- 解説一覧
- ムラサキオモト(Tradescantia spathacea)について

目次
基本情報
- 和名の解説
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葉がオモト(ユリ科)に似て、葉の裏面が紫色であることからこの名がある。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ムラサキオモト, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 807.
最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン
- 亜種・変種・品種
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【変種】
・ミドリムラサキオモト
葉の両面が緑色である。
【栽培品種】
[Var-iegata]、[Cincolor]など
参考文献
- 伊澤一男 1998 ムラサキオモト, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 807.
- 金川利夫 1994 ムラサキオモト, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2391-2392.
最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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ツユクサ科 ムラサキオモト属
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ムラサキオモト, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 162.
- 金川利夫 1994 ムラサキオモト, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2391-2392.
最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン
- 人間との関係
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斎藤月岑著『武江年表』(1878)によると1816年(文化13)の項に、「紫おもと初めて渡る(おもとと号すれどもりろの種類にはあらず、始めは高価を以ってひさぎたり。寒を恐るる故唐むろにて養う)」と記されている。りろとはシュロソウのことである。これが日本に渡来した最初の記録となっている。
小笠原諸島には1875年(明治8)に入っている。
葉の緑と紫の鮮やかな配色の美しさによって、世界中に観葉植物として広まっていった。もともと寒さには弱いが、暑さには強く、熱帯や亜熱帯のような高温、多湿帯である東南アジアなどには、早くから移入されて、野生化している。
昭和の初期、ある日本人がマレーシアの奥地を旅行していたとき、途中で立ち寄った一軒の家で、子どもが激しい下痢症状で苦しんでいた。すると、その家の主人は、外に飛び出して行き、間もなく何枚かの草の葉をとって戻ってきて、その葉の汁を子どもに飲ませた。子どもの下痢は治まり、間もなく元気を取り戻した様子を目の当たりにして、この日本人は大変驚き、草の名を主人に聞いて、ムラサキオモトであることを知った。
その後、日本に帰って、さっそく下痢止め薬をつくるようになったのである。
ハワイそのほかの熱帯、亜熱帯では、グラウンドカバーとして用いている。鉢植えとしても良好である。
【成分】
紫色素のアントシアニジンを主成分とする。
【薬効と用い方】
・下痢止めに用いる
新鮮な葉を細切りにし、ジューサーで手早く葉汁を搾り、1回約 20~40 ㏄を服用する。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ムラサキオモト, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 807.
- 金川利夫 1994 ムラサキオモト, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2391-2392.
最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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葉は茎の先から斜めに、放射状に斜上し、長楕円状披針形で幅は 3~4 cm、長さは 15~25 cmぐらいある。
先は尖り、もとのほうは、一旦細くなってから再び広がって茎を抱き、中央部は溝状に少し窪み、緑に紫色がかかっている。
裏側は美しい紅紫~紫色をしている。質は厚みがあるが柔らかい。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ムラサキオモト, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 162.
最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン
- 茎(幹)の形質
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茎は直立し、普通短く、高さ 20 cmぐらいになる。古い株では長く伸びて枝をわかつ。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ムラサキオモト, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 162.
- 金川利夫 1994 ムラサキオモト, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2391-2392.
最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン
- 花の形質
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葉のわきから伸びたごく短い軸の先にかたまってつき、白色で平開する。この花序はハマグリのようにやや大きい2枚の紫色の苞葉に包まれ、しかも花軸がごく短いため、茎を抱く葉の基部に埋もれていて、あまり目立たない。
外花被片3は細長く、内花被片3は幅が広く、雄しべ6、花糸は細長く白い長毛があり、葯隔は黄色で広い。子房は卵円形、花柱1である。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ムラサキオモト, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 162.
最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン
- 似ている種 (間違えやすい種)
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ムラサキツユクサ
参考文献
- 伊澤一男 1998 ムラサキオモト, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 807.
最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン
生態
- その他生態
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種子はよくできて、よく発芽するが、寒さに弱く、15℃以下での越冬は難しい。
花をよく見ると、ムラサキツユクサに似ている。そのため、これをムラサキツユクサ属に入れていた時代もある。しかし、花序のつき方が異なっているため、現在はムラサキオモト属を新設してこれに入れている。ツユクサ科のムラサキオモト属は、世界に1属1種しかない。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ムラサキオモト, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 807.
最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン
関連情報
- 栽培方法
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高温多湿を好む温室植物であるが、夏期は戸外で日に当てて栽培するとよく生育する。
培養土は通気性のある肥沃な土壌を好む。増殖は茎挿し、または実生。
参考文献
- 金川利夫 1994 ムラサキオモト, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2391-2392.
最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン