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- ネズ(Juniperus rigida)について

ネズ(Juniperus rigida)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Juniperus rigida Siebold & Zucc.
目次
基本情報
- 草丈・樹高
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普通 2~3 m、10 mが限度である。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ネズ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 202.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン
- 分布
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関東、中部以西、四国、九州、朝鮮半島、中国に分布する。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ネズ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 202.
- 伊澤一男 1998 ネズ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 10.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン
- 原産地
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日本(本州、北海道)、朝鮮半島、中国北部に原産する。
参考文献
- 後藤利幸・塚本洋太郎 1994 ネズ, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 1955₋1956.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン
- 和名の解説
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針葉で先端が鋭く尖っていて、触れると痛いので、この葉のついた小枝を、ネズミの出入りする穴に差し込んでおくと、ネズミが通らなくなる。そこで、この名がついた。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ネズ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 10.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン
- 亜種・変種・品種
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・ヨレネズ(var. filiformis)
枝はひも状に伸びて曲がる。葉はらせん状によじれて曲がる。
・ナガミノネズミサシ(var. longicarpa)
高さ 4 mになり、樹形が円柱状になる。果実は楕円形または長卵形、熟すると紫黒色となる。種子は1果に1粒をつける。
参考文献
- 後藤利幸・塚本洋太郎 1994 ネズ, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 1955₋1956.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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別名:ネズサシ、ネズミサシ(鼠刺し)、ムロ、ムロノキ
参考文献
- 後藤利幸・塚本洋太郎 1994 ネズ, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 1955₋1956.
- 伊沢凡人 1980 ネズ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 202.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン
- 人間との関係
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洪積世の地質からも出土しているので、数十万年前にも日本に野生していたことが分かる。
『本草和名』(918)や『和名抄』(932)では、ムロノキと呼んで、漢名を檉杉(せいさん)の2字に、カナをつけてムロノキと読ませ、一説にはムロノキは杜松(としょう)と言うとし、『大和本草批正』(1783)になると、ムロノキは杜松に充つる説可なり、檉杉は詳ならず、俗に鼠サシと言うとあり、日本では江戸後期頃までは、ムロノキと呼んでいたらしい。
明治以降になって、檉とムロノキに代わって、漢名は杜松、和名はネズが一般的になったと見られる。中国では、杜松のほか棒松とも言い、果実(毬果)を発汗・利尿薬として利用している。
ヨーロッパ産のネズは、早くから果実を薬用にしていたので、1887年(明治20)日本薬局方が施行されたとき、いちはやく杜松実として収載された。17世紀オランダの医師が、熱病の患者を救おうと、利尿剤の杜松実とアルコールで薬酒を創製したが、これがジンに発展していく。市販のジンの大部分は、ラベルにヨーロッパネズの絵が描かれているのはそのためである。
庭園樹として利用するが、乾燥地ややせ地でもよく育つ。単植よりも寄せ植え、列植に向く。
生薬名は杜松実(としょうじつ)、杜松子(としょうし)である。
【成分】
精油分は利尿・発汗作用のあるジテルペン酸などを含む。
【薬効と用い方】
・利尿、発汗に用いる
1回 2~4 gを、水 200 ㏄から2分の1量に煎じて服用する。
参考文献
- 後藤利幸・塚本洋太郎 1994 ネズ, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 1955₋1956.
- 伊澤一男 1998 ネズ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 10.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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葉は3個ずつ輪生し針状、長さ 1~2 cm、表側は平坦で1本の白いすじ(気孔)が真ん中に通り、裏側は鈍稜状、先は尖る。
雌雄異株で、雄株の方が葉が剛直である。
参考文献
- 後藤利幸・塚本洋太郎 1994 ネズ, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 1955₋1956.
- 伊沢凡人 1980 ネズ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 202.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン
- 茎(幹)の形質
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幹は赤褐色で灰色を帯び、材は水湿に腐りにくく、枝は上向性のものとそうでないものがある。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ネズ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 202.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン
- 花の形質
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前年枝の葉のわきにつき、雄花は楕円形で長さ約 4 ㎜、緑色の鱗片の中に葯2、花粉は黄色、雌花は卵円形で胚珠3は頂生、心皮はない。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ネズ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 202.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン
- 果実の形質
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毬果はほぼ球状で、先に3突起があり、緑色から紫黒色に熟し約 6~9 ㎜、径は約 5~8 ㎜、特異の香りと多少の甘味がある。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ネズ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 202.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン
生態
関連情報
- 栽培方法
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増殖は実生による。
参考文献
- 後藤利幸・塚本洋太郎 1994 ネズ, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 1955₋1956.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン