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アオスジアゲハ(Graphium sarpedon)の分類 Papilionidae
アオスジアゲハ(Graphium sarpedon)の概要 Graphium

アオスジアゲハ(Graphium sarpedon)

【 学名 】
Graphium sarpedon (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

開長:約 60 mm
幼虫体長:40〜45 mm (終齢)
(安田, 2010, p. 20)

参考文献

最終更新日:2020-05-06

活動時期

4〜9月 (白水, 2006, p. 28)

参考文献

  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-06

分布

日本では本州 (東北地方南部以南)・四国・九州・南西諸島に分布。世界的には東洋熱帯に広く分布する。(白水, 2006, p. 28)

参考文献

  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-06

亜種

・日本本土亜種 G. s. nipponum (Fruhstorfer, 1903)
・八重山諸島亜種 G. s. morius (Fruhstorfer, 1908) … 青色帯が広く鮮やかである。
(白水, 2006, p. 28)

参考文献

  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-06

分類学的位置付け

昆虫綱 (Insecta) チョウ目 (Lepidoptera) アゲハチョウ科 (Papilionidae) アゲハチョウ亜科 (Papilioninae) アオスジアゲハ族 (Graphiini) アオスジアゲハ属 (Graphium) アオスジアゲハ (Graphium sarpedon)
(白水, 2006, p. 13)

参考文献

  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-06

形態

成虫の形質

大型のチョウで、翅形は細長い。表は黒色で、中央に水色の帯がある。裏も同様だが、後翅の外中央と基部に赤斑〜橙斑がある。季節的変異は明瞭で、春型は小型で前後翅をつらぬく青色帯は幅広いが、夏型は大型で青色帯の幅が狭い。翅形、色彩斑紋は雌雄でほとんど同じであるが、雄では後翅内縁部が上方に折り返り、その中に白色長毛を包む袋を形成している一方で、雌にはその構造がないので、雌雄の区別は容易である。
色々な異常型が知られており、前翅中室に青色班が出る型 (エサキ型) 、前翅青色帯先端にさらに一つの過剰紋が出る型、前翅青色帯が黒くなる型などが知られている。

参考文献

  • 2019 フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ - 書籍全体, 日本チョウ類保全協会(編) フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ. 誠文堂新光社. .
  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-06

蛹の形質

蛹の胸部背面には突起があり、前方に突出する。(安田, 2010, p. 20)

参考文献

最終更新日:2020-05-06

幼体の形質

若齢幼虫は褐色〜帯緑褐色、終齢幼虫は鮮やかな黄緑色をしている。胸部は特に膨大し、小さな眼状紋とそれをつなぐように黄色の横帯を持つ。尾端には1対の突起がある。臭角は橙色。

参考文献

  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-06

地理的変異

一般的には年3化だが、静岡県西部では年4化になることが知られている。伊豆諸島に産するものは本土産のものより青色帯が幅広く、夏型であっても本土産の春型とほぼ同じ幅になる。(白水, 2006, p. 28)

参考文献

  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-06

生態

成虫の生息環境

平地〜丘陵地の照葉樹林が本来の生息地だが、食草が生える社寺林、街路樹、公園なども好み、都市部でも普通に見られる。 (日本チョウ類保全協会, 2019, p.73)

参考文献

  • 2019 フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ - 書籍全体, 日本チョウ類保全協会(編) フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ. 誠文堂新光社. .

最終更新日:2020-05-06

成虫の食性

発生期に開花する花に集まり、蜜を吸う。第1化の春型はダイコン、オオネギ、トベラ、グミ、ウツギ、シイ、ミカン類などに多く集まる。第2化の夏型は、ヤブガラシを好み、夏の高温期には雄は湿地に降りて吸水することも多い。なお、湿地に集まるものは基本的に雄のみで、普通雌は湿地には降りない。(白水, 2006, p. 28)

参考文献

  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-06

幼虫の食性

クスノキ、タブノキ、イヌガシ、シロダモ、ニッケイ、ヤブニッケイ、ゲッケイジュなど各種のクスノキ科を食草とする。他科の植物にも適性はあり、ヤマザクラ (バラ科) で全幼虫期を飼育した記録や、ミカン科の植物で幼虫が見つかった報告もある。(白水, 2006, p. 28)

参考文献

  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-06

ライフサイクル

日本西南部の暖地ではふつう年3化である。蛹で越冬し、越冬蛹より羽化した第1化の春型は4〜6月、第2化の夏型は7〜8月、第3化の夏型は8〜9月に出現する。第2化を生ずべき蛹がそのまま休眠を続け翌春になって羽化する (すなわち年1化となる) 場合もあることが知られている。幼虫は5齢が終齢。

参考文献

  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-06

活動時間帯

日中 (日本チョウ類保全協会, 2019, p.73)

参考文献

  • 2019 フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ - 書籍全体, 日本チョウ類保全協会(編) フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ. 誠文堂新光社. .

最終更新日:2020-05-06

孵化・脱皮・羽化

食草の葉裏や食草付近の他の植物の葉裏、塀などの建築物で蛹化する。(白水, 2006, p. 28)

参考文献

  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-06

生殖行動

交尾しながら飛翔する際は、雌が飛んで雄を連行する。
配偶行動に関する調査により、雄は赤色や黄色、黒色のモデルより濃い青色に引きつけられ、形や大きさ、色彩パターンは無関係であることが明らかになった。
(白水, 2006, p. 28)

参考文献

  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-06

産卵

卵は食草の新芽や若葉の裏面に1個ずつ産み付けられる。(白水, 2006, p. 28)

参考文献

  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-06

特徴的な行動

成虫は日中、高所を敏捷に飛翔する。 (日本チョウ類保全協会, 2019, p. 73)
幼虫は葉の表面に糸で座を作り、静止場所とする。(安田, 2010, p. 20)

参考文献

  • 2019 フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ - 書籍全体, 日本チョウ類保全協会(編) フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ. 誠文堂新光社. .

最終更新日:2020-05-06

その他生態

若齢幼虫は葉の裏面にいることが多く、中齢から表面に出てくる。(白水, 2006, p. 28)

参考文献

  • 2006 日本産蝶類標準図鑑 - 書籍全体, 白水隆(著) 日本産蝶類標準図鑑. 学習研究社. .

最終更新日:2020-05-06

種・分類一覧