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- ウルシ(Toxicodendron vernicifluum)について

ウルシ(Toxicodendron vernicifluum)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Toxicodendron vernicifluum (Stokes) F. A. Barkley
基本情報
- 和名の解説
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①ウルシル(潤液)またはヌルシル(塗汁)の略。
②潤の意味から。
③ウルシ(潤為)の意味(ウルは光沢、シは工作の意味)ほかにも諸説がある。
参考文献
最終更新日:2020-05-14 キノボリトカゲ
- 人間との関係
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樹皮をさわるとかぶれる。
樹皮から採った漆汁は器具や食器の塗装に利用される。新芽は可食で強壮剤となる。
採取したままの生漆の主成分はウルシオール(70~80%)で、ラッカーゼという酵素によって空気中の酸素と結合し、黒色の樹脂になる。
生漆を長期間保存して塊状になったものは乾漆と呼ばれ、仏像や彫刻をつくるのに使われる。
果実はパルミチン酸を主成分とする油脂に富み、これを圧搾して木蝋を採り、蝋燭に利用した。材は箱や細工物に使う。
漢方では乾漆を通経、回虫駆除などに用いる。
中国でウルシが使われたのは殷・周時代からだが、日本では中国より早く縄文前期の鳥浜貝塚(福井県)から漆塗の容器の遺物が出土している。
絵画としての漆絵の最も古い例は法隆寺の玉虫厨子とされる。
漆器が一般に普及したのは13世紀以降。
江戸時代には諸藩の殖産政策により地方で特色ある漆器がつくられた。会津塗(福島)、輪島塗(石川)などが有名。
わが国の漆工芸の技法は高度に発達し、世界的に知られる。
磁器が英語で china と呼ばれるのに対して、漆器は japan と呼ばれるほど日本の伝統工芸を代表する。
参考文献
最終更新日:2020-05-14 キノボリトカゲ
形態
- 葉の形質
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葉は互生し、枝の先に集まり、奇数羽状複葉で長さ 30~50 ㎝ある。
小葉は3~7対あり、卵形または楕円形で先端は鈍くとがり、基部は丸く長さ 8~12 ㎝、幅 4~7 ㎝。
全縁で質はやや厚く、表面は濃緑色、無毛で光沢があり、裏面は淡緑色となる。
参考文献
最終更新日:2020-05-14 キノボリトカゲ
- 花の形質
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雌雄異株、枝の先の葉えきから 30 ㎝ほどの円錐花序を出し、多数の黄緑色の小さい花を開く。
がくは5裂し、5個の花弁は楕円形で長さ 0.25 ㎝ほど。雄花では花弁と同じくらいの長さの雄しべが5個と、退化した雌しべがある。
雌花では5個の小さい雄しべと、3柱頭のある1個の子房がある。
参考文献
最終更新日:2020-05-14 キノボリトカゲ