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シロエリオオハム(Gavia pacifica)の分類 アビ科(Gaviidae)
シロエリオオハム(Gavia pacifica)の概要 アビ属(Gavia)

シロエリオオハム(Gavia pacifica)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Gavia pacifica (Lawrence, 1858)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:49-62 mm
・翼長:275-316 mm
・跗蹠:65-72 mm
・尾長:55-66 mm
・卵:長径 75.5-84.1 mm × 短径 47-52.1 mm

参考文献

最終更新日:2020-05-21 キノボリトカゲ

分布

全北区。シベリア北東部からカナダのハドソン湾にかけて分布し、内湾や湖沼の岸で繁殖する。

冬は南下し、日本周辺と北アメリカ大陸西海岸の沿岸で越冬する。北海道では旅鳥、本州以南では冬鳥。

主として本州、四国、九州、佐渡島、対馬の洋上で見られる。

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分類学的位置付け

アビ目 アビ科

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人間との関係

広島県下、瀬戸内海の鳥持網代(アビ漁)という漁法に利用されている。鳥持網代では魚を網に追い込むという役割をおっている。

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最終更新日:2020-05-21 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雌雄夏羽】
頭上は灰鼠色、額・眼先・頭側は暗灰鼠色、腮・喉は緑色光沢のある黒色で両側の部分には紫色光沢がある。

後頸は淡灰色で、中央部は汚クリーム白色を呈している。頸側には白色の縦線が多数列をなして走っている。

喉の下部には白色の極く短い縦線が多数列をなしている。

前頸は紫光沢のある黒色、背・肩羽・腰・上尾筒は銅鉄様の藍色の金属光沢のある黒色で、背の両側には白色の太い横斑が多数横縞をなし、肩羽の各羽の先端には白色の四角い横斑がある。

胸・腹は白色で、胸側には黒色の縦線が多数列をなして走っている。

下尾筒は黒色で、各羽の先端は白色である。

下雨覆・腋羽は白色、風切羽は黒褐色、大・中・小雨覆は銅鉄様の藍色の金属光沢のある黒色で、大・中雨覆には白色の細長い雨滴形の小斑紋がある。

尾は黒褐色。嘴色は黒褐色、虹彩は淡栗色。脚色の外側は黒色、内側は肉色、外趾は暗色、蹼は白色を帯びている。

【冬羽】
体の上面は暗褐色で、各羽縁は不明瞭な淡色である。体の下面は夏羽と同様である。

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最終更新日:2020-05-21 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛は全身に暗鼠褐色の綿羽が密生し、胸と腹とは淡色で灰白色を呈する。

【幼鳥】
成鳥の各羽に類似しているが、体の上面および雨覆羽と尾との各羽には淡灰鼠色の縁がある。

嘴色は淡青色。虹彩は褐色。

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卵の形質

卵は濃褐色、オリーブ褐色、淡オリーブ緑色などで、黒褐色の斑点が散在する。

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生態

生息環境

本州以南には冬鳥として渡来し、外海や海湾に生息する。

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食性

水に潜って主に、イカナゴ、ニシン、タラ、ヒラメ、ホウボウなどの魚類を好物とするが、カニやガザミなどの甲殻類やナマコ、軟体動物なども食する。

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ライフサイクル

繁殖地では6~7月に湖岸の草地に草や海藻で巣をつくり、2卵を産み、雌雄交替で28~30日抱卵する(Cramp & Simmons, 1977)。

雌雄共同で雛に給餌する。一夫一妻の番が広いなわばりを構えて分散する(Cramp & Simmons, 1977)。

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鳴き声

グァインまたはグォーイと啼き、飛翔中にも啼くが、冬季はほとんど啼かない。

営巣地で警戒時にはグァー、グァー、グァー、ヘイ、ヘイ、ヘイと高啼きすることもある。

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特徴的な行動

冬季は海上に単独または群棲し、よく泳ぎまた巧に潜水しつつ餌を漁っている。

水上では体を水中深く沈めていることが多く、ときには背まで水中深く浸けていることがある。

警戒時には特に体を深く沈め、頸だけを水上に出し、頭を左右に動かして注意している。

潜水時には跳ねあがるようにして、頭からポチャリと水中に突入する。

両脚を揃えて水を掻き迅速に潜水するが、ときには両翼を補助として働かせることもある。

潜水時間は30秒くらいが常で、ときには43-53秒から92-120秒くらいのこともある、潜水の最深度としては 16 mが知られている。

翼は短小であるが飛翔は迅く、翼を小刻みに羽搏いて水面近くの低空を直線的に飛び、ときにはかなりの高空を飛翔することもある。

飛翔時には頸を前方に真直ぐに延ばしているが、頭と頸が同じくらいの幅に見える。

群飛するときには縦列に並ぶ。飛び立つときには水面を滑走してから飛び上がる。

危険に出会うと多くは潜水して逃れ、遠方まで潜ってポッカリと浮かび上がり、潜行速度は中々迅速である。

水中で小魚を捉えるとそのまま呑み込むが、大きな魚のときには水上に一度浮かび上がって呑み込む。

体を立て跗蹠と趾で地上をそろそろと歩むが、人に追われたときなどには胸を地上につけ翼を働かせ這いながら地上を跳ね飛んで逃れる。

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種・分類一覧