- 解説一覧
- アズキ(Vigna angularis)について

基本情報
- 亜種・変種・品種
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・ヤブツルアズキ(var. nipponensis)
アズキの原種と考えられるのが、変種であるヤブツルアズキである。
つる性で、葉や豆果、種子などが小さい以外は、極めてよく似ている。
種子は灰緑褐色地に黒斑がある。
本州、四国、九州の川沿いの叢などに生え、最近になってヒマラヤ、中国、台湾、朝鮮半島にも分布することが明らかになった。
参考文献
- 立石庸一, 星川清親 1997 アズキ, 立石庸一、星川清親(著) 植物の世界4,種子植物 双子葉類4. 朝日新聞社. 281₋282.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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別名:ショウズ、アカツキ、アカツブキ、アツキ、アカアズキ
参考文献
- 伊沢凡人 1980 アズキ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 230.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 人間との関係
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アズキは古い時代に中国から入ったものとされ、北海道が主産地である。
日本で自給自足の農産物だが、天候次第で相場の変動が激しく、赤いダイヤの別名さえ生まれた。
餡にして羊羹、饅頭、汁粉など、多くの菓子に使われるほか、赤飯、こわ飯など需要は幅広い。
中国の餡は緑豆を使い、アズキを使わないため、中国での栽培はわずかである。
現在ではアフリカや南アメリカでも栽培されているが、近年になって輸出用に日本から伝えられたものである。
米国南部でも最近栽培が始まったが、主に青刈り飼料用である。
正月15日の小正月に、あずきがゆを食べて、その年の邪気を除くという風習は、今日も続いている。
【成分】
サポニン、色素、脂肪などを含んでいる。
【薬効と用い方】
・かっけ、催乳に用いる
塩も砂糖も加えずに、水だけで煮たあずきがゆは、かっけによいと昔から言われている。また、母乳の出をよくするのによいとされている。
・便秘の緩下、二日酔いに用いる
前述の、水煮のあずきがゆを食べるとよい。
・消炎、利尿に用いる
赤小豆 20~30 gを、水 400 ㏄で煎じて半量にし、1日3回、空腹時に服用する。むくみが出たとき、医師にかかる前の療法としておすすめである。
参考文献
- 伊澤一男 1998 アズキ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 326.
- 立石庸一, 星川清親 1997 アズキ, 立石庸一、星川清親(著) 植物の世界4,種子植物 双子葉類4. 朝日新聞社. 281₋282.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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子葉は地下生。葉身は互生する長柄につき、3出複葉で、裏面と葉柄に開出毛がある。葉柄のもとのところには針状の托葉がある。
小葉身は柄につき、卵~菱状卵形で先は尖り、全縁~ごく浅く3裂、小托葉は披針形をしている。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 アズキ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 230.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 茎(幹)の形質
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茎は直上し、30~50 cmぐらいになり、開出毛がある。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 アズキ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 230.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 花の形質
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葉柄からのびた軸(葉より短い)に、2~12個ほど短柄でつき、直径は 2 cmほどで黄色蝶形である。
がく筒は5先裂、竜骨弁は縁がくっついて筒状になって反り返り、花柱は折れ曲がり、先には毛がある。
左側の竜骨弁には袋状の距があり、外に向かって伸びだして、水平に広がった翼弁を下から支えてハチなどの止まり場をつくる。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 アズキ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 230.
- 立石庸一, 星川清親 1997 アズキ, 立石庸一、星川清親(著) 植物の世界4,種子植物 双子葉類4. 朝日新聞社. 281₋282.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 果実の形質
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果実は円柱状で 6~10 cmぐらいになる。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 アズキ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 230.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 種子の形質
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種子はアズキ色で、9~10個ぐらいに並ぶ。種子が暗赤色でない品種もある。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 アズキ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 230.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
生態
- 送粉様式
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虫媒花である。
ハチが頭をねじ込むと、その力で竜骨弁が押し下げられ、筒先から雄しべと雌しべが現れて、ハチの腹をなでて花粉をつける。
参考文献
- 立石庸一, 星川清親 1997 アズキ, 立石庸一、星川清親(著) 植物の世界4,種子植物 双子葉類4. 朝日新聞社. 281₋282.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン