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ヌートリア(Myocastor coypus)の分類 Myocastoridae
ヌートリア(Myocastor coypus)の概要 Myocastor

ヌートリア(Myocastor coypus)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Myocastor coypus (Molina, 1782)

基本情報

大きさ・重さ

頭胴長:647 mm
尾長:387 mm
後足長:130 mm
耳長:27 mm
体重:6.7 kg
頭骨基底全長:118 mm

※香川県産の標本による。

参考文献

  • 金子之史 2008 ヌートリア, 前田喜四雄(著) 阿部永、石井信夫、伊藤徹魯、金子之史、前田喜四雄、三浦慎悟、米田政明、阿部永(監修) 日本の哺乳類. 改訂2版. 東海大学出版会. p. 146.

最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン

分布

原産地はチリ・アルゼンチンからボリビアやブラジル南部であるが、ヨーロッパやアジア北部、東アフリカおよび北米に移入された。

参考文献

  • 金子之史 2008 ヌートリア, 前田喜四雄(著) 阿部永、石井信夫、伊藤徹魯、金子之史、前田喜四雄、三浦慎悟、米田政明、阿部永(監修) 日本の哺乳類. 改訂2版. 東海大学出版会. p. 146.

最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン

生息状況

ヌートリアは現在、岡山、兵庫、広島、岐阜、愛知などの各県に生息している。とくに岡山県児島湾干拓地一帯では、縦横にクリーク(排水溝)がつくられ、水生植物が生いしげるなど生息条件に恵まれて、かなり多数が生息している。

イネや水路ぞいの野菜に大きな被害を与えるため、毎年2000~3000頭が捕殺されている。

参考文献

  • 三浦慎悟 1996 ヌートリアとマスクラット, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. pp. 134-135.

最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン

分類学的位置付け

ヌートリア科 ヌートリア属

参考文献

  • 1960 原色日本哺乳類図鑑 - 書籍全体, 今泉吉典(著) 原色日本哺乳類図鑑. 保育社. .

最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン

人間との関係

カワウソの毛皮と称して売買されたため、カワウソのスペイン語名<ヌートリア>がまちがってこの動物の呼び名になった。

本種の個体数が多いところでは、農作物に対する被害が大きく、特に水辺の近くで栽培されている水田のイネや畑の根菜類に被害が甚大であるため、各地で有害鳥獣駆除による捕殺が行われている。

参考文献

  • 村上興正 2002 ヌートリア・水辺の大食漢, 村上興正、鷲谷いづみ(監修) 日本生態学会(編) 外来種ハンドブック. 地人書館. p. 69.

最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン

形態

成獣の形質

大きなドブネズミのような体つきで、目や耳は小さく、尾は扁平でなく円筒状である。

後足は前足より長く、第1指から第4指までの間には水かきがある。第5指は離れていて、毛づくろいに使う。前足に水かきはなく、第1指は痕跡的であるが、他の指は長く曲がりやすい形をしている。前・後足ともに爪は鋭く強い。

参考文献

  • 金子之史 2008 ヌートリア, 前田喜四雄(著) 阿部永、石井信夫、伊藤徹魯、金子之史、前田喜四雄、三浦慎悟、米田政明、阿部永(監修) 日本の哺乳類. 改訂2版. 東海大学出版会. p. 146.

最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン

生態

生息環境

流れのゆるやかな河川、湖、沼沢地の水辺に生活し、陸上を移動することはほとんどない。寒さに弱いので、結氷するような地域には生息できない。

耳は円形で小さく、後ろ足にはみずかきが発達している。また、メスの乳首はやや背中側に並び、水のあるところでも授乳できるなど、水辺の生活に適した形態をもっている。

参考文献

  • 三浦慎悟 1996 ヌートリアとマスクラット, 森恭一(著) 日高敏隆(監修) 伊沢紘生、粕谷俊雄、川道武男(編) 日本動物大百科2:哺乳類Ⅱ. 平凡社. pp. 134-135.

最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン

食性

マコモやホテイアオイ、ガマ、ヨシ、ヒシの実、ミズアオイやオニバスの葉、およびドブガイなどを食す。

参考文献

  • 金子之史 2008 ヌートリア, 前田喜四雄(著) 阿部永、石井信夫、伊藤徹魯、金子之史、前田喜四雄、三浦慎悟、米田政明、阿部永(監修) 日本の哺乳類. 改訂2版. 東海大学出版会. p. 146.

最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン

ライフサイクル

年に2~3回出産する。妊娠期間が約130日、胎児は平均5頭、仔は生後6~7か月で成熟する。雌成体は定住的であり、雄成体に比し小さい行動圏をもつ。雄成体は移動性が高い。

参考文献

  • 金子之史 2008 ヌートリア, 前田喜四雄(著) 阿部永、石井信夫、伊藤徹魯、金子之史、前田喜四雄、三浦慎悟、米田政明、阿部永(監修) 日本の哺乳類. 改訂2版. 東海大学出版会. p. 146.

最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン

特徴的な行動

陸上での動きは緩慢であるが、泳ぎは得意で水棲生活にもよく適応しており、日本では水辺生活をする唯一の齧歯類である。

参考文献

  • 村上興正 2002 ヌートリア・水辺の大食漢, 村上興正、鷲谷いづみ(監修) 日本生態学会(編) 外来種ハンドブック. 地人書館. p. 69.

最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン

関連情報

外来種としての影響

本種の個体数が多いところでは、農作物に対する被害が大きく、特に水辺の近くで栽培されている水田のイネや畑の根菜類に被害が甚大であるため、各地で有害鳥獣駆除による捕殺が行われている。

鳥獣関係統計による捕獲数は1985年から1995年までは全国で約2000頭程度であったが、近年は減少し1000頭前後である。河川では堤防や土手に直径 20~30 cm、長さ 1~6 mの大きなトンネルを作るので、堤防の強度を弱める可能性がある。

参考文献

  • 村上興正 2002 ヌートリア・水辺の大食漢, 村上興正、鷲谷いづみ(監修) 日本生態学会(編) 外来種ハンドブック. 地人書館. p. 69.

最終更新日:2021-04-02 ハリリセンボン

その他

カワウソの毛皮と称して売買されたため、カワウソのスペイン語名<ヌートリア>がまちがってこの動物の呼び名になった。

参考文献

  • Ian R. Bishop 1986 その他のテンジクネズミ型げっ歯類, R.A.ランシア、H.E.ホジドン(著) 今泉吉典(監修) D.W.マクドナルド(編) 動物大百科5 小型草食獣. 平凡社. pp. 116-119.

最終更新日:2021-04-14 ハリリセンボン

種・分類一覧