- 解説一覧
- シャクヤク(Paeonia lactiflora var. trichocarpa)について

シャクヤク(Paeonia lactiflora var. trichocarpa)
- 【 学名 】
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Paeonia lactiflora var. trichocarpa (Bunge) Stern
目次
基本情報
- 花期
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初夏。ボタンの花が終わりに近い頃開花する。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 シャクヤク, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 85₋86.
- 伊澤一男 1998 シャクヤク, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 191.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 原産地
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中国北部、中国東北部、朝鮮
参考文献
- 伊沢凡人 1980 シャクヤク, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 85₋86.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 和名の解説
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古名ではエビスクスリと呼ばれており、エビスは外国、唐の国の意味、外国から来た薬という意味である。
つまりシャクヤクは、薬として用いられていたことを示している。
漢名の芍薬を音読みにして和名になった。
参考文献
- 伊澤一男 1998 シャクヤク, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 191.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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別名:エビスグサ、エビスグスリ
参考文献
- 伊沢凡人 1980 シャクヤク, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 85₋86.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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ボタン科
参考文献
- 伊澤一男 1998 シャクヤク, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 191.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 人間との関係
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わずかに特異の香りがあり、味は緩和でやや甘く、のち収斂性で少し苦い。
【成分・薬効と用い方】
モノテルペン配糖体のぺオニフロリンや安息香酸、タンニンなどを含んでいる。
このうちぺオニフロリンは鎮静、鎮痛、鎮咳、血圧降下などの薬理作用があることが知られてきた。
中国医薬の古典『神農本草経』は、芍薬の効能について「主邪気腹痛、除血痺、破堅積、寒熱仙瘕、止痛、利小便、益気」と巻中に記してある。
意味は、腹痛、知覚異常を除き、刺すような痛み、発作性の痛みをとり、利尿の効果があって、神経の安定によいということである。
漢方の要薬であって、ことに婦人薬として利用度の高いものとなっている。筋肉の痙攣からくるひきつれをやわらげる作用があり、ほかにも腹痛、疼痛、下痢などに用いる。
急に起こる筋肉の痙攣による痛みには、芍薬甘草湯(芍薬 3 g、甘草 3 gを1日量)を煎じて服用する。
胃ケイレン、神経痛、胆石などの疝痛発作には、1日量を煎じて、1回に頓服する。小児の夜泣きには4分の1に減量して与えるとよい。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 シャクヤク, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 85₋86.
- 伊澤一男 1998 シャクヤク, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 191.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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葉は互生し、下部では2回3出複葉、小葉は披針形~楕円形~卵形をしている。
ときに2~3裂し、葉柄と脈の部分および茎は赤味を帯び、上部の葉は、3出葉から単葉となる。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 シャクヤク, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 85₋86.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 茎(幹)の形質
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茎は1株から数本出て 60 cmぐらいになる。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 シャクヤク, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 85₋86.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 根の形質
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根はかなりたくさんあって、やや肥厚し、細長い紡錘状である。
破折面はやや赤味を帯び、質は密で、木部には放射線が認められる。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 シャクヤク, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 85₋86.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 花の形質
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枝先につき、紅、白、その他多様で品種が多い。
がく片5のうち、外側のものは葉状を呈し、花弁は約10、花盤凹形をしている。
雄しべは多数で黄色、子房は卵形で毛があり、柱頭は短くて外側に反る。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 シャクヤク, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 85₋86.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 果実の形質
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果実は大柄で、内縫合線で開裂する。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 シャクヤク, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 85₋86.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
- 似ている種 (間違えやすい種)
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わが国本州中部より九州に野生するヤマシャク、北海道から九州に野生するベニバナヤマシャクがある。
どちらも花はシャクヤクより小さいが、この根を宇陀芍薬、信濃芍薬と呼んで薬用に使用されたことがある。
しかしこれは草芍薬、山芍薬で、真の芍薬ではないと『本草綱目啓蒙』(1803)の中で、小野蘭山は述べている。従って、野生のヤマシャクは、薬用には使用しない。
参考文献
- 伊澤一男 1998 シャクヤク, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 191.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン
関連情報
- 栽培方法
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奈良、島根、長野、北海道などで栽培されている。
熟した種子をとってすぐにまき、2 cmぐらいの厚さに覆土して、乾燥を防ぐようにすると簡単に発芽する。
保存しておいた種子は発芽しにくいので、新しいものをまくこと。
薬用の目的には根を太らせるために、花のつぼみを全部つみとるので、花は見られない。
【採取時期】
播種、植え付けから、5年目の秋に根を掘りとり、10 cmほどの長さに切る。
タンクに水と砂と根を一緒に入れ、これをかきまぜて、外皮がとれたら、さらに水洗いし、むしろなどに広げて日干しにしたものを生干芍薬と呼ぶ。
また、水洗いした根を熱湯に20分ほど浸すか、蒸してのちに乾燥したものを真芍と呼んで区別している。
参考文献
- 伊澤一男 1998 シャクヤク, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 191.
最終更新日:2020-05-21 ハリリセンボン