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イネ(Oryza sativa)の分類 イネ科(Poaceae)
イネ(Oryza sativa)の概要 Oryza

イネ(Oryza sativa)

【 学名 】
Oryza sativa L.

基本情報

草丈・樹高

50~100 cm

参考文献

  • 伊沢凡人 1980 イネ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 23.

最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン

生活形

日本では一年草として植えられるが、本来は熱帯性の多年草である。

参考文献

  • 小山鉄夫 1997 イネ, 八尋洲東(編) 植物の世界11,種子植物 単子葉類3. 朝日新聞社. 6.

最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン

花期

参考文献

  • 伊沢凡人 1980 イネ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 23.

最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン

原産地

インド、マレー地方

参考文献

  • 伊澤一男 1998 イネ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 808.

最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン

和名の解説

『大言海』によると、イネは飯根から由来しているとある。

参考文献

  • 伊澤一男 1998 イネ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 808.

最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン

分類学的位置付け

イネ科

参考文献

  • 伊沢凡人 1980 イネ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 23.

最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン

人間との関係

イネの起源については、現在大きな論争がある。

ひとつは、イネが中国西南部からインド東部の山地一帯のいわゆるアッサムから雲南地域で生まれたとするもの。

この学説は、同地域に広がる照葉樹林文化とイネの関わりを調査した民俗学的な研究や、栽培植物の起源地がその品種の多様性の中心と一致することが多いという、ロシアの遺伝学者ヴァヴィロフ(N. I. Vavilov, 1887~1943)の説に従って唱えられた。

一方、中国の考古学者のデータでは、長江の中・下流域に7000~8000年前の稲作遺跡が多数見つかり、ここがイネの起源地のひとつである可能性が高まっている。

また、系統分類学の立場からは、後に述べるインディカ(インド型)とジャポニカ(日本型)が異なる祖先から生じたとする意見も強い。

こうしたことから、ジャポニカとインディカは、別な地域で異なる祖先から進化したという説が受け入れられつつある。

長い栽培の歴史と幅広い栽培環境のため、イネには多数の品種が成立しているが、それらは大きくジャポニカ(日本型)とインディカ(インド型)の2つの栽培型に分けられる。ただし両者の間には中間的なタイプも多く見られ、また一般には信じられているように、味や粘り具合や籾の形などによって区別するのは困難である。

ジャポニカはさらに、よく管理された水田に栽培される温帯型と、熱帯の焼き畑地帯や島部の段々畑など管理の行き届かない環境に見られるジャワニカ(ジャワ型、または熱帯型、熱帯ジャポニカ)とに分かれる。

一般にジャワニカは温帯型に比べて大型の器官をもち、高さも 2 mに達することがある。

一方、インディカは熱帯の低地のさまざまな環境下に広く分布している。

8000年以上の栽培の歴史を通じて、イネは実に多様な環境下で栽培されるようになった。緯度では赤道から50度付近まで、高度では標高 0 mから 2600 mを超える高地まで、また水の条件では水深数 mの浮稲地帯から、雨水以外に水の供給がない陸稲地帯にまで栽培されている。

栽培様式にも大きな違いがあり、そのためストレス耐性、開花期、形態などに多様な変異を示す。

イネを栽培する民族もまた多様で、稲作を巡る儀礼や消費の習慣もバラエティーに富んでいる。そのため、主な利用部分である米の変異も豊かである。

イネは米粒のまま消費者に渡り、米粒のままで食されることが多い。そのために果実の形や大きさにも利用法に応じた変異が見られる。例えば籾の長さでは 4~14 ㎜、幅では 1.9~4.5 ㎜、1粒の重さでは数 mgから数 十 mgの変異がある。

日本では明治以来、イネの育種は一大国家事業であった。

1960年頃までは増産が、それ以降はおいしさが品種改良の目標であり、それに沿った品種が次々と育成された。その頂点に立ったのがコシヒカリとササニシキである。

一方で、かつては4000近くあった品種が急速に減少し、また少数の品種が繰り返し交配親に使われたことで、品種全体のもつ多様さは失われてしまった。

なお全世界的には、フィリピンの国際イネ研究所が育成したインディカの(IR36)などの著名品種が知られる。

イネは除かれる果皮や胚が米糠で、糠味噌をつくるほか、油(ライスオイル)を抽出したり、化粧品や飼料にも用いられる。

【成分】
切り株には多糖類のセハデックスが含まれる。

【薬効と用い方】
・糖尿病の血糖値を下げるのに用いる
切り株に含まれる多糖類のセハデックスに血糖値を下げる効果があるとの研究が進んで、イネの切り株が話題となっている。乾燥した切り株を1日量として 8~12 gに水 600 ㏄を加えて、400 ㏄まで煎じ、3回に服用する。

【昔からの用い方】
イネの髭根を水で煎じ、これを服用して母乳の出をよくすることに用いられた。

地方によっては、少量の砂糖を加えた切り株の煎汁を咳止め薬としたり、疲労の回復に服用した。

これより以前は、肺結核患者の体力がこれ以上衰えないように、また肺結核患者特有の寝汗を止めるのに用いられた。

参考文献

  • 伊澤一男 1998 イネ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 808.
  • 小山鉄夫 1997 イネ, 八尋洲東(編) 植物の世界11,種子植物 単子葉類3. 朝日新聞社. 6.
  • 佐藤洋一郎 1997 イネ, 八尋洲東(編) 植物の世界11 種子植物 単子葉類3 裸子植物. 朝日新聞社. 6₋8.

最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン

形態

葉の形質

葉は互生し広線形で、先は尖り、表面とへりはざらつき硬く、もとは茎を抱く。

幅 3~5 mmで扁平である。葉身は長さ 30 cm前後で、基部は長さ 3~6 cmの鞘になって茎の節間を包み、鞘の口部には三角形の葉舌とその反対側に1対の葉耳が見られる。

参考文献

  • 伊沢凡人 1980 イネ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 23.
  • 伊澤一男 1998 イネ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 808.
  • 小山鉄夫 1997 イネ, 八尋洲東(編) 植物の世界11,種子植物 単子葉類3. 朝日新聞社. 6.

最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン

茎(幹)の形質

茎は株になり数本が叢生、50~100 cmぐらいになり、数節がある。

参考文献

  • 伊沢凡人 1980 イネ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 23.

最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン

根の形質

根は髭状である。

参考文献

  • 伊沢凡人 1980 イネ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 23.

最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン

花の形質

茎頂に円錐状の花序(稲穂)となってつき、開花時は立つが、熟すと垂れる。

小穂はたくさんつき、1ヵ所に1花あて短柄で互生し、1個の小穂から1粒の米ができる。包えい2は退化し、花えいは2枚(護えいと内えい)で、これが俗にいうモミガラである。

護えいは大型の長楕円形、長さは 6~10 ㎜ぐらいで、舟形をしており、普通全面に短毛が生えざらつき、芒は長短、欠如するものなどがある。

内えいも舟形で護えいとほぼ同長である。雄しべは6本である。

参考文献

  • 伊沢凡人 1980 イネ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 23.
  • 小山鉄夫 1997 イネ, 八尋洲東(編) 植物の世界11,種子植物 単子葉類3. 朝日新聞社. 6.

最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン

果実の形質

花えいを取り除いた果実がえい果(玄米)で、それをついて果皮や胚(一般に胚芽とよばれる)を除いたものが、胚乳のみの白米である。

参考文献

  • 小山鉄夫 1997 イネ, 八尋洲東(編) 植物の世界11,種子植物 単子葉類3. 朝日新聞社. 6.

最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン

関連情報

栽培方法

【採取時期と調整法】
秋にお米を収穫したあとの切り株を薬用とする。

枯れ朽ちる前に根を含めた株を切り取り、流水でよく洗う。このとき、根株を手でときほぐすように、なるべく細かくし、水切りのあと、直射日光に当て乾燥させる。

よく乾燥したものを、カビなどがつかないように乾燥材を入れて保存する。

お米の利用ではないため、コシヒカリ、ササニシキなどと銘柄品にこだわることなく、どの稲の品種でも良い。

参考文献

  • 伊澤一男 1998 イネ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 808.

最終更新日:2020-05-20 ハリリセンボン

種・分類一覧