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ウラギンシジミ(Curetis acuta)の分類 シジミチョウ科(Lycaenidae)
ウラギンシジミ(Curetis acuta)の概要 Curetis

ウラギンシジミ(Curetis acuta)

【 学名 】
Curetis acuta Moore, 1877

基本情報

大きさ・重さ

開長:38〜40 mm
幼虫体長:約 20 mm (終齢)

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最終更新日:2020-05-10

活動時期

ほぼ一年中

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分布

本州 (宮城県以南)・四国・九州・奄美大島・八重山諸島。国外では朝鮮半島・台湾・中国・インドシナ半島・インドに分布。

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生息状況

東北地方では生息域が北上傾向にある。

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亜種

・C. a. acuta (Moore, 1877) … 名義タイプ亜種。中国に分布。
・C. a. paracuta (de Niceville, 1901) … 日本産亜種。
・C. a. formosana (Fruhstorfer, 1908) … 台湾産亜種。
・C. a. dentata (Moore, 1879) … インドシナ半島〜インドに分布。

対馬産に tsushimana (Fruhstorfer, 1908) 、八重山産に formosana が用いられることがあるが、変異が必ずしも安定していないため、日本に分布するものはすべて paracuta として扱われることが多い。

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分類学的位置付け

昆虫綱 (Insecta) チョウ目 (Lepidoptera) シジミチョウ科 (Lycaenidae) ウラギンシジミ亜科 (Curetinae) ウラギンシジミ属 (Curetis) ウラギンシジミ (Curetis acuta)

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形態

成虫の形質

小型のチョウ。翅表は雌雄ともに黒褐色、前翅の中央部および後翅の前半部に雄では橙赤色、雌では白色〜蒼白色の斑紋があり、この斑紋の色彩によって雌雄は一見して区別される。裏面は銀白色で、性差はほとんど認められない。
季節による変異は顕著で、秋型は夏型に比べて前後翅頂部の尖りが著しく、翅表の斑紋は一般的によく発達する。翅表の斑紋の発達具合は個体変異が著しく、夏型の雌ではほぼ消失することがある。

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蛹の形質

蛹は腹面が扁平なドーム型。

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幼体の形質

特異な姿のワラジ型イモムシで、体色は緑色〜赤紫色まで変異がある。尾部に1対の筒状突起を持つ。

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地理的変異

対馬の個体群は秋型の前翅がより鋭く尖るとされているが、その差は軽微。八重山諸島の個体群は一般的に雄の赤色斑が発達するが、発達の弱いものもいる。

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生態

成虫の生息環境

成虫は平地〜低山地の樹林地、公園や人家周辺に普通。夏型は食草がフジ類のため、渓流沿いの樹林や公園などで発生。秋型は主にクズを食草とするため、林縁部や河川堤防、都市部の荒地などクズの繁茂する場所に多く見られる。

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成虫の食性

成虫は花にはほとんど訪れず、腐った果実や獣糞から吸汁する。湿地で吸水も行う。

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幼虫の食性

幼虫の食草はマメ科で、フジ・ナツフジ・ヤマフジ・クズ・クララ・ハリエンジュ・ツクシハギ・ヤマハギ・タイワンクズなどの花蕾・実・新芽を食べる。

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ライフサイクル

普通年2回の発生で、夏型は6〜9月に、秋型は9月ごろから晩秋にかけて現れ、成虫で冬を越す。越冬した雌は春に現れて産卵し、それより夏型が生じる。関東地方では成虫は越冬中にほとんどが死亡し、春まで生き残るのは少数であることが分かっている。幼虫は全4齢。

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活動時間帯

日中

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孵化・脱皮・羽化

例外的な場合を除いて常に緑葉表面で蛹化する。

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生殖行動

交尾しながら飛翔する際は雄が雌を連行する。

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特徴的な行動

成虫は日中、樹上や林縁を活発に飛翔し、しばしば地上にも下りる。越冬中は常緑広葉樹の葉の裏面に頭部を必ず葉先に向けて静止し、中・後脚の4本でつかまっているが、風の強い時には前脚を使うこともある。
幼虫は刺激を与えると尾部の筒状突起の先端からほうき状の伸縮突起を瞬時に突出させ、回転させる。この器官は天敵に対する防御にはたらき、徘徊性のクモなどに対しては致命的でない部分 (筒状突起) をかませる「誘き寄せ効果」を、サシガメなどには「おどし効果」を持つと考えられている。

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種・分類一覧