- 解説一覧
- カンアオイ(Asarum nipponicum)について

基本情報
- 花期
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10~11月
参考文献
- 菅原敬 1997 カンアオイ, 菅原敬(著) 植物の世界9,種子植物 双子葉類9 単子葉類1. 朝日新聞社. 38₋39.
最終更新日:2020-05-29 ハリリセンボン
- 分布
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関東地方南部から近畿地方の太平洋側に分布する。
参考文献
- 菅原敬 1997 カンアオイ, 菅原敬(著) 植物の世界9,種子植物 双子葉類9 単子葉類1. 朝日新聞社. 38₋39.
最終更新日:2020-05-29 ハリリセンボン
- 和名の解説
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「寒葵」の名は、葉が寒い冬でも青々として、アオイの花に似ていることによる。
参考文献
- 菅原敬 1997 カンアオイ, 菅原敬(著) 植物の世界9,種子植物 双子葉類9 単子葉類1. 朝日新聞社. 38₋39.
最終更新日:2020-05-29 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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別名:アズマカンアオイ(東寒葵)、カントウカンアオイ
参考文献
- 伊沢凡人 1980 カンアオイ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 33₋34.
- 伊澤一男 1998 カンアオイ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 185-186.
最終更新日:2020-05-29 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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ウマノスズクサ科
参考文献
- 伊沢凡人 1980 カンアオイ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 33₋34.
最終更新日:2020-05-29 ハリリセンボン
- 人間との関係
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江戸時代の元禄から享保のころには、サイシンアオイ(細辛葵)、トキワグサ(常盤草)と呼ばれ、カンアオイの葉に出る斑紋を観賞するため、栽培法の手引きや、名品宝鑑などの出版物まで出るほど栽培が盛んであった。
小野蘭山は『本草鋼目啓蒙』(1803)で、「葉みな厚く、冬を経て枯れず、1株に葉が叢生す。茎は紫黒色、葉に白斑文あり。其斑、数品あり。葉の中左右相対して白きものあり。中央のみ白きものあり。葉の後白きものあり、中央一線白きものあり。満葉細白条網の如きものあり。また全く斑なきものあり」と、葉の斑様の出方を詳細に述べている。
チョウの愛好家から「春の女神」と慕われる、ギフチョウの食草でもある。
生薬名は土細辛、細辛葵(種子)である。
【成分】
研究では、地下根茎と根にアミノ酸のピペコール酸を含むことが確認され、これには鎮咳作用があると発表された(『生薬学雑誌』31巻2号による。)
また従来、カンアオイの根茎、根の成分として知られていたのは精油約1.4%であり、この精油中に、メチルオイゲノール、サフロール、エレミシンなどが含まれていることが分かっている。このような芳香性のものを含むことは、ピペコール酸同様、鎮咳作用が期待されるものである。
ほかにも、精油中にプロペニールベンゼン系の成分が含まれるとの報告もあって、これが血圧降下や睡眠の作用もあるとして注目を集めている。
【薬効と用い方】
・咳止めに用いる
1回 5~10 gを、水 300 ㏄で2分の1量に煎じて服用する。
参考文献
- 伊澤一男 1998 カンアオイ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 185-186.
- 菅原敬 1997 カンアオイ, 菅原敬(著) 植物の世界9,種子植物 双子葉類9 単子葉類1. 朝日新聞社. 38₋39.
最終更新日:2020-05-29 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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葉柄は円柱状で長く汚紫色を呈し、葉身は葉柄より短く卵状楕円形~卵円形で先は鈍く尖る。
基部は深い心臓形を呈し、表面は緑が濃く、無地のもの、白斑~雲紋~白脈のあるものなどがある。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 カンアオイ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 33₋34.
最終更新日:2020-05-29 ハリリセンボン
- 茎(幹)の形質
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根茎は地表の近くを斜めにはい、やや多肉質で暗紫色を呈し、節がたくさんあり、香りがあって髭根がある。
茎はごく短く、しばしば枝分かれし、その先に1枚の葉が毎年新しくつく。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 カンアオイ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 33₋34.
最終更新日:2020-05-29 ハリリセンボン
- 花の形質
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暗紫色~緑黄色で、直径約 2 cm、いつまでも枯れずに残る。地表すれすれの葉柄のもとのところにかたまってつく。
花柄はラショウアオイ、タマノカンアオイなどに比べ遥かに短い。
がくの筒部は鐘形で、上部にくびれがなく、内側には縦線が9本あって規則正しい網目状を呈する。先は3つに分かれて水平に開く。
裂片は卵状三角形で、内側に突起はない。花柱6は輪状に直立して並び、雄しべ12は、花柱の外側を囲む。葯は横向きである。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 カンアオイ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 33₋34.
- 菅原敬 1997 カンアオイ, 菅原敬(著) 植物の世界9,種子植物 双子葉類9 単子葉類1. 朝日新聞社. 38₋39.
最終更新日:2020-05-29 ハリリセンボン
- 似ている種 (間違えやすい種)
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・スズカンアオイ
近畿、北陸西部に分布し、壺状の花筒部よりも花被片の長さがはるかに長く、葉の上面の葉脈がへこむ。カンアオイは花筒部と花被片の長さがほぼ同じで、葉面の脈はへこまない。江戸時代には、これも細辛葵として栽培された。
・コウヤカンアオイ
和歌山県などに分布し、花被片は短く、花筒部の2分の1くらいになる。
・アツミカンアオイ
近畿各地に見られ、葉が上記に述べたものより厚く、葉脈の表面が著しく凹入するなどの点から、カンアオイの変種ではなく、独立種とする見方もある。
参考文献
- 伊澤一男 1998 カンアオイ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 185-186.
最終更新日:2020-05-29 ハリリセンボン
生態
- 生育環境
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関東地方の山地の日の差し込む樹下に生える。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 カンアオイ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 33₋34.
最終更新日:2020-05-29 ハリリセンボン