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ウスバカミキリ(Aegosoma sinicum)の分類 Cerambycidae
ウスバカミキリ(Aegosoma sinicum)の概要 Aegosoma

ウスバカミキリ(Aegosoma sinicum)

【 学名 】
Aegosoma sinicum White, 1853

基本情報

大きさ・重さ

・成虫体長:32~51 ㎜
・幼虫体長:70 ㎜に達する

参考文献

最終更新日:2020-08-28 ひろりこん

活動時期

成虫出現時期(日本国内):6~8月

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最終更新日:2020-08-28 ひろりこん

分布

インド北部から台湾、中国、日本

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最終更新日:2020-08-28 ひろりこん

生息状況

本土では平地から山地までに広く分布していて、個体数も多い普通種である。日本産のカミキリムシの中で国内のほぼすべての地域に分布しているのは本種のみで、本種ほど広い自然分布域をもつ種はほかにいない。

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亜種

日本産は次の4亜種に分けられる。

ssp. sinicum White, 1853
・成虫体長:39.1~64.3 ㎜
・出現時期:5~9月
・分布:北海道、礼文島、奥尻島、本州、伊豆諸島(大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島)、飛島、粟島、佐渡、冠島、隠岐、四国、九州、対馬、壱岐、五島列島(福江島)、甑島列島(上甑島、下甑島)、黒島、種子島、屋久島、口永良部島、トカラ列島(口之島、中之島、平島、諏訪之瀬島);朝鮮半島、ロシア沿海州、中国。
・生息状況:普通
・特徴:同一の産地内においてもその体型の変異幅が大きい。
体表面は灰黄色の微毛で被われ、上翅の隆起はあまり盛り上がらず、顆粒は小さくまばら。
灯火によく飛来する普通種で、昼間はコナラなどの生木の洞、アカマツ立ち枯れの樹皮下などに潜んでいることが多いが、飛翔中の個体を見かけることもある。
幼虫はクヌギ、コナラ、シデ類などの各種広葉樹やマツ類など、幅広い樹種の生木・枯死部を食べ、しばしば都市部でも見つかるので環境の変化には強い亜種と思われる。

ssp. savoryi (Kusui, 1973)
・成虫体長:44.1~52.5 ㎜
・出現時期:7月
・分布:小笠原諸島(父島、母島)
・生息状況:少ない
・特徴:もっとも黄色味が強く見える亜種。原名亜種に比べて体は幅広く、全体にやや赤色味があり、体表面は金色の微毛で密に被われる。雄の大あごは太短くて内側に強く湾曲し、雄の脚は細長く、とくに前脛節では顕著。かなり特化した亜種である。
太い倒木中などで幼虫はよく見かけるが、野外では成虫はあまり見られない。父島では最近の採集例がないようであり、再調査の必要がある。
幼虫はアカギの倒木でよく見られる。

ssp. adachii Fujita, subsp. nov.
・成虫体長:45.1~61.0 ㎜
・分布:奄美大島(奄美大島、徳之島)、沖縄諸島(沖縄本島)
・生息状況:稀
・特徴:もっとも黒色味が強く見える亜種。頭部は細く、前胸背は幅広くて中央部で盛り上がり、体表面の微毛は短くまばら。体は黒色味が強く、上翅は大きな顆粒で被われ、隆条は太くて盛り上がる。
本亜種は原生林のみで採集されているようである。また、個体数も少なく、奄美大島では珍品といわれるトゲウスバカミキリよりも稀で、さらに沖縄本島では数えるほどの採集例しかない。
新亜種名(学名)は、足立一夫氏にちなむ。

ssp. validicornis (Gressitt, 1951)
・成虫体長:38.1~67.0 ㎜
・出現時期:4~6月
・生息状況:やや少ない。
・特徴:石垣島から独立種として記載され、日本鞘翅学会編(1984)でも独立種の扱いで「フトヒゲウスバカミキリ」という和名もあったが、後に本種の亜種に格下げされた。Megopis (Aegosoma) sinica ogurai Takakuwa, 1984 は本亜種のシノニム名。
もっとも大型になる亜種で、 70 ㎜近い個体も採集されているという。頭部は細く、前胸背は幅広くて大型個体では丸みをおびて盛り上がり、側縁の前方と後方にまとまった黄金毛がある。上翅は顆粒で被われるが前亜種程顆粒は大きくない。脚は黄色の微毛で被われる。
灯火によく飛来する。

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最終更新日:2020-08-28 ひろりこん

人間との関係

樹齢の若い樹やリンゴのわい性台木樹には産卵に好適な部分がないため、産卵されず寄生もない。リンゴなどの太枝が果実の重みや強風で折れ、内部から多数の幼虫が現れる場合には、本種とヒメボクトウの可能性がある。両種は幼虫の形態や色などが異なるので識別は容易である。

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形態

成虫の形質

赤~暗褐色。上翅は淡黄~暗黒褐色だが、通常雄はより淡色がかり、逆に雌はより暗色の傾向がある。雄の触角1~5節の特に内側の縁には細かな歯状突起が並ぶ。前胸は背面がほぼ平ら、雄では幅は長さの2倍前後、雌ではさらに幅広い。上翅の2対の隆条は雌では明らかだが雄では概して弱く不明瞭。雌の腹端は非常に長く突出する。

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卵の形質

紡錘形で乳白色。

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地理的変異

同一の産地内においてもその体型の変異幅が大きい。

(原名亜種)本土側では通常は頭部がやや幅広く、前胸背は比較的細めで台形状の個体が多いが、伊豆諸島や南西諸島では頭部が細めで前胸背が幅広くなって側縁が丸味をおびる個体が多く現れる。

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生態

幼虫の食性

各種の広葉樹およびマツ科

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ライフサイクル

リンゴやサクラ類など多くの樹木に寄生する。若齢期までは腐植部を食べて成育し、その後朽ちかけた木質部、生きている木質部へと食い進む。寄生部の幹や枝の強度は低下し、折れやすくなる。幼虫は木屑や虫糞を寄生部から外に排出しないため、外観からは寄生を判断できない。

成虫の脱出孔は直径約 8 ㎜の長円形で、後に癒合することが多い。リンゴの古木などでは、幹の地上高 50~150 ㎝位のところに多数の脱出孔が見られることがある。

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最終更新日:2020-08-28 ひろりこん

活動時間帯

明るいあいだは立ち枯れ樹皮下や木の空洞内に潜んでいるが、夜間には立ち枯れ上や朽木上をゆっくり這い回り、またよく灯火に飛来する。

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最終更新日:2020-08-28 ひろりこん

産卵

卵は主幹や主枝の粗皮下、腐朽部などにまとめて産みつけられる。

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最終更新日:2020-08-28 ひろりこん

種・分類一覧