- 解説一覧
- ウコン(Curcuma longa)について

基本情報
- 草丈・樹高
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高さ 40~50 cmになる
参考文献
- 伊澤一男 1998 ウコン, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 843.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
- 分布
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熱帯アジア、マレーシア、中国南部、台湾に栽培する。九州南部、沖縄、小笠原、その他の暖地で栽培される。
現在では琉球、台湾、種子島、奄美大島、屋久島、鹿児島などにも自生している。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ウコン, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 128.
- 伊澤一男 1998 ウコン, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 843.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
- 原産地
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インド寄りインドシナの原産である。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ウコン, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 128.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
- 和名の解説
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『本草和名』(918)に鬱金の漢名で出ているのが最初で、林道春著『新刊多識編』(1631)になると、鬱金の漢名を記し、これにカオリサキノクサの和名を挙げている。これは「香り咲きの草」の意である。
それより82年後に出版された、寺島良安著『和漢三才図会』(1713)には鬱金の漢名にウコンの和名を挙げている。
漢名を日本音に読んだもので、植物の名としては「香り咲きの草」より、こちらのほうが相応しい。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ウコン, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 843.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
- 人間との関係
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江戸時代以前の古文書にもこの植物名が出てくるが、我が国で栽培されていたかどうかは疑わしい。
徳川8代将軍吉宗は当時、外国産有用植物、特に薬用植物の国内での栽培に力を入れた結果、10年の歳月を経て人参(薬用人参)の栽培に成功するが、ウコンもこの時代に栽培されていた。
1726年(享保11)に幕府の麻布御薬園でウコンを栽培した記録がある。それ以後各地の御薬園で栽培されるようになる。
平賀源内著『物類品騭』(1763)は、「漢種、享保中、種を伝て今官園多あり」と記した。官とは幕府の御薬園を指している。
小野蘭山・島田充房共著『花彙』(1763)にはウコンの図をのせ、「今京都では往々これを植ふ。三、四月苗を生ず」と記した。
橘保国著『絵本野山草』(1806)も図をのせ、「葉は美人蕉に似たり、花のかたち、款冬花のたけたるごとく、葉の中に咲。色白く、少しうつり見ゆる。八、九月花あり」と記し『草木図説』(1856~1862)で飯沼慾斎もウコンを図で示し、解説を加えている。
また、特にこれに似た薑黄との区別にも触れている。
ウコンは特有の香りがあり、噛むと刺激性の辛味と苦味があって、唾液を黄染する。
ウコンの根茎はカレー粉の主原料として有名であるが、このほか沢庵漬けやバターの色付け、黄色の染料、化学試薬などにも利用される。
【成分】
根茎の黄色の色素はクルクミンで、約0.3%含み、これに利胆作用があち、胆汁の分泌を促進し、黄疸症状に用いられる。そのほかに精油を含み、その主要成分はツルメロン、ジハイドロ、ツルメロン、ジンギベレン、シネオールなどを含んでいる。
【薬効と用い方】
健胃・利胆、鎮痛に用いられる。健胃・利胆には1日量 6~10 gを、水 400~600 ㏄で2分の1量になるまで煎じて服用する。
鎮痛には1回量 3~5 gを水 400 ㏄で2分の1量に煎じて服用する。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ウコン, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 128.
- 伊澤一男 1998 ウコン, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 843.
- 呉徳隣 1997 ウコン, 八尋洲東(編) 植物の世界10,種子植物 単子葉類2. 朝日新聞社. 184₋187.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
形態
- 葉の形質
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葉は長柄について立ち、柄は4~5枚重なって偽茎状を呈し、葉身は長楕円形である。
長さは約 40~100 cmである。先は尖り、鳥の羽根状に支脈が走り、質は厚めで、毛はなく、つるつるしている。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ウコン, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 128.
- 呉徳隣 1997 ウコン, 八尋洲東(編) 植物の世界10,種子植物 単子葉類2. 朝日新聞社. 184₋187.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
- 茎(幹)の形質
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根茎は太く、多肉質で分岐し、主根茎から側根茎を多数だす。楕円~長楕円形で輪節があり、なかは黄色である。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ウコン, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 128.
- 伊澤一男 1998 ウコン, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 843.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
- 花の形質
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葉間から伸びた短い軸(20 cmどまり)の先に相接して層をなし、穂状花序をつける。
苞葉は合着して嚢状となり、花序上部の苞葉は白いが、花はつかない。花序下部の淡緑色の苞葉には花がつく。
3~4個ずつ苞につつまれていて、淡黄色、上の方につく苞は花をつつまず、うす桃色を呈する。
がくは小さく、花冠筒は長く、舷部は短く3裂、雄しべ4は花弁化して下半部は合一し、最下の1片は唇弁状である。子房は下位である。
花弁は白色、先端部がわずかに淡紅色に染まっている。
花は栽培地によって開花期を異にするが、だいたい7~9月である。
参考文献
- 伊沢凡人 1980 ウコン, 伊沢凡人(著) 原色版日本薬用植物事典. 誠文堂新光社. 128.
- 伊澤一男 1998 ウコン, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 843.
- 呉徳隣 1997 ウコン, 八尋洲東(編) 植物の世界10,種子植物 単子葉類2. 朝日新聞社. 184₋187.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
- 似ている種 (間違えやすい種)
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・キョウオウ(Curcuma aromatica )
和名の別名にハルウコンの名がある。キョウオウは漢名の薑黄を日本流に音読みしたものである。
インド原産で、沖縄には古くから渡来し、現在は野生化している。
花は春咲きで、白色に淡い紅色のぼかしがあること、花序は葉と葉の間から出ないこと、葉の裏には軟毛が生えること、根茎がウコンが紅黄色であるのに対し、ハルウコンは淡黄ないし黄褐色であることなどの点に大きな違いがある。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ウコン, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 843.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン
関連情報
- 栽培方法
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【採取時期】
最近はビニールハウスなどの利用で、寒い地方での栽培も見られる。
秋に根茎のみを採取し、枝分かれしている根状部分をばらばらにしてから水洗いし、日干しにする。
参考文献
- 伊澤一男 1998 ウコン, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 843.
最終更新日:2020-05-22 ハリリセンボン