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ミーアキャット(Suricata suricatta)の分類 Herpestidae
ミーアキャット(Suricata suricatta)の概要 Suricata

ミーアキャット(Suricata suricatta)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Suricata suricatta (Schreber, 1776)

基本情報

大きさ・重さ

体長:25~35 cm 
尾長:17~25 cm
体重:0.9 kg

参考文献

  • J.ルード/W.C.ウォーゼンクラフト 1986 スリカータ, F.バネル(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科1 食肉類. 平凡社. 167.
  • ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 ミーアキャット, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 271.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

分布

アフリカ南西部、半砂漠の低木林や林地、特に石の多い開けた土地に生息する。

参考文献

  • J.ルード/W.C.ウォーゼンクラフト 1986 スリカータ, F.バネル(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科1 食肉類. 平凡社. 167.
  • ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 ミーアキャット, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 271.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

分類学的位置付け

食肉目(Carnivora) マングース科(Herpestidae)

参考文献

  • Pat Morris and Amy-Jane Beer 2013 ミーアキャット, Pat Morris、Amy-Jane Beer(著) 本川雅治(翻) 知られざる動物の世界8. 朝倉書店. 94₋99.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

形態

成獣の形質

体毛は黄褐色から灰色で、途中でところどころ途切れる暗褐色の帯模様が、背中と体側を横切る。頭部とのどは灰白色、眼のまわりと耳は黒く、ほっそりとした尾の先端も黒い。体の後ろ半分には、特徴的な8本の黒い帯がある。耳は小さく尖っており、目の周りに黒い輪があり、鼻は尖っている。首と胸には白っぽい、尻には斑模様の灰茶色の毛をもつ。

参考文献

  • J.ルード/W.C.ウォーゼンクラフト 1986 スリカータ, F.バネル(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科1 食肉類. 平凡社. 167.
  • ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 ミーアキャット, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 271.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

生態

生息環境

乾燥したサバンナ、開けた平原、低木地に生息している。

参考文献

  • Pat Morris and Amy-Jane Beer 2013 ミーアキャット, Pat Morris、Amy-Jane Beer(著) 本川雅治(翻) 知られざる動物の世界8. 朝倉書店. 94₋99.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

食性

昆虫、サソリ、ジムシ、ときどきトカゲ、小型のヘビ、鳥、ネズミも食べる。
ミーアキャットは毎日餌をとりに行く際、違う道を通る。ある場所で食物源が再びいっぱいになるように、約1週間で同じ場所に戻ってくる。
爪のついた筋肉質の前腕は餌を掘り出したり、トカゲ類やネズミ類などの大きな動物を掴むのに使われる。ミーアキャットは集団で食事をするが、散開して餌をとり、餌を探すのに協力し合ったりはしない。集団でいることで、捕食者から身を守るのである。ミーアキャット自身の餌は小さいため、大きな動物を仕留めるために協力する必要がない。しかし例外はあり、例えば大きなヤモリの匂いを嗅ぎつけたら、ほかの個体に巣穴からヤモリを掘り出すのを手伝ってもらう。ヤモリを見つけ出すのに30分はかかるが、ヤモリは大きくてペアでいることが多いため、掘り出す努力に見合っている。

参考文献

  • Pat Morris and Amy-Jane Beer 2013 ミーアキャット, Pat Morris、Amy-Jane Beer(著) 本川雅治(翻) 知られざる動物の世界8. 朝倉書店. 94₋99.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

鳴き声

小鳥が鳴くような声、震え音、うなり声、吠え声など多様である。

参考文献

  • Pat Morris and Amy-Jane Beer 2013 ミーアキャット, Pat Morris、Amy-Jane Beer(著) 本川雅治(翻) 知られざる動物の世界8. 朝倉書店. 94₋99.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

生殖行動

模擬的なけんか行動の後、交尾が行われる。

参考文献

  • ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 ミーアキャット, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 271.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

出産

ミーアキャットは年中繁殖するが、ほとんどは暖かく湿度の高い時期に生まれる。ミーアキャットの子どもは、3~4週齢ほどになると、成獣と同じ餌を食べるようになる。離乳が完了する少し前には、子どもはグループのほかのメンバーについていくようになる。
妊娠期間は75日、2~5頭の子が生まれる。9~10週間で離乳し、約12ヵ月で性成熟する。飼育下で13年、野生では最大10年生きるが、6年くらいがふつうである。

参考文献

  • Pat Morris and Amy-Jane Beer 2013 ミーアキャット, Pat Morris、Amy-Jane Beer(著) 本川雅治(翻) 知られざる動物の世界8. 朝倉書店. 94₋99.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

特徴的な行動

ミーアキャットのパックは縄張りに強く執着する。肛門腺から出る匂いを使った縄張りのマーキングは、雄が行うのが一般的である。ライバルのパックが縄張りに入ってくるのを発見したら、まず威嚇しながら接近する。威嚇しても侵入を止めなければ、2つのパックが喧嘩することになり、最も大きい雄が喧嘩を主導することが多い。子どもを除いたパック全てのメンバーが喧嘩に加わる。ひとたび勝負が決すると、2つのパックは離れる。勝者側の低位の雄は敗者側の雄を追い出し、縄張りと雌を乗っ取ることによって繁殖地位を改善する機会を得る。

参考文献

  • Pat Morris and Amy-Jane Beer 2013 ミーアキャット, Pat Morris、Amy-Jane Beer(著) 本川雅治(翻) 知られざる動物の世界8. 朝倉書店. 94₋99.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

その他生態

ミーアキャットの巣穴は通常直径約 5 mの範囲をカバーし、地面の条件によっては最大で3つの階層を持ち、最も深いトンネルは地上から約 3 mのところにある。最も大きい巣穴では最大90個の入り口があるが、だいたい15個あるのが最もふつうである。巣穴の中で、トンネルは直径約 30 cmの部屋を接続している。捕食者からのおもな避難場所である巣穴から、至近距離の場所にいることが多い。深いトンネルの中の温度はたったの1~2℃しか変化しないため、巣穴は地上の極端な砂漠気候からの重要な避難場所となっている。ミーアキャットは夜を巣穴で過ごす。冬の最も寒い時期と、夏の最も暑い時期も巣穴の中で過ごす。ミーアキャットの集団のなわばりは最大で 15 ㎢で、その中には5~6個の巣穴があり、それを交代で使う。1つの巣穴周辺で2~3日から数ヵ月を過ごし、周辺の食物を食べ尽くしたら移動する。

昼間に活動し、社会性が強く、30頭以下のコロニーをつくって、大きくしたジリスの巣で暮らす。夜明けに巣穴から出て、腰をおろして体を直立させ、太陽に向いて体を温める、群れのほとんどが昆虫を食べている間、数頭は見張り番として、タカなどの捕食者である鳥を警戒する。見張り番は、塚や藪の上の眺望のきく場所に立ち、チューチュー鳴いたり、コッコッと鳴いたりして警告を出す。鋭い鳴き声やうなり声は、危険が差し迫ったことを知らせ、群れ全体が隠れる。

パックのメンバーが攻撃されてケガをすると、ほかのメンバーたちは看病をする。ワシに捕まってケガをした1頭の雌が、パックの仲間に囲まれて巣穴に戻るのを手伝ってもらっているのが観察されている。その雌は2~3日前に出産しており、パックのメンバーが餌をとりにいっている間、彼女は子どもたちと共に巣穴に残された。彼女はパックのメンバーからジムシを食べさせてもらい、朝の日光浴の時間には直立するのを手伝ってもらっていた。グループ援助のおかげで、その雌と子どもたちは生き延びた。幼獣を失うことは成獣を失うことよりも損害が小さいため、傷病個体の看護は成獣のためにのみ行われる。

参考文献

  • ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 ミーアキャット, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 271.
  • Pat Morris and Amy-Jane Beer 2013 ミーアキャット, Pat Morris、Amy-Jane Beer(著) 本川雅治(翻) 知られざる動物の世界8. 朝倉書店. 94₋99.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

関連情報

その他

個体数は多く絶滅の危険性はないが、一部の地域では数が減っている。

参考文献

  • Pat Morris and Amy-Jane Beer 2013 ミーアキャット, Pat Morris、Amy-Jane Beer(著) 本川雅治(翻) 知られざる動物の世界8. 朝倉書店. 94₋99.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

種・分類一覧