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- カキツバタ(Iris laevigata)について

カキツバタ(Iris laevigata)
【環境省】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
- 【 学名 】
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Iris laevigata Fisch.
基本情報
- 花期
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5月~6月。低地では4月下旬から5月に花が見られる。
参考文献
- 伊澤一男 1998 カキツバタ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 799.
- 小崎昭則 1997 カキツバタ, 菅原敬(著) 植物の世界9,種子植物 双子葉類9 単子葉類1. 朝日新聞社. 298₋299.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
- 分布
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近畿地方から北海道、朝鮮半島、中国の東北地区、シベリア東部にかけて分布する。
参考文献
- 伊澤一男 1998 カキツバタ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 799.
- 小崎昭則 1997 カキツバタ, 菅原敬(著) 植物の世界9,種子植物 双子葉類9 単子葉類1. 朝日新聞社. 298₋299.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
- 和名の解説
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昔、この花を衣に摺って染めたことから「書きつけ花」がなまってカキツバタという名になったという。
『万葉集』の17巻「加吉都播多 衣に摺りつけ ますらをの きそひ獵する 月は来にけり」は744年(天平16)の歌で、カキツバタの花の汁を衣に摺りつけて、ますらおたちが摺り染めにした衣を着飾って薬狩りする月(5月5日)はいよいよやってきたという意味。
当時の大宮人たちは衣装を整えて、薬にする鹿の角や薬草を採取する薬狩りを、1つのフェスティバルとして行っていた。
カキツバタの名は、花被の汁を衣につけて染めることに由来している。
参考文献
- 伊澤一男 1998 カキツバタ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 799.
- 山田卓三 1992 カキツバタ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 384₋385.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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方言名:アヤメ、ウマコバナ、カオバナ、カキツ、カケツバタ、カッコウ、カッコ、カッコバナ、シヨドメ、ソドメ、フデバナ
参考文献
- 山田卓三 1992 カキツバタ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 384₋385.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
- 人間との関係
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【成分】
成分はまだよく精査されていない。
【薬効と用い方】
去痰に用いられる。刻んで乾燥させた根茎を1回に 2 g、水 300~400 ㏄で2分の1量になるまで煎じて服用するとよい。
参考文献
- 伊澤一男 1998 カキツバタ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 799.
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形態
- 葉の形質
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葉は剣状、やや黄色みを帯びた緑色をしている。中脈(中肋)が隆起せず、脈が何本も見える。
また葉の先が花より上部に出て垂れる。長さは 30~90 cm、幅 1~3 cmで広く、主脈がない。
参考文献
- 伊澤一男 1998 カキツバタ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 799.
- 小崎昭則 1997 カキツバタ, 菅原敬(著) 植物の世界9,種子植物 双子葉類9 単子葉類1. 朝日新聞社. 298₋299.
- 山田卓三 1992 カキツバタ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 384₋385.
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- 茎(幹)の形質
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根茎は枝分かれして多数の繊維に覆われる。
花茎は直立して 40~80 cmに伸びる。
参考文献
- 伊澤一男 1998 カキツバタ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 799.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
- 花の形質
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原種の花の色は紫青色であるが、多くの品種があるため花色だけでは区別できない。
花色が濃紫や濃紅紫になるもの(中国東北部)、また白になるもの(京都の深泥池)など変異も知られる。
外花被片には脈がなく、幅 4~6 cm、大きく外に垂れつけ根が太い。外花被片の基部から中ほどにかけて白っぽい淡黄色の線状紋が入る。
内花被片は小形で、倒披針形、長さ約 6 cmで直立する。花柱枝の先端は2裂し、外花被片上を飾る。花は直径約 12 cmになる。
参考文献
- 伊澤一男 1998 カキツバタ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 799.
- 小崎昭則 1997 カキツバタ, 菅原敬(著) 植物の世界9,種子植物 双子葉類9 単子葉類1. 朝日新聞社. 298₋299.
- 山田卓三 1992 カキツバタ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 384₋385.
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- 似ている種 (間違えやすい種)
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・アヤメ
「いずれあやめかかきつばた」の古いことわざがあるように、カキツバタとアヤメはよく似ている。
アヤメの葉幅は約 1 cmで狭く、外花被片の基部は広い黄色の部分が目立ち、さらに紫色の細い脈が著しい。
カキツバタは葉幅が広く、外花被片基部の中央部にだけ、白か黄の細い筋があって、紫色の細い脈はない。
参考文献
- 伊澤一男 1998 カキツバタ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 799.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
生態
- 生育環境
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日当たりのよい水深の浅い沼沢地、湿地に生息する。
参考文献
- 小崎昭則 1997 カキツバタ, 菅原敬(著) 植物の世界9,種子植物 双子葉類9 単子葉類1. 朝日新聞社. 298₋299.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
関連情報
- 栽培方法
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【採取時期】
夏に根茎を採取し、繊維や細枝を除いて水洗いしてから、刻んで日干しにする。
参考文献
- 伊澤一男 1998 カキツバタ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 799.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン