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アイアイ(Daubentonia madagascariensis)の分類 Daubentoniidae
アイアイ(Daubentonia madagascariensis)の概要 Daubentonia

アイアイ(Daubentonia madagascariensis)

準危急種 (EN)

【IUCN】近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの

【 学名 】
Daubentonia madagascariensis (Gmelin, 1788)

基本情報

大きさ・重さ

体長:40 cm 
体重:3 kg
尾長:40 cm

参考文献

  • A.F.リチャード 1986 もっとも奇妙な霊長類,アイアイ, A.F.リチャード(著) 伊谷純一郎(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科3 霊長類. 平凡社. 27.
  • ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 アイアイ, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 106.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

分布

マダガスカル北西部、東部に分布する。

参考文献

  • A.F.リチャード 1986 もっとも奇妙な霊長類,アイアイ, A.F.リチャード(著) 伊谷純一郎(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科3 霊長類. 平凡社. 27.
  • ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 アイアイ, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 106.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

分類学的位置付け

アイアイ科 

参考文献

  • ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 アイアイ, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 106.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

人間との関係

1780年に、フランス人ソンヌラ(P. Sonnerat)によって発見されて以来、イギリスの比較解剖学者オーエン(R. Owen)が1863年に霊長類として分類し直すまで、アイアイは約1世紀の間、伸び続ける切歯をもつリス類に入れられていた。

アイアイ科の仲間で生き残ったのは、アイアイ1種だけである。本種も、現在ほとんど絶滅寸前である。アイアイによく似た、3分の1ほどの大きさの Daubentonia robusta という種は、過去3000年のうちに絶滅した。生息地の破壊が、かれらの滅亡にとって大きな要因であるが、人間はもっと直接的に滅亡に加担してきた。マダガスカル島の住民の多くは、アイアイを縁起の悪い、みつけたらすぐに殺すべき動物だと考えているからである。

参考文献

  • A.F.リチャード 1986 もっとも奇妙な霊長類,アイアイ, A.F.リチャード(著) 伊谷純一郎(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科3 霊長類. 平凡社. 27.
  • 岩野泰三 1992 指を箸に変えるまでの進化 アイアイ, 岩野泰三(著) 動物たちの地球53 哺乳類Ⅰ 5 キツネザル・ロリスほか. 朝日新聞社. 41, 132-135.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

形態

成獣の形質

アイアイは独特の容貌と習性を持っている。毛深く暗褐色で、体には白い斑点がある。非常に長い粗毛に覆われ、大きなふさふさした尾と、コウモリのような無毛の耳を持つ。巨大な門歯(約 1~6 cm)は、ほかの歯からかなり離れて(少なくとも 1.25 cm)生えている。両手の中指(第三指)は細長く、平爪のある足の第一指以外の手足の指は、全てかぎ爪(非常に長い)を持っている。

参考文献

  • A.F.リチャード 1986 もっとも奇妙な霊長類,アイアイ, A.F.リチャード(著) 伊谷純一郎(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科3 霊長類. 平凡社. 27.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

生態

生息環境

森、トゲのある植物の砂漠、プランテーションなどに生息する。

参考文献

  • ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 アイアイ, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 106.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

食性

アイアイは、自然状態ではラミーの種子、樹皮、花蜜、豆、果実、穿孔性昆虫の幼虫を食べる。
前方に曲がって傾斜角のついた強力な門歯は、ココヤシのような果実の外側にあるかたい殻を咬み裂いて穴をあけたり、マンゴーなどの繊維質の果実をそぎとるのに使われる。霊長類としては唯一、アイアイの門歯は、先端部がひどく摩滅しても構わないように、一生のび続けるという特徴がある。ほじくって果実のかたい殻に穴をあけたあと、内部の果肉と果汁を中指で取り出す。アイアイの大きな耳は、おそらく枯枝の樹皮の下に隠れている幼虫を見つけるのに役立っている。場所がわかると、覆っている樹皮の一部を門歯で引き裂いて、幼虫をむき出しにする。アイアイはこうしてできた穴に中指を入れて内部を探り、幼虫を口へ運ぶ。

参考文献

  • A.F.リチャード 1986 もっとも奇妙な霊長類,アイアイ, A.F.リチャード(著) 伊谷純一郎(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科3 霊長類. 平凡社. 27.
  • 岩野泰三 1992 指を箸に変えるまでの進化 アイアイ, 岩野泰三(著) 動物たちの地球53 哺乳類Ⅰ 5 キツネザル・ロリスほか. 朝日新聞社. 41, 132-135.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

活動時間帯

最も大型の夜行性霊長類であるが、多くのことはまだ解明されていない。
昼間は、数日間続けて使うこともある巣の中で寝ている。夜になると、木の間や地上を四足歩行で移動する。
単独生活者であるが、同時に4頭が見られた例もある。

参考文献

  • A.F.リチャード 1986 もっとも奇妙な霊長類,アイアイ, A.F.リチャード(著) 伊谷純一郎(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科3 霊長類. 平凡社. 27.
  • 岩野泰三 1992 指を箸に変えるまでの進化 アイアイ, 岩野泰三(著) 動物たちの地球53 哺乳類Ⅰ 5 キツネザル・ロリスほか. 朝日新聞社. 41, 132-135.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

出産

妊娠期間は120~150日、産仔数は1仔である。

参考文献

  • ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 アイアイ, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 106.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

特徴的な行動

樹上では、かぎ爪のおかげで幹にしがみついたり、非常に細い枝の上を歩くことができる。ときにはかぎ爪を引っかけて、細い枝から逆さまにぶら下がることもできる。地上では、指を持ち上げて地面に触れないようにして歩くため、奇妙でぎこちない歩き方をすることになる。

参考文献

  • A.F.リチャード 1986 もっとも奇妙な霊長類,アイアイ, A.F.リチャード(著) 伊谷純一郎(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科3 霊長類. 平凡社. 27.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

関連情報

研究されているテーマ

アイアイの野外での研究は、1950年代に入ってから、フランスの霊長類学者ペテ(J. J. Petter)によって行われた。ペテは、アイアイの食物として、果実と昆虫の幼虫をあげたが、果実はココナッツ、マンゴー、ライチ―といった栽培植物ばかりで、マダガスカル原産の植物は含まれていなかった。食性についての情報は不足していたが、アメリカの解剖学者カートミル(M. Cartmill)はアイアイの生態的地位に関する有名な論文を1972年に発表した。カートミルは、アイアイに形がいくらか似た指をもつ哺乳類として、ニューギニアに生息する有袋類のユビナガフクロシマリス(Dactylopsila palpator)をあげ、指だけでなく頭骨もアイアイに類似していることを指摘した。そして両者が分布するマダガスカル島と、ニューギニア島には、どちらもキツツキ類が生息していないことを示し、キツツキ類の生態的地位をアイアイが占めていると述べた。この学説は、アイアイの奇妙な形態と食性についての定説となったが、事実の裏付けに乏しかった。

参考文献

  • 岩野泰三 1992 指を箸に変えるまでの進化 アイアイ, 岩野泰三(著) 動物たちの地球53 哺乳類Ⅰ 5 キツネザル・ロリスほか. 朝日新聞社. 41, 132-135.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

その他

霊長類のキツツキとも呼ばれる。絶滅したと考えられていたが、1957年に再発見された。

参考文献

  • ジュリエット・クラットン=ブロック 2005 アイアイ, ジュリエット・クラットン=ブロック(著) 渡辺健太郎(翻) 世界哺乳類図鑑. 新樹社. 106.

最終更新日:2020-05-13 ハリリセンボン

種・分類一覧