- 解説一覧
- ラッキョウ(Allium chinense)について

基本情報
- 原産地
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中国。中国の中部、東部に野生が見られるという。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ラッキョウ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 764.
最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン
- 和名の解説
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平安初期の『本草和名』(918)、『和名抄』(932)には、薤の漢名に和名としてオオミラと呼ぶように記されている。
『農業全書』(1696)には薤にラッケウのふりがながつけてあり、『成形図説』(1804)では、ラッキョウは、辣韮の唐音からなまったものであるとしている。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ラッキョウ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 764.
最終更新日:2020-06-01 ハリリセンボン
- 亜種・変種・品種
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ラッキョウの品種は、玉ラッキョウ、八つ房、ラクダの3種が主である。
玉ラッキョウ種は1938年(昭和13)、台湾から導入した蘭陽という品種である。草丈が低く、分球力が旺盛で、1年で10~15に分球し、花ラッキョウに適して品質がよい。
八つ房は草丈が中くらいで、形質は玉ラッキョウ種とラクダ種の中間である。
ラクダ種は、在来種と呼ばれて広く各地に栽培され、一般にラッキョウというと、本種を指すことが多い。草丈が高く大球で、種球1個から6~9に分球する。長卵形で肉質が緻密、収量が多い。花ラッキョウにする場合は、2年連続して栽培する。
参考文献
- 草川俊 1992 ラッキョウ, 草川俊(著) 野菜・山菜博物事典. 東京堂出版. 325-328.
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- 人間との関係
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『延喜式』(927)には、典薬寮の元日御薬の中に薤白が出てくるため、当時すでに薬用にされていたと推測できる。
『農業全書』では、「味少し辛く、さのみ臭からず。功能ある物にて、人を補い温め、または学問する人つねに是を食すれば、神に通じ魂魄を安ずる物なり」としている。また、「根を塩みそに漬け置き用い、また煮て食し、あるいはぬかに漬け、醋に浸し、また少しゆびき醋と醤油に漬けたるは久しく損せず、味よきものなりと記したあと、醋味噌につけて食するときのあの歯音のあるのは気味おもしろき物なり」とも述べている。
ラッキョウは漬物として年中消費されているが、出荷は6~7月の収穫期に集中し、大部分が加工品である。
ラッキョウ本来の風味そのものは、太くて寸の詰まった大粒のものを塩漬けにし、土用の好天の日に引き上げ、1日天日に当て、酢6、醤油4の割合で煮たてて冷まし、砂糖と適量加えた漬け汁に漬ける。トウガラシを丸のまま少量加えて、ベッコウ色になったものほど美味しい。
1年ぐらいおいても平気で、翌年また漬け汁が利用できる。ベッコウ色に染まったものは、大粒のものであるため、刻んで総菜のようにべとついた甘さがなく、くすんだ色の中に秘められたラッキョウの香りがいい。
近年、春先から八百屋の店頭に、エシャロット(フランス名)、シャロット(英名)の名で生食用のラッキョウの促成品(静岡や埼玉産)が並ぶ。味噌や酢味噌で食べると歯音よく美味しいが、これはタマネギの小型種の1つで、ラッキョウの血は流れていない。
【成分】
成分は精油や糖類を含むが、その本態は未精査である。
【薬効と用い方】
・食欲増進に用いる
生のラッキョウを、味噌などをつけて、少量食べる。
・腹の痛みに用いる
ラッキョウを刻んで乾燥したもの 5~10 gを、水 300 ㏄で3分の1量に煎じて飲む。これは薤白湯と言うと、香月牛山が『新増妙薬手引大成』(1857)に記している。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ラッキョウ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 764.
- 草川俊 1992 ラッキョウ, 草川俊(著) 野菜・山菜博物事典. 東京堂出版. 325-328.
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形態
- 葉の形質
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葉は束生し線形、内側は平ら、外側は丸く、質は柔らかで冬もあおい。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ラッキョウ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 261.
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- 花の形質
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晩秋に茎頂に散形につき紫色である。花被片6、雄しべ6、雌しべ1である。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ラッキョウ, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 261.
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生態
- その他生態
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ラッキョウは病害にも強い丈夫な作物なので、砂丘地や開墾地など、痩せ地の粗放栽培の代表的な作物である。ラッキョウの主産地はすべて砂丘地帯である。
寒冷地は適応性が低いので、東北や北海道には大きな産地はない。
参考文献
- 草川俊 1992 ラッキョウ, 草川俊(著) 野菜・山菜博物事典. 東京堂出版. 325-328.
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関連情報
- 栽培方法
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ラッキョウの栽培は、8月下旬植え付け、翌年6月から8月に収穫するのがふつうである。
三里浜ラッキョウの栽培型は、植え付けた翌年はそのまま据え置き、次の年の6月から8月に収穫する。
参考文献
- 草川俊 1992 ラッキョウ, 草川俊(著) 野菜・山菜博物事典. 東京堂出版. 325-328.
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