- 解説一覧
- ヘチマ(Luffa aegyptiaca)について

基本情報
- 亜種・変種・品種
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形状によって、ダルマと長ヘチマの2種類がある。
ダルマは長さ 50 cm内外、繊維が緻密で品質がよい。長ヘチマの方は 1 m余りになる。繊維がやや粗い。
参考文献
- 草川俊 1992 ヘチマ, 草川俊(著) 野菜・山菜博物事典. 東京堂出版. 270₋273.
最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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別名:イトウリ(糸瓜)、トウリ
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ヘチマ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 37.
最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン
- 人間との関係
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江戸時代には、小石川御薬園では大奥の御用にこたえて、夏の終わり頃になると、大量の糸瓜水を採取しておさめていたという。大奥女中の化粧の水は、小石川御薬園『御製薬差上帳』の文政5年の文献によれば、ひと夏に1石1斗3升となっている。今日の 18 ℓ灯油カンに換算すれば、ざっと11杯分の量である。
昔から静岡県に栽培が多く、浜北市を中心に、浜松、袋井などが主産地となっている。全国産額の9割は、静岡県で生産されている。
ぶらりとぶら下がっている果実は、若いうちは苦味がないので食用になる。皮を剥いて揚げ物や汁の実にする。また漬物にしたり、皮を剥いて日光に干して「干し瓜」にしてから、保存食品として冬の間の汁の実などに使われていた。
秋遅く、長い果実をさらして繊維だけにしてヘチマダワシを作るが、これは江戸時代から遠州浜松、袋井あたりが有名な産地になっている。また蕾をがくごととって天ぷらにすると美味しく、若葉も同じようにして食べられる。
ヘチマの種子には40%ぐらいの油が含まれ、ナタネ油の代用に使われていた。しぼり粕は肥料になる。
エジプトではナイル河のデルタ地帯で栽培されているようである。だが果実をとる目的ではなく、種子を集めて輸出している。この種子を煎じた汁で皮膚を洗うと、肌がしなやかに美しくなるそうである。
日本でヘチマを食べるのは鹿児島県だけである。この地方では日覆をかねて、夏の補給野菜だった。ほとんど長ヘチマで、2 m近くも伸びる。キュウリのように、先端に黄色い花を残している若い実を食べる。
鹿児島県の食べ方は、もぎたてをさっと茹でて酢味噌で食べる。鹿児島県では、賑やかにぶら下がったヘチマの棚の下で、遠くに響く夕立の音を聞きながら行水するのが、夏の夜の風物詩であった。
【成分】
ヘチマ水にはサポニン、硝酸カリウムがあるので、咳にはサポニンが、利尿には硝酸カリウムが効果をあらわす。
【薬効と用い方】
・化粧水に用いられる
ヘチマ水 100 ㏄に対して、ホウ酸 0.5 gの割合で合わせ、よく振って溶かしてから用いる。
・痰、咳、利尿に用いられる
生の果実を輪切りにして、そのまま煮てできた汁を飲むとよい。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ヘチマ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 463.
- 草川俊 1992 ヘチマ, 草川俊(著) 野菜・山菜博物事典. 東京堂出版. 270₋273.
最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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葉身は互生の長柄につき、掌状に浅く裂け裂片はカボチャなどに比べると鋭角状に尖る。
へりは細かく鋸歯状に切れ込み、質は柔らかくて毛はないがざらつく。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ヘチマ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 37.
最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン
- 茎(幹)の形質
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茎には稜があり、巻ひげで周囲のものに絡み、よく伸びる。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ヘチマ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 37.
最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン
- 花の形質
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雄花は総状に集まってつき黄色、雌花は独立していて花冠の開いたときは径が 5~10 cmぐらいになる。
先は5裂し花びらは黄色、葯は離生、子房3室、花柱2~3裂である。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ヘチマ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 37.
最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン
- 果実の形質
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果実は緑色の長円筒状(30~60 cm)で、表面には普通浅い溝があり、熟すと果肉中に強い繊維性の網状組織が発達する。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ヘチマ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 37.
最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン