- 解説一覧
- ヤマグルマ(Trochodendron aralioides)について

ヤマグルマ(Trochodendron aralioides)
- 【 学名 】
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Trochodendron aralioides P. F. Siebold & J. G. Zuccarini
基本情報
- 草丈・樹高
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高さ 20 mになる。
参考文献
- 長村祐次 1994 ヤマグルマ, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2595.
最終更新日:2020-06-22 ハリリセンボン
- 分布
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本州、四国、九州、沖縄、朝鮮半島南部、台湾、中国南部に分布する。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ヤマグルマ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 134.
- 長村祐次 1994 ヤマグルマ, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2595.
最終更新日:2020-06-22 ハリリセンボン
- 和名の解説
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ヤマグルマの名は、葉が枝先に車輪状に並ぶ様子からつけられた。
参考文献
- 長村祐次 1994 ヤマグルマ, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2595.
最終更新日:2020-06-22 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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別名:トリモチノキ
樹皮をはぎ取り、2~3ヵ月水に浸して組織を腐らせ、水を加えて臼でつき、洗い流すと粘質物が残るが、これで鳥をとったことからつけられた。
参考文献
- 長村祐次 1994 ヤマグルマ, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2595.
最終更新日:2020-06-22 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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ヤマグルマ科 ヤマグルマ属
参考文献
- 伊澤一男 1998 ヤマグルマ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 134.
- 長村祐次 1994 ヤマグルマ, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2595.
最終更新日:2020-06-22 ハリリセンボン
- 人間との関係
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鳥もちの作り方は、伊藤圭介著『日本産物志』(1872)に「五六月此枝の表皮を削り去り、清水に浸すこと三十日許、朽腐せしめ、後臼に入れ餅を搗くが如くにし、或は復水中にて屢引きて、ことごとく皮屑を去り、純粋の品となす」と記してある。
なお同書には、紀州熊野山家の製法として「梅雨の頃より土用まで皮を剥ぎ、地を掘りて田の如くし水を引き、其中に浸し置き、或は田の泥中に埋め置き土用に至りて、その初入れし者を、逐次に取出して、臼にて搗き、水中に揉み流せば、皮の滓は、分離し流れ去る、此黐を浴桶の湯中に投じ、振蕩すれば、黐は水面に浮散す、之を取り出し、冷定すれば、その黐即凝固す」と、記載している。
材は緻密でかたく、器材に用いる。
【成分】
鳥もちの強力な粘着性は科学的には脂肪酸と高級一価アルコールのエステルによるワックス(蠟)の系列に入る。ヤマグルマの鳥もちは、パルミチン酸、セロチン酸、リノール酸などの脂肪酸と、オレアノール酸、ベータ・アミリン、ルペオールなどの高級一価のトリテルペンアルコールとが結合したものである。
【薬効と用い方】
・あかぎれに用いる
鳥もちの適量を患部に詰める。
・蠅、ねずみとりに用いる
鳥もちを紙に塗り付けて使用する。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ヤマグルマ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 134.
- 長村祐次 1994 ヤマグルマ, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2595.
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形態
- 葉の形質
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葉は無毛の革質で光沢があり、両端の尖った倒卵形で、上部の縁に鋸歯があって互生するが、多くは枝先に輪生状につく。
長さは 5~15 cm、幅 2~8 cmである。葉柄は長さ 2~6 cmになる。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ヤマグルマ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 134.
- 鈴木三男 1997 ヤマグルマ, 八尋洲東(編) 植物の世界8,種子植物 双子葉類8. 朝日新聞社. 187₋188.
最終更新日:2020-06-22 ハリリセンボン
- 茎(幹)の形質
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幹の直径は 50~60 cmになる。樹皮は濃い褐色でざらつき、樹皮から鳥黐(とりもち)がとれるため、トリモチノキとも呼ばれる。
参考文献
- 鈴木三男 1997 ヤマグルマ, 八尋洲東(編) 植物の世界8,種子植物 双子葉類8. 朝日新聞社. 187₋188.
最終更新日:2020-06-22 ハリリセンボン
- 花の形質
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枝先に黄緑色の花が総状花序に集まってつく。長さ 2~4 cm、直径約 1 cmで、花はがくも花弁もなく、多数の淡黄色の雄しべと5~10個の心皮(雄しべを構成する特殊な分化した葉)のみからなる。
細長い花糸と黄色い葯がある多数の雄しべと、5~15本の柱頭がある雌しべをもつ。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ヤマグルマ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 134.
- 鈴木三男 1997 ヤマグルマ, 八尋洲東(編) 植物の世界8,種子植物 双子葉類8. 朝日新聞社. 187₋188.
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- 果実の形質
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果実は径 1 cmくらいの扁球形をしている。秋に褐色に熟す。心皮の数と同じ5~10個の袋果ができる。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ヤマグルマ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 134.
- 長村祐次 1994 ヤマグルマ, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2595.
- 鈴木三男 1997 ヤマグルマ, 八尋洲東(編) 植物の世界8,種子植物 双子葉類8. 朝日新聞社. 187₋188.
最終更新日:2020-06-22 ハリリセンボン
生態
- 生育環境
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谷間の崖や岩場に生える。
参考文献
- 長村祐次 1994 ヤマグルマ, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2595.
最終更新日:2020-06-22 ハリリセンボン
関連情報
- 栽培方法
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土質はあまり選ばないが、日当たりのよい場所で、適当な湿り気のある肥沃な土壌を好む。増殖は実生による。
参考文献
- 長村祐次 1994 ヤマグルマ, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2595.
最終更新日:2020-06-22 ハリリセンボン
- その他
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本種だけでヤマグルマ科をなし、導管がなく仮導管だけをもつ点で、スイセイジュ科と最も近縁と考えられている。
参考文献
- 鈴木三男 1997 ヤマグルマ, 八尋洲東(編) 植物の世界8,種子植物 双子葉類8. 朝日新聞社. 187₋188.
最終更新日:2020-06-22 ハリリセンボン