- 解説一覧
- エニシダ(Cytisus scoparius)について

目次
基本情報
- 和名の解説
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オランダ経由のラテン語 genista(ゲニスタ)に由来。
日本に入った蘭学書には「エニスダ」と記されたものが多く、それが「エニスダ」と濁るようになり、「エニシダ」となった。
参考文献
最終更新日:2020-05-12 キノボリトカゲ
- 人間との関係
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庭園樹や緩衝・道路などの緑化樹、公園樹、生垣としての造園に利用されるほか、肥料木として、また茎・枝は薬用として利用する。
翼弁に頬紅をつけたような赤のぼかしが入った変種ホオベニエニシダは特に美しい。
ヨーロッパでは多様な用途に使われる。若いつぼみの塩漬けはケイパーと同じようにサラダに使われ、種子はコーヒーの代用となる。
英名 broom はこの木の枝で箒をつくったことを示し、他にも屋根葺、衣服、紙、染料の材料として用いられた。
薬用植物としても有名で、若葉や枝を煎じて解熱剤とするが、パルテインが含まれ有毒であるので使用には注意を要する。
ヨーロッパでは腎臓や肝臓の病気に今でも使用されている。
わが国には延宝年間(1673~80)、オランダから渡来した。
11~15世紀にイギリスを支配した王家プランタジネット(plantagenet)の名は Planta genista(エニシダの小枝)に由来する。
エニシダの枝を兜に挿して戦ったためといわれ、エニシダは同家の紋章とされている。
その後リチャード1世の頃からはイギリスの国章とみなされている。
エニシダの枝を束ねてつくったほうきは魔女の持ち物とされ、魔女はこれに乗って空を飛ぶと信じられた。
エニシダはラテン語でゲニスタ Genista とよばれる。
アンジュー公国のジョフロア伯がこれを兜に挿して戦った故事から、プランタジネット朝( Plantagenets ,[エニシダの木]の意)の名が生まれたといわれる。
同公国に関係した伝説では、ほかにフルク王子の物語があるが、これは、兄を殺して王位に就いた王子が良心の呵責に耐えかねエルサレムへ巡礼し、毎晩エニシダでみずからをむち打ったという話である。
イギリスではリチャード1世がエニシダの紋章を玉璽に彫りこんで以来、公式の国章とみなされている。
英語の Broom がエニシダとともに箒の意味を持つのは、この枝を束ねて箒にしていたためで、魔女はこれにまたがり飛行すると信じられていた。
ヨークシャーでは結婚前の娘がエニシダの箒をうっかりまたぐと、私生児を産み落とすといわれる。
なお日本語名エニシダは、Genista のオランダ語読みヘニスタから転じたもの、あるいは Genista から派生したスペイン語イニエスタ Hiniesta がなまったものなどの説がある。
季題は「夏」。「えにしだの黄にむせびたる五月かな 万太郎」「金雀枝や日の出に染まぬ帆のひとつ 秋櫻子」などの句がある。
参考文献
最終更新日:2020-05-12 キノボリトカゲ
形態
生態
- その他生態
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繁殖は実生かさし木で行う。実生は採りまきすると発芽良好。さし木は6~7月に本年枝をさす。移植力が弱く注意を要する。
肥料はほとんど不要であるが、植え付け時にチッソ分の少ない元肥を与える。
放任すると地上部が大きくなり、倒伏するので枝抜きせん定する。
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最終更新日:2020-05-12 キノボリトカゲ