカ半島、アラスカから五大湖までの亜寒帯に分布し、内陸の湖沼で繁殖する。
冬は南下して河口や湾などで越冬する。日本では北海道の主に道北・道東の湖沼で局地的に繁殖するほか、冬鳥として各地に普通に飛来する。
参考文献
最終更新日:2020-05-21 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雄雌夏羽】
額・頭上・後頭・頭側・後頸・眼先は光沢のある黒褐色で、後頸の両側にある羽は長くて羽冠をなしている。
耳羽・頬・顔・腮・上喉は淡灰色で、周囲には白色の細い線をなした斑がある。
下喉・前頸・頸側は栗色、眼先にある線様の皮膚の裸出部は灰色または赤色を帯びた黒色である。
肩羽・背は黒褐色で、各羽には淡褐色の細い縁がある。
胸・腹・下尾筒は絹様光沢のある純白色で、上胸は栗色または灰褐色を帯び、胸側には灰褐色の不明瞭な斑がある。
脇は灰褐色、腰・上尾筒は黒褐色である。
下雨覆・腋羽は白色。初列風切・三列風切は褐色、次列風切の外側のものと内側のものは褐色で、中央のものは白色、中央近くのものは一部分白色である。
大、中、小雨覆、初列雨覆、小翼羽は褐色である。尾は毛の様で、濃褐色である。嘴色は黒色、基部には淡黄褐色の斑がある。
虹彩は濃赤色、暗赤褐色、濃褐色。脚色は黒色、趾膜の上面は緑色を帯びたクリーム色または黄褐色で、ときには黒色の斑のあるものもある。
趾膜の下面は黒色。
【冬羽】
下喉は白色、前頸・頸側は灰褐色で、体の上面は灰褐色である。肩羽と背は暗色で、各羽には灰褐色の縁がある。
体の下面は光沢のある白色、脇の各羽には灰褐色の縁と暗灰色の斑がある。嘴色は褐色で、基部は黄色。
参考文献
最終更新日:2020-05-21 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【雛】
孵化直後の雛は全身に綿羽が密生し、頭と頸には黒色の線をなした斑があり、カンムリカイツブリの雛に似ているが、頭上の両側にある黒線はそれよりも幅が広く、後頭の中央にある白色斑はそれより小さい。
頸の淡色の縦線は暗色を帯びた淡黄褐色で、後頸の中央にある斑はカンムリカイツブリより幅が狭くて不明瞭である。
体の上面、喉の下部、体側、下腹などは黒褐色で、縦線を欠いている。
胸の中央および腹は白色。頸側にある黒色の縦線は、喉の下部で左右が合してV字を逆にしたような形である。
【幼鳥】
成鳥の冬羽に類似するが、頭側は白色で黒褐色の線があり、頸側は赤錆色を帯びている。
参考文献
最終更新日:2020-05-21 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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繁殖期には湖沼や湿地のマコモ、イなどが密生する水辺に生息する。
冬は内湾や河口部の岸近くに1,2羽で見られ、内陸の湖沼に入ることは稀である。
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最終更新日:2020-05-21 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は5~9月、年に1~2回、一夫一妻で繁殖する。
マコモなどの密生した水辺の浅瀬に、雌雄共同で水草を積み上げて皿形の浮き巣をつくる。
1巣卵数は4~5個、雌雄交替で20~23日抱卵する(Cramp & Simmons, 1977)。抱卵期に巣を離れるとき、卵を水草で覆う習性がある。
雌雄共同で育雛し、雛が独立するまでには72日以上を要する(Cramp & Simmons, 1977)。
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最終更新日:2020-05-21 キノボリトカゲ
- その他生態
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夏季は湖沼や湿地のマコモ、藺などの密生する水辺に雄雌で生活する。
冬季は単独または雄雌で常に海上や海湾に生活し、陸地内の河川や湖沼などには飛来しない。水上で巧みに潜水したり、泳いだりして餌を漁る。
水中には17-35秒くらい潜るのが常で、ときには55秒位も潜ることもある。
危険時には飛翔して逃れ去ることは稀で、潜水して遠くに逃れ去る場合が多い。水上では体を水中に深く沈めている。
飛翔時には頸を水平に延ばし、脚を後方に引いている。翼を小刻みに羽搏いて、低空を直線的に飛翔する。
飛び立つときには水面を滑走してから舞い上がる。
繁殖期には地上を歩むが、それ以外の時期には水上生活をすることが多い。
参考文献
最終更新日:2020-05-21 キノボリトカゲ