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オキナグサ(Pulsatilla cernua)の分類 Ranunculaceae
オキナグサ(Pulsatilla cernua)の概要 Pulsatilla

オキナグサ(Pulsatilla cernua)

絶滅危惧II類 (VU)

【環境省】絶滅の危険が増大している種

【 学名 】
Pulsatilla cernua (Thunb.) Bercht. & Presl

基本情報

花期

4~5月

参考文献

  • 門田裕一 1997 オキナグサ, 八尋洲東(編) 植物の世界8,種子植物 双子葉類8. 朝日新聞社. 263-264.

最終更新日:2020-05-27 ハリリセンボン

分布

本州から九州、朝鮮半島、中国東北部、ロシア極東地方に分布する。

参考文献

  • 門田裕一 1997 オキナグサ, 八尋洲東(編) 植物の世界8,種子植物 双子葉類8. 朝日新聞社. 263-264.

最終更新日:2020-05-27 ハリリセンボン

学名の解説

日本のオキナグサの学名は、プルサチラ・セルヌアだが、セルヌアは花がうつむいて咲くところから来ている。属名のプルサチラは、花の形を釣り鐘に例えた名で、ラテン語に由来する。

日本は果実の形を見て名前を考え、西洋では花の咲き方を見て名前を考えた。

参考文献

  • 伊澤一男 1998 オキナグサ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 142.

最終更新日:2020-05-27 ハリリセンボン

和名の解説

和名「翁草」、漢名「白頭翁」ともに、白いひげの状態からつけられた。

参考文献

  • 山田卓三 1992 オキナグサ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 331.

最終更新日:2020-05-27 ハリリセンボン

別名・方言名

別名:はくとうをう(白頭扇)、ねこぐさ(猫草)、ばばくさ(婆草)、てんぐのもどり(天狗髻)、ちごばな(稚児花)、かぶろぐさ(禿草)、ゆうれいぐさ(幽霊草)などたくさんある。

参考文献

最終更新日:2020-05-27 ハリリセンボン

分類学的位置付け

キンポウゲ科

参考文献

  • 山田卓三 1992 オキナグサ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 331.

最終更新日:2020-05-27 ハリリセンボン

人間との関係

『本草和名』(918)、『和名抄』(932)には白頭翁の漢名をあげて、これを和名「於木奈久佐」にあてた。

『用薬須知』1巻(1726)で松岡玄達は「赤熊柴胡と俗に言うものがこれであって、諸国の方言最も多い」と述べ、「最近漢土(中国)から白頭翁が入ってこないので、傷寒論に出ている処方、白頭翁湯に使えなくて困っているが、最近わが国の山中にきわめて多くの白頭翁があることがわかったので、これを用いている」としている。

現在日本では個体数が激減している。

【成分】
ヘデラゲニンを含む。これはテルペノイド類で、ムクロジ(果皮)、アケビ(つる)にも含まれ、サポニンとして存在するものである。またスチグマステロール、ベータ・シトステロールなどのステロールも含まれることが知られている。

外国産にはプロトアネモニンが含まれていることが古くから知られ、強い刺激性があるので、これを含むものを毒草にするが、根を日光に当て乾燥させると、無刺激結晶のアネモンに変化する。

【薬効と用い方】
・出血性下痢に用いる
赤痢のような熱を伴う下痢に医師が使用する。吉益東洞は『和訓類聚方広義』(1764)に、白頭扇湯の処方をあげ、「熱利下重して、心悸する者を治す」と記している。白頭翁 2 g、黄連・黄柏・秦皮各 3 g、水 400 ㏄で半量に煎じて服用するとなっている。

この処方は『傷寒論』を原典とするが、熱利下重とは、熱があって下痢をし、渋り腹のことである。白頭翁湯はこうした症状で、しかも動悸がして安静でないものを治すという。

オキナグサの根、白頭翁はこのように漢方処方として使われるが、単味で用いては効果がない。

参考文献

  • 伊澤一男 1998 オキナグサ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 142.
  • 門田裕一 1997 オキナグサ, 八尋洲東(編) 植物の世界8,種子植物 双子葉類8. 朝日新聞社. 263-264.

最終更新日:2020-05-27 ハリリセンボン

形態

茎(幹)の形質

茎は花の咲く頃には高さ 10 cm前後だが、開花後に伸長して 40 cmにもなる。

参考文献

  • 門田裕一 1997 オキナグサ, 八尋洲東(編) 植物の世界8,種子植物 双子葉類8. 朝日新聞社. 263-264.

最終更新日:2020-05-27 ハリリセンボン

花の形質

花は赤紫色で直径 3~4 cmのつり鐘形で、下向きに咲く。

参考文献

  • 門田裕一 1997 オキナグサ, 八尋洲東(編) 植物の世界8,種子植物 双子葉類8. 朝日新聞社. 263-264.

最終更新日:2020-05-27 ハリリセンボン

果実の形質

痩果は多数が球状に集まり、直径 3~4 cmで、白い羽毛状の毛が密生する。

参考文献

  • 門田裕一 1997 オキナグサ, 八尋洲東(編) 植物の世界8,種子植物 双子葉類8. 朝日新聞社. 263-264.

最終更新日:2020-05-27 ハリリセンボン

似ている種 (間違えやすい種)

中国にはプルサチラ・シネンジス、朝鮮半島にはプルサチラ・コレアナがあり、いずれの根も白頭扇としている。

参考文献

  • 伊澤一男 1998 オキナグサ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 142.

最終更新日:2020-05-27 ハリリセンボン

生態

生育環境

日当たりのよい山野や河原に生える。

参考文献

  • 山田卓三 1992 オキナグサ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 331.

最終更新日:2020-05-27 ハリリセンボン

その他生態

開花期までは植物全体が絹毛に包まれているが、花が散る頃から毛は少なくなる。花後に花柱が長く伸び、白いひげのようになる。

参考文献

  • 山田卓三 1992 オキナグサ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 331.

最終更新日:2020-05-27 ハリリセンボン

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