- 解説一覧
- イヌザンショウ(Zanthoxylum schinifolium)について

イヌザンショウ(Zanthoxylum schinifolium)
- 【 学名 】
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Zanthoxylum schinifolium Siebold & Zucc.
基本情報
- 分布
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本州、四国、九州に分布する。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 イヌザンショウ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 238.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン
- 人間との関係
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【成分】
葉の成分については、まだ精査されていない。
【薬効と用い方】
・咳止めに用いる
果実1回 5 gを、水 200 ㏄で2分の1量に煎じ、冷めないうちに服用する。少量の砂糖を加えてもよい。
・打撲傷に用いる
乾燥葉をできるだけ粉末にして、これに卵の白身を加えて練り合わせ、さらに少量の小麦粉を加えて化粧クリームくらいの堅さにし、患部になるべく厚く塗る。上から木綿布などを当てて、軽く押さえる。
患部の炎症の熱をとると、薬はかたくなるので、新しい薬と取り換える。かたくなった薬を無理にとると痛いので、ぬるま湯で拭くようにするとよい。
打撲傷のほか、捻挫、むち打ち症などにも応用するとよい。以前は接骨医が接骨の治療薬として盛んに用いたものであった。
参考文献
- 伊澤一男 1998 イヌザンショウ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 382.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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葉は奇数羽状複葉で小葉は7~10対、長楕円形で先は次第に細くなって少しへこみ、へりは細かく鋸歯状に切れ込む。
表面にはまばらに細毛があり、もむと匂いがする。葉軸にはトゲのあるものがある。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 イヌザンショウ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 238.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン
- 茎(幹)の形質
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幹は枝をだしてよく繁り、茎のトゲは対生せず、1本ずつ離生する。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 イヌザンショウ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 238.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン
- 花の形質
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枝先に集散状につき、うす緑で、がく片5、花弁5、雄花には雄しべ5、雌花には3心皮がある。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 イヌザンショウ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 238.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン
- 果実の形質
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果実は熟すと3裂し、黒い種子を露出する。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 イヌザンショウ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 238.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン
- 種子の形質
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種子はほぼ丸くてつやがある。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 イヌザンショウ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 238.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン
生態
- 生育環境
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日の当たる川端、山野、丘陵地に生育する。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 イヌザンショウ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 238.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン
関連情報
- その他
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日本名にイヌのつく植物は、イヌタデ、イヌセンブリなど数えきれないほどあるが、例えばタデは辛いのに、イヌタデは辛くない、センブリは苦いのに、イヌセンブリは苦くないというように、役に立たない意味を込めて、イヌの名をつけている。
しかし、このイヌザンショウは役に立つのである。サンショウのような芳香がないので、その代用にはならないというだけのことである。
【採取時期と調整法】
葉は夏に小枝ごと刈り取って日干しにし、葉がばらばらになったら手でよく揉んで、なるべく細かく砕く。果実は秋から冬に採取し、果皮と種子は一緒に日干しで乾燥する。種子と果皮を分ける必要はない。
参考文献
- 伊澤一男 1998 イヌザンショウ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 382.
最終更新日:2020-06-24 ハリリセンボン