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タムシバ(Magnolia salicifolia)の分類 Magnoliaceae
タムシバ(Magnolia salicifolia)の概要 Magnolia

タムシバ(Magnolia salicifolia)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Magnolia salicifolia (Siebold & Zucc.) Maxim.

基本情報

花期

3月下旬~5月上旬頃まで咲く。

参考文献

  • 伊澤一男 1998 タムシバ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 111₋112.

最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン

分布

本州、四国、九州に分布する。本州では特に日本海側に多く、関東では群馬、栃木の山地に見られる。

参考文献

  • 伊澤一男 1998 タムシバ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 111₋112.

最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン

和名の解説

和名は葉を噛むとよい香りがして甘いので、カムシバが訛ったものと言われる。

参考文献

  • 山田卓三 1992 コブシ,タムシバ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 347.

最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン

別名・方言名

別名:カムシバ、サトウシバ、ニオイコブシ

参考文献

  • 伊澤一男 1998 タムシバ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 111₋112.
  • 国重正昭 1994 M. salicifolia, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2464-2465.

最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン

分類学的位置付け

モクレン科 ハクモクレン亜属

参考文献

  • 伊澤一男 1998 タムシバ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 111₋112.
  • 国重正昭 1994 M. salicifolia, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2464-2465.

最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン

人間との関係

山の木々が芽吹く前に気品のある清楚な花を開くタムシバは、香りもよく、世界的に庭園花木として用いられているが、日本では里山の雑木とみなされ、栽培はほとんどされていない。

生薬名は辛夷である。

【成分】
花や葉の芳香成分はサフロールやメチルオイゲノールである。辛夷は漢方処方で蓄膿症の治療に用いられる。

【薬効と用い方】
・蓄膿症に用いる
辛夷清肺湯を作って用いる。これは、辛夷、枇杷葉藿 2 g、知母、百合、黄ごん、梔子各 3 g、麦門冬、石膏各 5 g、升麻 1 gを1日量として煎じたもので、3回に分服する。このほか、葛根湯加川芎辛夷も同じく蓄膿症に用いる。

参考文献

  • 伊澤一男 1998 タムシバ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 111₋112.
  • 山田卓三 1992 コブシ,タムシバ, 山田卓三(著) 山田卓三(監修) 野草大百科. 北隆館. 347.

最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン

形態

葉の形質

葉は鋭尖頭の広披針形で質は薄く、下面が白色を帯びる。長さは 10 cmほどである。

参考文献

  • 伊澤一男 1998 タムシバ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 111₋112.
  • 国重正昭 1994 M. salicifolia, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2464-2465.

最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン

茎(幹)の形質

落葉小高木で、枝がやや細く横開し、主幹がはっきりするか株立ち状の樹形となる。

参考文献

  • 国重正昭 1994 M. salicifolia, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2464-2465.

最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン

花の形質

花は葉に先立って咲き、白色、径 7~10 cmとなり、コブシと異なり、花柄に通常若葉がつかない。

花弁はふつう6個。がく片は花弁状であるが、長さが花弁の2分の1と短い。

参考文献

  • 国重正昭 1994 M. salicifolia, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2464-2465.

最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン

果実の形質

花後の果実は集合果で、1つの軸の周りにたくさんの果実が集まってできる。1つの果実は袋果で、熟すると裂けて、赤い種子が1個現れる。

参考文献

  • 伊澤一男 1998 タムシバ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 111₋112.

最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン

似ている種 (間違えやすい種)

・コブシ
葉は先が幅広の倒卵形で、長さは 10 cmほどだが、表面は淡い白緑色をしている。

コブシはタムシバより高い。花のすぐ下に1枚の緑の葉があるが、タムシバにはない。また、がくが花弁の3分の1に対し、タムシバは2分の1である。ほかにも、枝が真っすぐに斜上する、などが区別点である。

タムシバもコブシも日本特産で、中国にはないため漢名がない。

参考文献

  • 伊澤一男 1998 タムシバ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 111₋112.

最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン

生態

生育環境

コブシが平地に多いのに対し、本種は山地に自生する。

参考文献

  • 国重正昭 1994 M. salicifolia, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2464-2465.

最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン

その他生態

花、葉、枝ともに芳香がある。

参考文献

  • 国重正昭 1994 M. salicifolia, 北村文雄(著) 塚本洋太郎(監修) 園芸植物大事典2. 小学館. 2464-2465.

最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン

関連情報

栽培方法

【栽培法】
庭木にするが、山からの移植は困難で根付くのは稀である。赤い種子を秋に採取して、そのときか翌年3月頃播種する。

【採取時期と調整法】
中国ではモクレンその他同属の花の蕾を採取して乾燥したものを辛夷(しんい)という。日本では辛夷の生薬原料に野生品のタムシバとコブシの蕾を利用する。採取時期は早春である。

参考文献

  • 伊澤一男 1998 タムシバ, 伊澤一男(著) 薬草カラー大事典:日本の薬用植物すべて. 主婦の友社. 111₋112.

最終更新日:2020-06-10 ハリリセンボン

種・分類一覧